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2年生

第60話 新学期のはじまり

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あれから長い長い夏休みが終わり新学期がやってきた。
ボクが学校へ向かい歩いていると森野さんが声をかけてきた。

倫子「佐藤さーん!佐藤高嗣さーん!」

え?ぼ、ボク?

後ろを振り向くと森野さんが走ってボクの方へ駆け寄ってきた。

高嗣「も、ももも森野さん!」
倫子「佐藤さん。ハァハァハァ。おはよう!」
高嗣「お、おはようございます!そ、それより恥ずかしいじゃないですか。」
倫子「何がですか?」

森野さんはキョトンとした顔をしながらボクを見つめる。
か、かわいい!やっぱり森野さんはかわいい!
な、何ていうかケイトちゃんとは違う何かがある。

倫子「佐藤さーん!佐藤さんってば。」
高嗣「え?!」
倫子「さっきからずっと顔を赤くしてボーッとしてますよ。どうかしましたか?」
高嗣「な!何でもないです!き、今日の夜ご飯は何にしようかな~?」

プルプルプル

 森野さんを誤魔化していると急にボクのスマートフォンの着信が鳴り出した。

高嗣「はい、もしもし。」

相手は鷹島太陽さんだった。

太陽「高嗣!俺が今どこにいるかわかるか?」
高嗣「…わかりません。」
太陽「暑い!暑い!わからないか?」
高嗣「わかるわけないじゃないですか!南の島にでもいるんですか?」
太陽「ブーブーブー!ハズレー!正解はフロリダって場所のテニスクラブの前にいる。」
高嗣「フロリダ?テニスクラブ?」
太陽「俺はテニス選手になる為に今日からここでジョンコーチの元、世話になる。」
高嗣「フロリダ?テニスクラブ?ジョンコーチ?…ってちょっと待って下さい!どういうことですか?ボクたちキミから何も聞いていないですよ。説明して下さい。」
太陽「高嗣。実はな。」

-東京に帰った翌日-

エリーゼ「レオンちゃん。」
太陽「あ?」
エリーゼ「ノー!レオンちゃん!ママにそのような態度取らないでチョウダイ!」 
太陽「母ちゃん。俺はレオンじゃねぇ。太陽だ。」
エリーゼ「ノーノー。貴方のお名前は鷹島レオン太陽デース!これはパパとママ二人で付けた大事なネームデース。ママはジャパニーズ苦手だからイングリッシュでコールしてマース。」
庄太郎「太陽。ママがお前に凄いプレゼントを貰ってきてくれたよ。」
太陽「は?」
庄太郎「パパもびっくりだよ~!やっぱりママは凄いね~!」
太陽「だから何なんだよ。」
庄太郎「ママのお友達経由でお前をプロテニス選手を指導しているジョン・ミラーさんの元に行かせてお前をトップ選手にして指導してくれるんだって。だから、今度はテニス選手にならない?」
太陽「なんだ!そんな話か。父ちゃん、母ちゃん。ありがとう!俺、絶対トップ選手になってみせる!」
蒼空「太陽!」

ガチャ

太陽・庄太郎「蒼空!」
エリーゼ「ノアちゃん!」

太陽の双子の兄の鷹島・ノア蒼空である。鷹島庄太郎とベルギー人のエリーゼ・マーズの間に産まれた長男である。
都内屈指の青葉台高校を卒業し、現在はイギリスの有名トップ大学に在籍している。今は夏休み期間中で東京へ帰ってきていた。

蒼空「太陽。トップ選手になることは簡単なことじゃない!芸能界だってそうだ。お前は幼いうちから売れたから気にしていないだろうけど、売れない人達は大変な苦労をしているんだぞ。僕は太陽にテニス選手になってもらいたくない。反対だ。どうせ芸能界と同じくまた中途半端に辞めるんだろ。大学だって。」
エリーゼ「ノアちゃん!レオンちゃんのチャンスなのよ。チャンスをレオンちゃんにプレゼントしてチョウダイ。」
蒼空「母さん。甘やかしすぎだよ。昔から。もう少し苦労させたら?」
エリーゼ「ママはレオンちゃんにコンビニエンスパートタイマーはノー!That's the work that the poor do.(あれは貧乏人がする仕事よ。)」
蒼空「たしかにアルバイトは稼ぎが少ないかもしれない。けど、夢を与えすぎなんだよ、母さんは。」
太陽「俺はコンビニ好きだけど。でも、さっきの話聞いたら急に燃えてきた。兄ちゃん!俺はテニス選手になる!兄ちゃんだって俺が昔から運動神経よくて小中高、陸上の全国大会で優勝したの知ってるだろ。陸上だけじゃない!俺は運動全般が得意なんだ。勉強はダメだけど。俺はもうなるって決めた!」

太陽は両親の前へ座る。

太陽「父ちゃん。母ちゃん。俺今度こそ絶対輝いて見せる!だから、よろしくお願いします!」
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