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第一章
謎迷専用救済手帳!
しおりを挟む謎迷は先程まで自分が眠っていた寝台に横たわった。
謎迷は心理的にとても疲れていたため、そのままぐっすりと熟睡した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
朝、謎迷が起きると、寝台の上に一つの本があった。
「なにこれ?こんな本寝る前に置いてたっけ?いや、ラプンツェルが置いていったのかも?」
謎迷は不思議に思い、本を手に取った。
すると、、、
「えぁ?!」
本の表紙にこの本のタイトルと思わしき文字が浮き出てきた。
『謎迷専用救済手帳!~悪役魔女モーガンの死亡フラグを回避せよ!~』
謎迷専用救済手帳?
「悪役魔女モーガンの死亡フラグって!やっぱりこのままストーリーが進むと謎迷は死ぬの?!」
謎迷専用救済手帳、略して「救済手帳」はひとりでに手帳の1ページを開き、真っ白だった紙の上にスゥーと文章が浮かび上がってくる。
「わぁお。いったい何て書いてあるんだ?」
『椎名 謎迷(しいなめいめい)さん、こんにちは!謎迷さんは、緑山紫苑さんの小説、《最強ラプンツェルの復讐劇》の世界の最大の悪役、魔女モーガンに転生しました。』
「わかってる、分かってたけど、何?!最大の悪役に転生?!」
『はい、貴方は今、悪役モーガンです。それと、謎迷さんは少し思い違いをしています。ここは、謎迷さんの知っている童話の世界ではないです。《最強ラプンツェルの復讐劇》の世界です。』
「救済手帳」は、謎迷の言葉に反応して文字を浮かびあげる。
まるで本と会話をしているみたいだ。
「いやいやいや、これは完璧に救済手帳と会話してるわ!」
ていうかよぉ、《最強ラプンツェルの復讐劇》って?
〈復讐〉が題名に入っている時点でなんか怖いんですけど?
『怖くて当然です。あと十年後、貴方はラプンツェルに殺されるのですから!ꉂꉂ(˃ᗜ˂๑)笑』
「やっぱ死ぬの?!つーか、アンタ、謎迷の心ん中読んだだろ!喋らなくても会話出来るんかい!」
『勿論です、Ms.MeiMei!私はMs.MeiMeiの心に寄り添い、快適な生活の実現を助ける為に作製されたのですから!』
ふーん、喋らなくてもいいのは便利だな。
てかさ、Ms.MeiMeiって何だよ、Ms.MeiMeiって。
なんかやだよ、その呼び方!急に変えるな!
『承知しました。では、なんとお呼びすれば良いですか?』
普通に謎迷でいいよ。
なぁ、手帳、さっきアンタは謎迷の快適な生活の実現を助ける為に作製されたって言った、いや、文字だから書いたか?
それってさ、手帳は謎迷の味方ってことで良いんだよな?
今から謎迷が行動を起こしたら、《最強ラプンツェルの復讐劇》のシナリオを塗り替えることってできるの?
いや、できなきゃ困るけど。
謎迷が心の中で話すと、救済手帳にスゥーと返事が浮き出る。
『はい!私は謎迷さんの味方ですよ~(´^ω^`)シナリオを変えられるかどうかは謎迷さんの努力次第ですね。せいぜい頑張って下さーい。』
あ?
何故だろう、文面なのになんかムカつく、、、
「まぁ、努力次第で、助かる可能性があるのは良かったわ。」
謎迷は一息をついてまた寝台に横になった。
しばらくした後、のそのそと足音が謎迷に近づいてきた。
謎迷が顔を横に向けると、三メートルぐらい先でラプンツェルがフルフルと震えていた。
遠くないか?
てかなんでラプンツェルは謎迷を見てそんなに怖がるんだよ
やっぱりモーガンはまだ幼いラプンツェルを虐待してたのか?
――どうしたんだ?ラプンツェル――
「何用だ、ラプンツェル」
「え、えと、お湯を沸かしました!お風呂になさいませんか?」
お風呂~⁈
え、お湯を沸かした?
ちょうどお風呂入りたい思ってたんだよな
ラプンツェル、気が利くぅ
――入る入る!お風呂!――
「、、、、、、、。」
そう謎迷が言おうとしてもこの口は開かなかった。
いや、なんかしゃべれよ!
なんか言わないと何にも伝わんないだろ!
ラプンツェルはバッと顔を上げ、こてんと首を傾げた後、
「ありがたき幸せ。桶の傍に替えの衣を用意してます。ごゆっくりどうぞ!」
と言ってまたもやそそくさと部屋を出ていった。
いや、なんでなんも喋ってないのに、謎迷の言いたいことが分かったんだよ⁈
エスパーか?エスパーみたいだよ、すごいよラプンツェル!!!!
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