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1 王女殿下の魔猫編
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私はクラウドを睨みつけた。
「クラウド、監視は?」
「いや、すまん」
せっかく、預かり所のおじさんたちが警告してくれたのに!
おじさんたちの話を受け、私はクラウドに二人の監視をお願いしていたのだ。
その二人とは、
「くそっ。もう感づかれたか」
今まで目立った行動を一切してこなかった、その他の二人。
そう。おじさんたちは、いかにも問題を起こしそうな五人ではなく、目を引かない立ち振る舞いで大人しそうな様子の二人について、情報をくれた。
窃盗計画があるにはあるんだろうけど、
「少し適当じゃない?」
「緻密に計画しなくても大丈夫だと踏んだんだろ」
鞘に向けて手を差し伸べていた方の男が、慌てて鞘のうちの一つを手に取って、そのまま抱え込む。
「ちっ。女を人質にしろ。誰でもいい」
私がマリーアンに話しかけられ、クラウドが気を取られている隙に、片方が死角を作ってもう片方が鞘を手にする。
まぁ、それだけなら、私とクラウドはごまかせても、警備の騎士は気づくだろう。
なのに、注意されることもなく、事が進んだという事は…………
「警備担当は何やってるんだよ」
監視の目を放した自分のことは棚に上げて、クラウドが文句を言った。
警備の騎士がいるのは剣の両脇。
鞘が置かれている台座のさらに奥。
そこでは、鞘の窃盗と同時進行で、これまた大変なことが起きていた。
「ちょっと触るだけだろ。頭の固い奴らだな」
小憎たらしいヤツらのうち四人が二人ずつ警備の騎士に群がっている。そして残りの一人が中央の剣に触ろうとしていた。
騎士の行動を邪魔して一人が剣に触る。
作戦自体は悪くはないけど、第三騎士団の騎士を舐めないでもらいたい。
次の瞬間、
バターーーーン
「ぐはっ」
「ゲヘッ」
勝負は瞬きする間に終わる。
それぞれの騎士の気を引いていた二人が揃って、あっという間に投げ倒された。
「嘘だろ。もうちょっとくらい、時間稼ぎしろよ」
五人のうち残った一人が慌てる。
「腰抜け騎士だって聞いてたのに」
気になる台詞を呟きながら、真ん中の剣に抱きつこうとした、その時。
「にゃー」
どこから紛れ込んだのか、黒猫が引っ掻いた。
「痛っ。なんだ、この猫?!」
「人質を取れ」
「にゃーにゃー」
「好き勝手なこと、させるかよ」
「お飾りの警備じゃなかったのか」
「お嬢さま、こちらへ」
「雑用だって言ってたのに」
「あらぁ」
「話が違う!」
「なっ」
うん。あちこちで同時にいろいろ起こっていて、混沌としている。
会話も入り乱れていて、何がなんだかよく分からない。
それにしても。
第三騎士団が『腰抜け』とか『お飾り』とか、誰が言ったわけ?
私はムカムカしてきた。
第三騎士団が雑務を扱うからって、そんな言われ方をされる覚えはない。
クラウドだって性格は軽いけど、騎士として真面目に訓練しているし。他の騎士だって、訓練内容や厳しさは第一や第二騎士団に劣らないのだ。もちろん実力だって。うん、実力は…………たぶん。
私は悔しさに手を握りしめた。
まずは目の前のことを収拾しないと。
クラウドに目配せをすると、クラウドはコクリと頷く。
いつもとは違う、軽さの抜けた顔。
いつもこういう顔をしてればいいのに。
クラウドはおもむろに走り出した。恐れるそぶりも見せず、鞘を抱え込む窃盗犯の一人に向かって突っ込む。
それを見て慌てた窃盗犯のもう一人が、マリーアンを人質にしようと駆け寄ってきた。
こちらは私が相手だ。
刃物は持っていないはずだし。魔法もここでは大抵の人は使えない。
残るは腕力のみ。
マリーアンを庇うように私は前に出て、殴りかかってきた男に立ち向かう。
「!」
と見せかけて、すっとしゃがみこんで、足元を狙った。
「うっ」「ぐはっ」
男の腕が大きく空振り、体勢を崩す。その直後、私の足に引っかかって、盛大に転んだ。
「ううっ、いたたたたた」
かけた私の足も痛い。地味に痛い。勢いよく走ってきた男の足と私の足では、どう考えたって私の足が負けるよね。
そもそも、私は肉体派ではないのよ、クラウドたちと違って。
こういった肉弾戦や近接戦は得意ではないので、訓練も形だけだった。うん。今度からはきちんと訓練を受けよう。走り込みもちゃんとやろう。
「ぐっ、ぐぐぅ」
て、ゆっくりしている場合じゃない。
倒れた男の呻き声が、すぐそばで聞こえる。
倒しただけじゃダメだった。押さえつけないと、マリーアンが危ない!
立ち上がって振り返る。
「え?」
思わず目が丸くなる。顔もほけっとしていたかもしれない。
振り返って目の前に展開されている光景を見て、そのくらい、私は呆気にとられていた。
「マリーアンのお友だちは、凄いんですのぉ~」
やたら元気なマリーアンの声が耳に響く。
「いや、どう見てもお友だちじゃなくて、護衛でしょ?!」
私の目の前に展開されているのは、マリーアンのお友だちというポジションの侍女、つまり、マリーアンと同じくらいの体格の女子二人に、男が倒れたまま取り押さえられているという光景。
って、あり得なくない?
しかも、後ろ手で両腕をねじ上げられていて、痛そうだし苦しそうだし。
どう見たって、女子二人の方が腕細いし。うん。私の腕と大差ないよ、あれ。
もしかして、私も鍛えたらあのくらいいけるのか。いや、やっぱりいけないわ。ムリムリ。
とにかく、マリーアンの侍女さんたちは凄かった。
「みんな、凄いわぁ」
「「恐れ入ります」」
うん。第三騎士団の騎士並に凄いかも。
そうそう。窃盗犯はこいつだけじゃなかったっけ。もう一人はクラウドが格闘中。急いで応援に入らないと。
私は侍女さんたちに、ペコリと頭を下げる。
「ご協力、感謝します。応援が来るまで、逃がさないようお願いします」
「「承知しました」」
侍女さんたちが男を押さえつけながら、綺麗に揃って一礼してくれた。
そして、胸元のスカーフを外して縄の代わりにし、手慣れた手付きで縛り上げていく。
ちょっと、手慣れすぎていて怖い。
うん。任せておいて大丈夫そうだ。
さて、クラウドの方はというと、
「あらぁ。こちらも終わってますわねぇ。見物し損ないましたわぁ」
「おうよ。こっちも取り押さえ完了だ」
魔術処理を施された縄で、もう一人の窃盗犯も、テキパキと後ろ手に縛り上げられていた。
鞘は床にごろんと転がっていて、悔しそうに顔をゆがめる男。
「後はあっちだけだな」
顔をくいっと向けて、クラウドは部屋の奥を見た。
「クラウド、向こうの部屋にいる人に連絡しといて」
「分かった」
「侍女さんたち、ちょっとだけこの人も見張っておいていただけます?」
「「承知しました」」
残るは部屋の最奥の騒動のみ。
「あらぁ。あちらは凄いことになってますわよ~」
マリーアンの目がおもしろそうにキラリと輝いた。
「クラウド、監視は?」
「いや、すまん」
せっかく、預かり所のおじさんたちが警告してくれたのに!
おじさんたちの話を受け、私はクラウドに二人の監視をお願いしていたのだ。
その二人とは、
「くそっ。もう感づかれたか」
今まで目立った行動を一切してこなかった、その他の二人。
そう。おじさんたちは、いかにも問題を起こしそうな五人ではなく、目を引かない立ち振る舞いで大人しそうな様子の二人について、情報をくれた。
窃盗計画があるにはあるんだろうけど、
「少し適当じゃない?」
「緻密に計画しなくても大丈夫だと踏んだんだろ」
鞘に向けて手を差し伸べていた方の男が、慌てて鞘のうちの一つを手に取って、そのまま抱え込む。
「ちっ。女を人質にしろ。誰でもいい」
私がマリーアンに話しかけられ、クラウドが気を取られている隙に、片方が死角を作ってもう片方が鞘を手にする。
まぁ、それだけなら、私とクラウドはごまかせても、警備の騎士は気づくだろう。
なのに、注意されることもなく、事が進んだという事は…………
「警備担当は何やってるんだよ」
監視の目を放した自分のことは棚に上げて、クラウドが文句を言った。
警備の騎士がいるのは剣の両脇。
鞘が置かれている台座のさらに奥。
そこでは、鞘の窃盗と同時進行で、これまた大変なことが起きていた。
「ちょっと触るだけだろ。頭の固い奴らだな」
小憎たらしいヤツらのうち四人が二人ずつ警備の騎士に群がっている。そして残りの一人が中央の剣に触ろうとしていた。
騎士の行動を邪魔して一人が剣に触る。
作戦自体は悪くはないけど、第三騎士団の騎士を舐めないでもらいたい。
次の瞬間、
バターーーーン
「ぐはっ」
「ゲヘッ」
勝負は瞬きする間に終わる。
それぞれの騎士の気を引いていた二人が揃って、あっという間に投げ倒された。
「嘘だろ。もうちょっとくらい、時間稼ぎしろよ」
五人のうち残った一人が慌てる。
「腰抜け騎士だって聞いてたのに」
気になる台詞を呟きながら、真ん中の剣に抱きつこうとした、その時。
「にゃー」
どこから紛れ込んだのか、黒猫が引っ掻いた。
「痛っ。なんだ、この猫?!」
「人質を取れ」
「にゃーにゃー」
「好き勝手なこと、させるかよ」
「お飾りの警備じゃなかったのか」
「お嬢さま、こちらへ」
「雑用だって言ってたのに」
「あらぁ」
「話が違う!」
「なっ」
うん。あちこちで同時にいろいろ起こっていて、混沌としている。
会話も入り乱れていて、何がなんだかよく分からない。
それにしても。
第三騎士団が『腰抜け』とか『お飾り』とか、誰が言ったわけ?
私はムカムカしてきた。
第三騎士団が雑務を扱うからって、そんな言われ方をされる覚えはない。
クラウドだって性格は軽いけど、騎士として真面目に訓練しているし。他の騎士だって、訓練内容や厳しさは第一や第二騎士団に劣らないのだ。もちろん実力だって。うん、実力は…………たぶん。
私は悔しさに手を握りしめた。
まずは目の前のことを収拾しないと。
クラウドに目配せをすると、クラウドはコクリと頷く。
いつもとは違う、軽さの抜けた顔。
いつもこういう顔をしてればいいのに。
クラウドはおもむろに走り出した。恐れるそぶりも見せず、鞘を抱え込む窃盗犯の一人に向かって突っ込む。
それを見て慌てた窃盗犯のもう一人が、マリーアンを人質にしようと駆け寄ってきた。
こちらは私が相手だ。
刃物は持っていないはずだし。魔法もここでは大抵の人は使えない。
残るは腕力のみ。
マリーアンを庇うように私は前に出て、殴りかかってきた男に立ち向かう。
「!」
と見せかけて、すっとしゃがみこんで、足元を狙った。
「うっ」「ぐはっ」
男の腕が大きく空振り、体勢を崩す。その直後、私の足に引っかかって、盛大に転んだ。
「ううっ、いたたたたた」
かけた私の足も痛い。地味に痛い。勢いよく走ってきた男の足と私の足では、どう考えたって私の足が負けるよね。
そもそも、私は肉体派ではないのよ、クラウドたちと違って。
こういった肉弾戦や近接戦は得意ではないので、訓練も形だけだった。うん。今度からはきちんと訓練を受けよう。走り込みもちゃんとやろう。
「ぐっ、ぐぐぅ」
て、ゆっくりしている場合じゃない。
倒れた男の呻き声が、すぐそばで聞こえる。
倒しただけじゃダメだった。押さえつけないと、マリーアンが危ない!
立ち上がって振り返る。
「え?」
思わず目が丸くなる。顔もほけっとしていたかもしれない。
振り返って目の前に展開されている光景を見て、そのくらい、私は呆気にとられていた。
「マリーアンのお友だちは、凄いんですのぉ~」
やたら元気なマリーアンの声が耳に響く。
「いや、どう見てもお友だちじゃなくて、護衛でしょ?!」
私の目の前に展開されているのは、マリーアンのお友だちというポジションの侍女、つまり、マリーアンと同じくらいの体格の女子二人に、男が倒れたまま取り押さえられているという光景。
って、あり得なくない?
しかも、後ろ手で両腕をねじ上げられていて、痛そうだし苦しそうだし。
どう見たって、女子二人の方が腕細いし。うん。私の腕と大差ないよ、あれ。
もしかして、私も鍛えたらあのくらいいけるのか。いや、やっぱりいけないわ。ムリムリ。
とにかく、マリーアンの侍女さんたちは凄かった。
「みんな、凄いわぁ」
「「恐れ入ります」」
うん。第三騎士団の騎士並に凄いかも。
そうそう。窃盗犯はこいつだけじゃなかったっけ。もう一人はクラウドが格闘中。急いで応援に入らないと。
私は侍女さんたちに、ペコリと頭を下げる。
「ご協力、感謝します。応援が来るまで、逃がさないようお願いします」
「「承知しました」」
侍女さんたちが男を押さえつけながら、綺麗に揃って一礼してくれた。
そして、胸元のスカーフを外して縄の代わりにし、手慣れた手付きで縛り上げていく。
ちょっと、手慣れすぎていて怖い。
うん。任せておいて大丈夫そうだ。
さて、クラウドの方はというと、
「あらぁ。こちらも終わってますわねぇ。見物し損ないましたわぁ」
「おうよ。こっちも取り押さえ完了だ」
魔術処理を施された縄で、もう一人の窃盗犯も、テキパキと後ろ手に縛り上げられていた。
鞘は床にごろんと転がっていて、悔しそうに顔をゆがめる男。
「後はあっちだけだな」
顔をくいっと向けて、クラウドは部屋の奥を見た。
「クラウド、向こうの部屋にいる人に連絡しといて」
「分かった」
「侍女さんたち、ちょっとだけこの人も見張っておいていただけます?」
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