底辺冒険者、ギルドを辞めて最強鬼畜魔神(美少女)とキャンピングカーで旅に出る

一本坂苺麿

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62話 PSEウィング

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「ほう、人数が少ないとは思っていたが、あの羽虫どもの応援を呼びに言っていたわけか」

 天使の軍勢を見上げながらイースは言う。

「おい、この金○野郎!!」

 僕の懐から出てきたミニナナさんがイースを睨みつけている。

「アイトさんを放せ!」
「ナナ……そうか分身体を残していたんだね」

 イースはニヤリと笑みを浮かべた。

「そうやって無力に私を見上げることしかできないわけだ。無様だね」

 嘲るように彼は言う。
 と、彼の背後で白銀の閃きが走る。
 イルヴァーナが魔剣アーデインを振るう。

「おっと!」

 イースは僕を放し、飛び退く。
 さらに上空から次々と天使軍の攻撃が降り注ぐ。

「アイトくん!」

 イルヴァーナは僕を掴み、屋根から飛び上がった。
 その間もイースに向かって天使軍は攻撃を続けている。周辺の建物も巻き添えで破壊されていく。

「あいつら、この王都も破壊し尽くす気か!?」

 イルヴァーナが苦々しげに呟く。
 土煙を上げる中、金色の光線が天使軍に向けて放たれ、いくつかのシャトルが墜落していく。

 ゆらりと浮かび上がったイースは、天使軍に突撃して行った。

「イルヴァーナ様!」

 通りの向こうから魔術師の一団がやって来た。

「お前たち! 無事だったか!」

 イルヴァーナは安堵の声を上げる。
 彼らは古代樹で出会った彼女の部下たちだった。

「はい、何とか。しかし、どうなっているのです? あの上空の軍団は敵ですか?」

 魔術師の一人が困惑顔で尋ねる。
 イルヴァーナはそんな彼の問い掛けに首を振って否定する。

「敵は魔神王、あの黄金の男ただ一人だ」

 魔術師たちは上空で天使たち相手に大暴れしているイースを見上げた。
 みな魔神王の強さに圧倒されている。

「あ! 何か来ます!」

 魔術師の一人が上空を指して声を上げる。
 見ると、赤い閃光が僕らの方に接近して来ていた。

 僕らが迎え撃とうと構えていると、突然声が響いてきた。

『待て魔神の開放者!』

 その声は天使のセンター長のモノだった。
 赤い閃光が僕の目の前で止まる。それは赤い光の翼を展開しているパワー・ウィングだった。
 センター長の声はそのパワー・ウィングから聞こえていた。

『これはまだ試作段階の兵装PSEウィングだ。千年王に使用していたシステムを応用している』
「えーと?」
『この兵装のエネルギー源は我らが創り出した擬似の賢者の石だ。地上監視センターから照射し続けるのだよ。つまり、千年王とほぼ同等の力を発揮できるのだ』

 千年王とほぼ同等!?

「ちょっと待てやぁ!」

 いきなりミニナナさんが割り込んできた。

「そんな試作機とか、アイトさんを実験台にするつもりか、この雑鳥がぁ!!」
『そんなつもりはない! 彼が最も適性であると判断した。魔力によって負担を軽減できるし、強化もできるはずだ』
「はぁ? だからってーー」

 僕はナナさんの肩を指で軽く叩く。

「そのPSEウィング、使わせてもらうよ」

 僕は顔の見えないセンター長に向かって言った。

「アイトくん、私もそれを使うのは反対だ」

 イルヴァーナもナナさんと同意見らしい。

「君にはこの後、賢者の石を使ってもらわなければならない。今そんなリスクを負う必要はない」

 それは確かにそうだ。だけど……

「僕が賢者の石を使いこなせるというのなら、この擬似賢者の石も使いこなせるはずです。逆に言えば、擬似ですら使いこなせないのなら本物なんて使えるはずないんです」

 それに、このまま天使軍や彼らの国をイースに蹂躙させるわけにはいかない。彼らがアナフィリア王国にした仕打ちは許せない。だけど、それは彼らを見殺しにしていい理由にはならない。

「そうか。君がそう言うのなら」

 イルヴァーナ、そしてナナさんも渋々ではあるが納得してくれた。

「感謝する魔神の解放者……いや、アイトくん」

 センター長の声を発しつつ、PSEウィングは僕の背中に装着された。

 なるほど、物凄い力が背中から伝わってくる。
 僕は魔力を流し込んで翼を展開した。
 赤紫色の光を放つそれは、翼の形状をしていながらも、流体のように波打っている。

「行こうイルヴァーナさん!」
「あぁ」

 イルヴァーナは部下たちに向き直る。

「お前たちは街の人々の避難の誘導を頼む。これからもっと戦いは激しくなる」
「わかりました。お気をつけて」

 僕らは上空の天使軍たちを見上げ、そして飛び立った。

 これ以上イースの好きにはさせない。







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