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魔王の誘い
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嫌みを含んだ言葉をかけられた魔王が、ふわぁ~ぁ~ と大きなあくびをした。その玉座の左右では、幼態成熟型の魔族が魔鳥の羽で作られた大きな扇をゆったりと煽いでいる。
色鮮やかで露出の高い衣装を身に着けた稚児たち。魔王好みの姿形を強いられている彼らの他に誰もいないが、仮に魔界の名だたる古参の公爵連中がその場にいたとしても、ラシュレスタの口調を咎める者などいない。
天界からの付き合い。魔界という低次元の階層へと堕ちた者同士。周知された特殊な関係なのだ。
「執拗のぅ・・・粘着質のぅ・・・結構、結構、大変結構ではないかぁ~ フフ・・・我は魔族の長たる存在、我が執拗でなくてどうするぞ? 我はそれほどまでにそなたを抱きたいのだ・・・いよいよ、そんなこともわからなくなったか・・・フフ・・・」
ボケて愚鈍となってきているのはどちらなのか―――思わず反論したくなる口調。だが、瞳の奥にある爛々とした輝きから、今日はまだ言葉遊びの域で仕掛けてきている・・・と見て取ったラシュレスタがこれ見よがしに肩をすくめて見せた。
「徒労に終わる執拗とは、まさにネチネチした世迷い言でしかないと言えるでしょうな」
「これはこれはおかしなことを言うのぅ・・・そんなことは徒労に終わらせなければよいだけの話ではないか・・・のぅ? 愛妾という響きは不服かぁ~? 自尊心が許さないかぁ~? ならば魔界の名司令官殿よ、その任務と兼ねればよい・・・許そうぞ」
「そういう問題ではございません」
「では、どういう問題ぞ? そなたが拒み続けるのは、フフ・・・アレへの未練が理由であろう? だが、アレがそなたの望みを叶えることなどない。愛は悪い夢ぞ・・・いい加減、自由になったらどうだ・・・フフフ・・・」
「・・・関係ございません。邪推も極まりますな」
およそ似つかわしくない愛という言葉を口にする存在。老害な印象すら与えるほどに愚の権化と化しながらも、時折垣間見せるかつての知性とその背景。
(悪い夢・・・か・・・自由・・・か・・・)
だが冷ややかに応じながらも、ラシュレスタが完全防御を自負してきた心へと想定外な強さでもって突き刺さったその響きに囚われる。
確かに身を置いているのは永遠の監獄なのかもしれない。しかし、だとしても元より自由など求めていない。繋がり続けたいのだ。縛りが唯一の絆なのだから。それは同様であろう? ラシュレスタが密かに目の前の相手に問いかけた。
「我を代わりにすればいい・・・それだけのことよ、ラシュレスタ・・・」
下を向いて視線を合わせない自分にかけられた言葉。ラシュレスタがわずかに目を見開いた。
色鮮やかで露出の高い衣装を身に着けた稚児たち。魔王好みの姿形を強いられている彼らの他に誰もいないが、仮に魔界の名だたる古参の公爵連中がその場にいたとしても、ラシュレスタの口調を咎める者などいない。
天界からの付き合い。魔界という低次元の階層へと堕ちた者同士。周知された特殊な関係なのだ。
「執拗のぅ・・・粘着質のぅ・・・結構、結構、大変結構ではないかぁ~ フフ・・・我は魔族の長たる存在、我が執拗でなくてどうするぞ? 我はそれほどまでにそなたを抱きたいのだ・・・いよいよ、そんなこともわからなくなったか・・・フフ・・・」
ボケて愚鈍となってきているのはどちらなのか―――思わず反論したくなる口調。だが、瞳の奥にある爛々とした輝きから、今日はまだ言葉遊びの域で仕掛けてきている・・・と見て取ったラシュレスタがこれ見よがしに肩をすくめて見せた。
「徒労に終わる執拗とは、まさにネチネチした世迷い言でしかないと言えるでしょうな」
「これはこれはおかしなことを言うのぅ・・・そんなことは徒労に終わらせなければよいだけの話ではないか・・・のぅ? 愛妾という響きは不服かぁ~? 自尊心が許さないかぁ~? ならば魔界の名司令官殿よ、その任務と兼ねればよい・・・許そうぞ」
「そういう問題ではございません」
「では、どういう問題ぞ? そなたが拒み続けるのは、フフ・・・アレへの未練が理由であろう? だが、アレがそなたの望みを叶えることなどない。愛は悪い夢ぞ・・・いい加減、自由になったらどうだ・・・フフフ・・・」
「・・・関係ございません。邪推も極まりますな」
およそ似つかわしくない愛という言葉を口にする存在。老害な印象すら与えるほどに愚の権化と化しながらも、時折垣間見せるかつての知性とその背景。
(悪い夢・・・か・・・自由・・・か・・・)
だが冷ややかに応じながらも、ラシュレスタが完全防御を自負してきた心へと想定外な強さでもって突き刺さったその響きに囚われる。
確かに身を置いているのは永遠の監獄なのかもしれない。しかし、だとしても元より自由など求めていない。繋がり続けたいのだ。縛りが唯一の絆なのだから。それは同様であろう? ラシュレスタが密かに目の前の相手に問いかけた。
「我を代わりにすればいい・・・それだけのことよ、ラシュレスタ・・・」
下を向いて視線を合わせない自分にかけられた言葉。ラシュレスタがわずかに目を見開いた。
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