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ふざけたハンドルネームのままBLゲームの世界に転生してしまった話
41 お手製のブレスレット
しおりを挟むどうやらたくさん寝たのが功を奏したようで、次の日にはいつもの7割くらいには体調が戻った。クルスが俺に魔力供給してくれた影響も大きいだろう。
結局クルスは昨日、エドワードの元には行かなかったようだ。
「エドワードは生徒会長として後夜祭のサポートで忙しかっただろうし、僕も疲れていたから」
そう言われて、これ以上深くは追求できなかった。
聖夜祭から数日経ち、俺も体調が完全に復活したある日、クルスにブレスレットらしき鎖を手渡された。
「これは?」
「ブレスレットだけど」
「えーと、うん。そうだね。……で、なんで俺に?」
「これに僕の魔力を込めてある。聖夜祭の時みたいにお前に何かあった時、助けになると思うから着けておいてほしい」
「そうなのか。ありがと……」
早速受け取って、左の手首に着けた。
繊細な銀細工で出来た鎖の中央に、クルスの瞳の色と同じ漆黒の宝石が嵌め込まれている。もしかしたら一時的に魔力を補給してくれたりするお助けアイテムなのかもしれない。
ふと、クルスに渡していたヘラルドのブレスレットの存在を思い出した。
「そういえば、俺が渡したヘラルドのブレスレット。
あいつに返してくれたか?」
「うん、ヒロに返しておいた」
「え、ヘラルドじゃなくてヒロくんに?」
「興味深いアイテムだったから作り方を訊きたかったんだ。あれを作ったのは彼だったからね。僕が渡したら大層驚いていたよ。
それで……彼から教わった事を応用して作ったものが、今コノハが着けているそれだ」
そう言って俺が着けたブレスレットを指差した。クルスの指を見ると、人差し指に深めの切り傷があった。
「クルス。その人差し指、どうした?」
「ああ……こういうものを作り慣れていないせいか、金具を弄っているときに、ちょっと」
クルスは気まずそうに、人差し指に視線を落とした。
瘡蓋にはなっているが、視界に入ると痛々しさを感じてしまう。
俺は咄嗟にクルスの指に手をかざすと、
「ハゲヒーリング」
と唱えた……おっ、今回はちゃんと手から光が出た。
クルスの指の傷が光に包まれると、みるみる塞がって元通りに戻った。
「これでよし、と。
クルスは指が治ったし、俺は手から魔法出せたしお互いウィンウィンだな!」
俺が親指を立てて笑うと、クルスはっとした表情で、俺から視線を逸らした。
「だから無闇に使うなって」
「これは無闇にカウントされないだろ?必要だから使ったの。
クルスは俺の大事な友達なんだから。ちょっとでも怪我したらすぐ言えよ」
クルスは友達という言葉に反応したのか、耳を赤くして「まったくお前は」と言うと、傷が癒えた指を撫でた。
「怪我までして作ってくれたんだから、大事に使うよ。
でもその、俺が貰っちゃっていいのか? エドワードにあげた方が、その、好感度とか」
「エドワードは強いから、こんなもの、なくても大丈夫だよ」
「……そっか」
クルスの気持ちは嬉しいけれど、俺はエドワードと違って、それだけ危なっかしい存在だという裏返しでもあって……。
そんな事を考えていると、教室のドアが開き、熊五郎……じゃなかった、ベアファイヴ先生が教室に入ってきて、俺達は席に戻った。
「おーい、ホームルーム始めるぞー。
……と、その前に、このハゲ」
「俺っすか?」
ベアファイヴ先生がうん、と頷いた。
「聖夜祭の当日、月桂樹の巨木によじ登って枝を折っただろ。目撃者が複数人居る。
放課後居残って、反省文を原稿用紙2枚分書くように」
「ええええええ⁉︎」
なんで今更? そういうお前だって、同じ日に保健室を不適切な使い方してただろ! 熊五郎め‼︎
……とは声を大にして言えず。
「……クルス。このブレスレットって今、使えたりする?」
「絶対使うなよ」
放課後、俺の居残りが確定した。
「……えーと、このたびは、神聖なる月桂樹の巨木を、わたくしめの馬鹿力で折ってしまいまして、たいへん申し訳……」
放課後、夕陽が差し込む教室で孤独に原稿用紙と睨めっこをしていると、教室のドアが開く音がした。
「クルスか?先に帰ってていいって言っ……」
「おい、このハゲ。
お前に伝えたい事がある」
目の前に居たのは、ヘラルドだった。
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