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忘却の河のほとりには
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キィィィイィィィーーーーーン・・・・・・・
上空から聞こえてきた微音と振動。防戦一方だった一同が、ハッと顔を上げた。
魔界と妖精界の中間域。本来ならば、魔気と妖気、同格の気で、調和が取れていなければいけない場所。
だが今は、怒りの邪気に侵され、闇へと傾斜するだけだったその空間に、
シャャアァァァァァーーーーーッ・・・・・・・
と黄金の光が濃く長く、幅広く鋭く、無数の放射線となって広がった。
上空に出現した眩しい金色の輝き。どういうわけか気配がまったく感じられなかった存在が、ようやく聖なる羽音とともに降臨した。
ひれ伏すほどの威厳とともに舞い降りてくる。八枚羽の完全形態で。その光り輝く壮麗な姿態の、心打ち震えるほどの美しさに、力強さに、心強さよ。
「シャルスティーヤさま・・・」
ネイオロスを始めとする天使の軍団が、我知らず、崇高なる御名を口にした。
キラキラとした光の粒子。瞬時にして、聖なる浄化の光で傷ついた身体とくじけていた心が癒される。
魂が揺さぶられ、目頭が熱くなるほどの尊さ。天界の絶対的頂点、自分たちの誇り。最高天使。
ザッ・・・とその宙に、一斉に跪いた。
「遅れてすまなかった・・・よくぞ対応してくれていた。皆に感謝する」
六枚羽の上級天使ですら、眩しいと感じる次元の光の中、凜とした声が告げた。
「今からここは、我が引き受ける。皆は、いつもの持ち場に戻ってくれ。特に、人間界と妖精界への“紐“で発生した綻びに至急、対処してくれ。既に、各界の脆弱な基盤に影響が発生している」
「はっ!!」
誰しもが厳かに頭を下げた。
階層と階層の中間域に点在する要所、気場。
互いの属性の気が階層構造を支える、その重大な流動地点一帯を、縦横無尽に移動しては、派手に攻撃を仕掛けていた存在。
なぜなら、それはよくよく知っているからだ。
自分の繰り出す負の波長が、階層を繋ぐ光路、“紐”のバランスを崩し、流れ出ることで、妖精界や人間界へと甚大な災害をもたらすことを。
その狡猾な相手が、うねうねと尾をくねらせて見上げている。天使が一丸となっても適わない、禍々しい邪気を漂わせながら。
闇色の全身をメリメリと異物で盛り上げ、側頭部には山羊の角。背中には巨大な蝙蝠の翼を広げ、下半身は大きく長く伸びる、ヘビの尾へと繋がっている。
魔獣を表面化させている、魔王としても最強の形態を取っている相手に、シャルスティーヤが向き合った。背後に命じる。
「直ちにあたれ」
「はっ!!」
絶大な信頼をもって、全員が即座に従う。
ザンッ!!
とそろって翼を奮い立たせた。力強く飛び立っていく。
「遅かったではないか・・・どこで、なにをしておったのだ? シャルスティーヤよ」
自分の領域であろうとなかろうと。同族を巻き添えにしようとなんだろうと。
一切関係なく、樹海の木々をなぎ倒し、渓谷の崖を切り崩し、草原を焼き払い、怒りのままに暴れていた魔王が口を開いた。
「そなたがなかなか現れないからのぅ・・・仕込んである駒でも使って、人間界に降りてやろうかと思ってたところよ」
キィィィイィィィーーーーーン・・・・・・・
上空から聞こえてきた微音と振動。防戦一方だった一同が、ハッと顔を上げた。
魔界と妖精界の中間域。本来ならば、魔気と妖気、同格の気で、調和が取れていなければいけない場所。
だが今は、怒りの邪気に侵され、闇へと傾斜するだけだったその空間に、
シャャアァァァァァーーーーーッ・・・・・・・
と黄金の光が濃く長く、幅広く鋭く、無数の放射線となって広がった。
上空に出現した眩しい金色の輝き。どういうわけか気配がまったく感じられなかった存在が、ようやく聖なる羽音とともに降臨した。
ひれ伏すほどの威厳とともに舞い降りてくる。八枚羽の完全形態で。その光り輝く壮麗な姿態の、心打ち震えるほどの美しさに、力強さに、心強さよ。
「シャルスティーヤさま・・・」
ネイオロスを始めとする天使の軍団が、我知らず、崇高なる御名を口にした。
キラキラとした光の粒子。瞬時にして、聖なる浄化の光で傷ついた身体とくじけていた心が癒される。
魂が揺さぶられ、目頭が熱くなるほどの尊さ。天界の絶対的頂点、自分たちの誇り。最高天使。
ザッ・・・とその宙に、一斉に跪いた。
「遅れてすまなかった・・・よくぞ対応してくれていた。皆に感謝する」
六枚羽の上級天使ですら、眩しいと感じる次元の光の中、凜とした声が告げた。
「今からここは、我が引き受ける。皆は、いつもの持ち場に戻ってくれ。特に、人間界と妖精界への“紐“で発生した綻びに至急、対処してくれ。既に、各界の脆弱な基盤に影響が発生している」
「はっ!!」
誰しもが厳かに頭を下げた。
階層と階層の中間域に点在する要所、気場。
互いの属性の気が階層構造を支える、その重大な流動地点一帯を、縦横無尽に移動しては、派手に攻撃を仕掛けていた存在。
なぜなら、それはよくよく知っているからだ。
自分の繰り出す負の波長が、階層を繋ぐ光路、“紐”のバランスを崩し、流れ出ることで、妖精界や人間界へと甚大な災害をもたらすことを。
その狡猾な相手が、うねうねと尾をくねらせて見上げている。天使が一丸となっても適わない、禍々しい邪気を漂わせながら。
闇色の全身をメリメリと異物で盛り上げ、側頭部には山羊の角。背中には巨大な蝙蝠の翼を広げ、下半身は大きく長く伸びる、ヘビの尾へと繋がっている。
魔獣を表面化させている、魔王としても最強の形態を取っている相手に、シャルスティーヤが向き合った。背後に命じる。
「直ちにあたれ」
「はっ!!」
絶大な信頼をもって、全員が即座に従う。
ザンッ!!
とそろって翼を奮い立たせた。力強く飛び立っていく。
「遅かったではないか・・・どこで、なにをしておったのだ? シャルスティーヤよ」
自分の領域であろうとなかろうと。同族を巻き添えにしようとなんだろうと。
一切関係なく、樹海の木々をなぎ倒し、渓谷の崖を切り崩し、草原を焼き払い、怒りのままに暴れていた魔王が口を開いた。
「そなたがなかなか現れないからのぅ・・・仕込んである駒でも使って、人間界に降りてやろうかと思ってたところよ」
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