底辺冒険者、ギルドを辞めて最強鬼畜魔神(美少女)とキャンピングカーで旅に出る

一本坂苺麿

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47話 アイトさん、お待ちしてましたよー!

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 昨日の最後の打ち合わせの時、イースが千年王のことをみんなに説明してくれていた。

「千年王は倒しても一定時間後に何度でも甦るんだ。しかも、前よりも強くなってね」

 千年王は倒される度に戦闘経験から学習して適応するらしいのだ。そして魔神たちでも対応できないくらい強くなっていくらしい。

「ならどうする? 戦い続けてもいずれ負けてしまうのだろ?」

 亜人王が問いかける。

「千年王は天上の天使たちからエネルギーを供給されている。そこを叩けば蘇ることはなくなるのさ」

 亜人王はイースの言葉に首を傾げる。

「その天使どものところにはどうやって行く? そもそもワシは天使という存在を初めて知ったばかりだぞ」
「その疑問はもっともだ。天使たちの住む天上は、光の網で守られているしね」

 光の網。
 浮遊島の百年王をバラバラにした空一面に広がる天使たちの結界だ。

「その光の網は魔神でさえ通り抜けることはできない。だが、それについてはやっと目処が立ったところなんだ」

 イースはナナさんを指し示す。

「彼女はもっとも新しく現れた魔神だ。その元の種族は天使だ」

 天幕内が騒然とする。
 一方、ナナさんは気にした様子もなくそっぽを向いている。

「彼女の力があれば、あの光の網を突破することができるんだよ」
「なるほどな」

 亜人王が納得したように頷いている。

「それで、誰が天使たちのところに向かうわけ? ナナは確定として」

 シシーが尋ねる。

「私が行く。それとナナの解放者であるアイトくんにも来てもらう」

 みんなの視線が僕に集まる。
 うぅ、また注目を浴びてしまうなんて。

「よろしいでしょうか?」

 隣のイルヴァーナが手を挙げる。

「イシュー王子も天上に行かれるのであれば、地上では誰が指揮を執られるのでしょう?」

 ちなみにイシュー王子が魔神イースであることは僕とイルヴァーナ、そして魔神たちしか知らない。

 他の将軍たちには、儀式によって千年前からの歴代王子たちの知識と記憶が継承されていると説明されているらしい。

「あぁ、そこは問題ないよ」

 イースは将軍の一人に頷く。すると将軍は立ち上がり、天幕から出て行った。
 その将軍が戻ってきた時、その後ろにフードを被った人物を従えていた。

 そのフードを外すと、そこに現れたのはイシュー王子の顔だった。同じ顔の人物が二人並んで立っている。
 その場にいた者たちが息を呑む。

「彼が私の代わりに指揮を執るよ」
「その者は何者なんです?」

 イルヴァーナが問いかける。

「彼は私の……そうだな、分身体のようなモノだよ。古くから伝わる魔術を利用したんだ」

 ナナさんの方を見ると、首を振っている。
 おそらくこれはイースのデーモン・ディメンションが関係しているのだろう。
 それがどんな能力なのかはわからないけれど。

「さすがですな殿下。古の知識にそんな術があったとは」

 そうとは知らずに将軍が媚びるように褒め称える。イースはそんな彼を無視して話を進める。

「話が逸れてしまったね。天上への出発は千年王を一回倒した後にする。天使たちの注意が千年王に集中している間にコチラは事を済ませる為にね」
「つまり、地上の戦いは陽動でもあるわけか?」

 亜人王の指摘にイースは頷く。

「まぁね。千年王をちゃんと始末する為だよ。そうすれば全て決着する」

 イースはナナさんを見る。

「ナナ、君には光の網を突破して天上に向かえる天使たちの乗り物を呼び出してもらうよ。予算はもちろん我が王家が出すよ」

 ◆

 昨日の天幕での打ち合わせを思い返しつつ、僕はイースと合流した。

「ご苦労だったね。だけど、わざわざ君が戦わなくてもよかっただろうに」
「これからみんな千年王と何回も戦うことになるんでしょう? だったら少しでも負担を減らせたらと思って」

 イースは肩を竦める。

「それじゃ、行こうか」

 僕らは空を飛んでオーロラ平原から離れた荒野に向かった。
 そこには巨大な建造物が直立している。その下にナナさんがいた。

「アイトさーん、お待ちしてましたー!」

 と、ナナさんは僕にだけ手を振って来る。

「ナナさん、これが?」

 僕は巨大なその乗り物を見上げる。

「はい、スペースシャトルですよ!」



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