官能小説短編集

椿

文字の大きさ
1 / 5

亡国の巫女

しおりを挟む
巫女はただ一人、神の前で膝まついて祈りを捧げていた。




祈りの内容は巫女自身わからなかった。



陽という国が自分を岩でできた祠に閉じ込めた。神の怒りを沈めるための人柱として。


母は陽の皇帝から一時的な情けを頂戴した。


母が自分を身籠ると寵愛はなくなった。


それでも、二人だけで平和な日常を送っていた。


おぼろげに巫女は母の顔を思い出す。


祠にある記録によれば、私は4歳で巫女となったらしい。


母は同じ年に病死した。


きっと殺されたのだろうと巫女は考えた。


そんな母娘を、他の公主や妃ではなく、私たちから日常を奪った陽という国の戦祈願をするなんて皮肉だと巫女は考えた。



巫女である自分は必要以外話さなくなり、周りからは、巫女らしくなったと言われた。



昨年15になった時、父である皇帝がなくなり、腹違いの兄が皇帝の代替わりの挨拶に祠に訪れた。


久しぶりの肉親にまみえたのに、何も感じなかった。


そう、私はただ疲れたのだ。16で、世間では花も恥じらう年なのに、屍同然だ。


私の役目は燕の国が攻めてきたら、和平交渉の役目を全うし、民の安全と皇帝一家の命乞いを自分の命と引き換えにするだけだ。

もうすぐ終わるのだ。


そう考えにふけっていると、祠の玄関でガヤガヤする音が聞こえてきた。


侍女の声と太い男性の声が聞こえる。



巫女殿はこちらかな?太く、楽しんでいる声が静かに響いた。



巫女は声の主を振り返ってみた。



そこには自分をまっすぐ見る鷹の様な目があった。


祠の天井が低い様で彼は体をかがめていた。




ゆっくりと彼が巫女との距離を縮めてきた。



お前が巫女か?



こくり。





口が聞けないのか?


まあ いい。今日からお前は俺の妻だ。


一応お前抜きで祝言はあげた。お前の兄も承知している。




言っていることは理解できた。理屈では。ただ感情がついてかないだけだった。



とりあえず、ここから出ろ。ここは寒い。湯に漬かれ。病気になりたいのか。


硬直している自分を見て、その男はため息をついた。そして何を思ったのか男の広い背中に担ぎあげた。



外の空気を一気に浴びて私は失神した。


気がついた時私は湯船の中にいた。








髪は洗われ、体は花びらを浮かべた湯でほぐされていた。






































































しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

処理中です...