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13話 アイトさん、不労所得を目指しましょう!
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「わらわが水妖精の女王になる。それでいいな?」
ナナさんは水の床に倒れている王に問いかけた。
「はい、わかりました……」
「では、王位継承は成された」
彼女は広間にいる水の妖精たちを見回した。
「これからはこのナナシュテナンダールナターシアンナナナがキサマらの女王となる。異議ある者は申し立てよ、ぶっ殺すから」
いや、それじゃ誰も異議なんて申し立てないと思う。
「ナナ女王様に忠誠を誓います!」
水妖精たちは次々とその場に跪いていく。
「よろしい」
ナナさんは満足げに頷いている。そして、僕の方に笑顔を向けた。
「やりましたよアイトさん。これでこの湖にある財宝は全部わらわたちのモノですよ!」
そんな嬉しそうナナさんだが、僕としては気掛かりな事がある。
「でもナナさん、女王になったってことはこれからはここの統治をしなきゃいけないんでしょ?」
それじゃ旅することができなくなってしまう。それに、統治ってのは難しそうだ。僕に手伝えることはあるんだろうか?
そんな心配を僕はしていたのが、
「統治?そんなモノしませんよ」
彼女はアッサリと否定した。
「そんな面倒なことは、そこの妖精に任せます」
ナナさんはここまで僕らを案内してくれた妖精の男を示している。
「え、私が?」
妖精はキョトンとしている。
まぁ、当然の反応だよな。
「そうだ、キサマは見たところ少しは賢そうだからな。わらわの代わりにここで統治しろ」
「はっ!かしこまりましたナナ女王!」
妖精はきっちりとお辞儀してその場から離れていった。
「わらわはこれまで通りアイトさんのお供を勤めさせて頂きます」
それは嬉しい話だ。
しかし、それならなんで妖精の女王になったんだろう?
「この水妖精の国にnanazon供給網を構築するには、わらわがここを支配するのが手っ取り早いんですよ」
そんな僕の疑問を察してか、ナナさんは僕の方に小声で囁いた。
だけど、そう言われても僕には良くわからない。
「これ見てください」
彼女は僕にnanazon専用端末を見せてきた。
そこには前にも見た商品リストの画面が映っている。ただし、掲載されている個々の商品が変わっていた。
カルネスト湖の古代魚だとか、ウンディーネのオルゴールだとか今までのモノとは違う。
「これって……」
「この水妖精国のあらゆるモノをnanazonでどこからでも買えるようにしたんです。しかもほら――」
ナナさんは商品リストの金額を示している。そのリストにあるすべての商品に0の表記、つまり無料ってことらしい。
「この水妖精国の商品なら全部無料で買えるんです。だってわらわが女王なんですからね!」
それは凄いというかなんというか……
「でもナナさん、僕らがここにあるモノすべて好き放題に取っていったら水の妖精たちが困るんじゃ……」
それはさすがに可哀想だ。
「その辺はご心配なく。わらわも一過性のモノにするつもりはないです。目指すべきは不労所得ですよ!」
ふろう……なに?
「水の妖精たちがどうやって富を得てきたかは先程言いましたよね?」
「あぁ、うん」
あの岸辺にある街に住んでいた人間たちの信仰心や献上品だとか。
「わらわはあの街に再び人間たちを呼び込もうと計画しているのです。そして妖精への信仰心も復活させればこの妖精国にさらなる富がもたらされるでしょう」
ナナさんはどこかから紙とペンを取り出した。
「つまり……」
街に住む人間ども→水の妖精ども→女王であるわらわ→アイトさん
「このような搾取構造を創り上げたいのですよ!」
わぁ、僕が一番最後じゃないか。
つまり貰いっ放しなのか、僕は。
「この構造を実現するために多くの人間たちを街に呼び込む必要があります。わらわたちは旅を続けながら街の宣伝を行うのです!」
おぉ、なるほど。
「だけどどうやって宣伝するの?」
「このウンディーネの踊り子たちを使いましょう!」
ナナさんは広間の一角にいるウンディーネたちを示した。
「こいつらが踊れば下心ありありの連中がホイホイと付いてくるでしょう。そうやって街の人間を増やして行くのです!」
あぁ、何となくその光景が思い浮かぶ。
果たして健全と言えるのか……
「さぁ、そうと決まればカルネスト宣伝踊り子組のオーディションを行いましょう!」
ナナさん、張り切ってウンディーネたちの元に駆けて行く。
僕もその後をついて行く。
そう上手く行くのかはわからないけれど、本音を言えば少し面白そうだと僕は思った。
ナナさんは水の床に倒れている王に問いかけた。
「はい、わかりました……」
「では、王位継承は成された」
彼女は広間にいる水の妖精たちを見回した。
「これからはこのナナシュテナンダールナターシアンナナナがキサマらの女王となる。異議ある者は申し立てよ、ぶっ殺すから」
いや、それじゃ誰も異議なんて申し立てないと思う。
「ナナ女王様に忠誠を誓います!」
水妖精たちは次々とその場に跪いていく。
「よろしい」
ナナさんは満足げに頷いている。そして、僕の方に笑顔を向けた。
「やりましたよアイトさん。これでこの湖にある財宝は全部わらわたちのモノですよ!」
そんな嬉しそうナナさんだが、僕としては気掛かりな事がある。
「でもナナさん、女王になったってことはこれからはここの統治をしなきゃいけないんでしょ?」
それじゃ旅することができなくなってしまう。それに、統治ってのは難しそうだ。僕に手伝えることはあるんだろうか?
そんな心配を僕はしていたのが、
「統治?そんなモノしませんよ」
彼女はアッサリと否定した。
「そんな面倒なことは、そこの妖精に任せます」
ナナさんはここまで僕らを案内してくれた妖精の男を示している。
「え、私が?」
妖精はキョトンとしている。
まぁ、当然の反応だよな。
「そうだ、キサマは見たところ少しは賢そうだからな。わらわの代わりにここで統治しろ」
「はっ!かしこまりましたナナ女王!」
妖精はきっちりとお辞儀してその場から離れていった。
「わらわはこれまで通りアイトさんのお供を勤めさせて頂きます」
それは嬉しい話だ。
しかし、それならなんで妖精の女王になったんだろう?
「この水妖精の国にnanazon供給網を構築するには、わらわがここを支配するのが手っ取り早いんですよ」
そんな僕の疑問を察してか、ナナさんは僕の方に小声で囁いた。
だけど、そう言われても僕には良くわからない。
「これ見てください」
彼女は僕にnanazon専用端末を見せてきた。
そこには前にも見た商品リストの画面が映っている。ただし、掲載されている個々の商品が変わっていた。
カルネスト湖の古代魚だとか、ウンディーネのオルゴールだとか今までのモノとは違う。
「これって……」
「この水妖精国のあらゆるモノをnanazonでどこからでも買えるようにしたんです。しかもほら――」
ナナさんは商品リストの金額を示している。そのリストにあるすべての商品に0の表記、つまり無料ってことらしい。
「この水妖精国の商品なら全部無料で買えるんです。だってわらわが女王なんですからね!」
それは凄いというかなんというか……
「でもナナさん、僕らがここにあるモノすべて好き放題に取っていったら水の妖精たちが困るんじゃ……」
それはさすがに可哀想だ。
「その辺はご心配なく。わらわも一過性のモノにするつもりはないです。目指すべきは不労所得ですよ!」
ふろう……なに?
「水の妖精たちがどうやって富を得てきたかは先程言いましたよね?」
「あぁ、うん」
あの岸辺にある街に住んでいた人間たちの信仰心や献上品だとか。
「わらわはあの街に再び人間たちを呼び込もうと計画しているのです。そして妖精への信仰心も復活させればこの妖精国にさらなる富がもたらされるでしょう」
ナナさんはどこかから紙とペンを取り出した。
「つまり……」
街に住む人間ども→水の妖精ども→女王であるわらわ→アイトさん
「このような搾取構造を創り上げたいのですよ!」
わぁ、僕が一番最後じゃないか。
つまり貰いっ放しなのか、僕は。
「この構造を実現するために多くの人間たちを街に呼び込む必要があります。わらわたちは旅を続けながら街の宣伝を行うのです!」
おぉ、なるほど。
「だけどどうやって宣伝するの?」
「このウンディーネの踊り子たちを使いましょう!」
ナナさんは広間の一角にいるウンディーネたちを示した。
「こいつらが踊れば下心ありありの連中がホイホイと付いてくるでしょう。そうやって街の人間を増やして行くのです!」
あぁ、何となくその光景が思い浮かぶ。
果たして健全と言えるのか……
「さぁ、そうと決まればカルネスト宣伝踊り子組のオーディションを行いましょう!」
ナナさん、張り切ってウンディーネたちの元に駆けて行く。
僕もその後をついて行く。
そう上手く行くのかはわからないけれど、本音を言えば少し面白そうだと僕は思った。
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