騙されて異世界へ

だんご

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8 さて

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 まぁ、情報も得た事だし。
 とりあえず拠点を決めて、それからまた今後を考えるか。
 地道な【マッピング】作業を開始しようか。
 一応『認識さん』に安全地の確認したけど、解答は無かったから、自力で探せって事だと思う。

 『※その認識でOKです』

 ……はい。
 頑張るか。
 その前に、だ。
 移動するなら、この辺にある物を調べてからだな。
 今後役立つ様な、そんなアイテム的な物を期待している訳では……いや、若干期待しているけども。
 何かしらあったら困るからな。
 さて、早速……【鑑定】っと。

 【雑草】。詳しく見ようとすると、説明がでてくる。
 ・繁殖力が強く、どこでも育つ。苦い。

 ふむふむ。視界に入る範囲の鑑定が可能なんだな。
 見えてる景色に名前や矢印がビッチリしてて、かなり見辛い。
 てか、味まで出るのか。
 食用ではないけど、食べれなくもないって事だな。

 『※その認識でOKです』

 よし。
 切羽詰まるまでナシの方向だな。
 ナシだから、邪魔だな……雑草の情報を解除できないかな?
 ん?
 おぉ!消えた!【雑草】の表示が消えた!
 思い通りになりそうだ。
 他の物も確認だ。

 【ネギ】
 ・食用。辛味があり、熱を通すと甘みが出る。

 ……ん?
 目をこすって再度チェック。

 【ネギ】
 ・食用。辛味があり、熱を通すと甘みが出る。

 ……なぜっ?!
 いやいやいやいや。
 いきなりっ?!
 いや、えっと?
 突然のネギに動揺してしまった……
 なぜここにネギ……

 間近で確認してみるが、まさしくネギだ。
 緑の部分を千切って匂いを確認してもネギ。
 土の中から掘り起こしてみてもネギ。
 ネギだ。
 青果店なんかに置いてあるやつ。
 ちょっと緑部分が多い系ネギ。

 えっ?どういう事?
 異世界の覚悟で【薬草】【毒草】を期待してたのに……まさかの薬味……いや、野菜か。
 突然の我が家の馴染み野菜、ご登場。
 プチパニックだ。
 
 森だぞ?
 ラスボス手前の、森だぞ?
 異世界だぞ?
 植物は地球と同じなのか?
 ……違うのか。
 仮神の仕込みか?
 ……違うのか。
 稀に地球と同じ物があるのか?

 『※その認識でOKです』

 ……そうなのか。
 
 なんか、ドッと疲れたな……
 ネギにゴリッと削られた感じだ。
 いや、せっかくだからいただくよ?
 回収するよ?
 大丈夫大丈夫。
 周辺にはいっぱいあるからさ、根絶やしにはしないさ。

 モクモクとネギを引っこ抜き、初の【アイテムボックス】も無言で終了。
 テンションはガタガタ落ちた。
 程よく異世界テンションが落ち着いたと言っても良いだろう。

 うん。よし。
 異世界で家庭菜園作って、程よく生き残ろう。
 そうしよう。

 俺の方針が決まった瞬間だった。 

 ネギの他にも、ジンジャー・胡椒・山椒・唐辛子が見つかった……
 スパイスコーナーなのか?と思わず疑う発見だが。
 深く考える事をポイ捨てし、ただラッキーだったと思う事にした。
 実際ありがたいからな。

 ……そろそろ動くか。
 かなり長い時間ここにいたけど、太陽はギリギリ見える範囲だ。
 昼過ぎた位か?

 『※その認識でOKです』

 なるほど?
 放置されたのが朝……若干の時差があるのか……違うの?
 ……よくわからんな。

 さて、と。
 ザックリ行こうか。
 簡単に見つけた物で心を引いたヤツ。
 
 ネギがあった東か、ジンジャーの南。
 胡椒・山椒の西か、唐辛子の北。

 衝撃を受けたのは、勿論ファーストインパクトのネギ。
 けど1番嬉しかったのは胡椒・山椒。
 ジンジャーも唐辛子もありがたい。
 ので、とても悩ましい。
 まぁ、ここはファーストインパクトを大切にしようか。
 最初の探索はネギコースだ!
 

 (ネギコース)
 雑草はまばら。
 丈もくるぶし位までしかなく、歩きやすい。
 ……ヤバい気がする。
 普通の、森ってどんな感じだっけ?
 人の手が入ってない所はモサモサ生えてるイメージだが、木が密集して光が届かない場合は、光を必要としない植物がワサワサあるはずだ。
 ここに人は入り込まないはず。

 『※その認識でOKです』

 なら、代わりの生物が頻繁に闊歩している……?

 『※その認識でOKです』 

 ……しかも、団体様……で?

 『※その認識でOKです』

 き……危害を加えて来る……事もある?

 『※その認識でOKです』

 …………今、ここ、安全?

 ……ヤバ。
 最大級の警戒態勢のもと、速やかに退避した方が安全?!

 …………

 oh……両方OUTやんけ。

 ならば、最大限慎重に。
 警戒レベルMAXで。
 木と一体化しながら進もう。
 緩やかな気分じゃダメだな。
 
 『※その認識でOKです』

 ようやくOK……
 了解。それで行く。
 一応、木の棒にナイフを麻紐で括り付け、槍モドキを作ってから出発した。

 大型のヤツには効果ゼロだが、気持ち的には何かしら持ってた方が紛れるからな。
 【身体強化】も使っていた方が良いだろうか?

 『※その認識でOKです』

 即、発動。
 【隠匿】は情報だけだろうか?

 『※その認識でOKです』

 そっか……そんな都合よくいかないよな。
 習得率が上がればわからんが……

 『※その認識でOKです』

 そうなのっ?!
 なら、ここは頑張るか。
 ソロリと進み、木と一体化。
 五感を最大限に働かせ……何か聞こえるな。
 感覚的には5m先位で聞こえる……
 マジかよ……

 恐る恐る覗くと、予想の位置に変化は無い。
 アレだ……【身体強化】がいい仕事してるんだ。

 『※その認識でOKです』

 ビクッとしてしまった……
 認識さん、あんた空気読んでくれよ……
 つまり、遠くの物音なんだな?

 『※その認識でOKです』

 10m先位?
 ……もっと遠い?

 『※その認識でOKです』

 50m先位?

 『※その認識でOKです』

 気付かれたか?
 ……大丈夫そうだな。
 
 『※その認識でOKです』

 木で遮られて、目視では確認できないな。
 存在感を消しつつ近くの木に溶け込みながら、ソロリソロリと離れる作戦で移動する。
 もう、すでに安全な場所などないのだ。
 ここに生息する生き物の状況が分からないと、拠点どころか休む事もままならないな……
 どこかでプツンと切れるかもしれんが。
 できるだけやってやるさ。
 【鑑定】も発動させておく。
 危害を加えるモノを赤表示でお願いします………と強く念じておこう。

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