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6 辺境伯領の噴出編
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会議室は混沌としていた。
大声で会話をしている人、のんびりお茶をする人、各席に置かれている資料を読み込む人。
私は無意識のうちに、キョロキョロと部屋の中を見回していた。
「いないな」
私の隣では、クラウド先輩がポツリとつぶやく。
いない。どこにもいない。
クラウド先輩の仄かな期待を裏切るように、私の決死の覚悟をあざ笑うように、ルベラス先輩の姿はどこにもなかったのだ。
各隊の隊長と副隊長、そして隊付きの魔術師はすでに揃っていて、ヴァンフェルム団長もユースカペル副団長もすでに席についていた。
魔術師長のパシアヌス様、会議の記録やお茶の配膳をする事務方もいる。
なのに、ルベラス先輩だけいない。
「団長! エルシアはいないんですか?」
突然の大声に私はビクッとした。
クラウド先輩が訊ねたのかと思ったけど、そうじゃない。
この声は、第一隊のフェリクス副隊長。
「フェリクス、少し落ち着け」
続いて聞こえてきたのは、第一隊のケニス隊長の声。
「ケニス隊長、落ち着いてなんかいられませんよ。エルシアには確認しておきたいことがあるんですから」
「でも、いないじゃないか。だから落ち着け」
「エルシア、どこ行っちゃったのよぅ?」
「二人して、騒がないでもらいたいんだがな」
ケニス隊長も十分、騒がしいですよ。
とはもちろん、声をかけられることも出来ず。第一隊の三人が騒ぐ中、第五隊の私たちは立ち尽くしていた。
「エルシアのヤツ、また何かやったんじゃないのか?」
「ここしばらく、おとなしかったからな」
あちこちから他の隊の声も漏れ聞こえる。どれも物騒な事態を窺わせるものばかり。
「ルベラス先輩って、いつも何かやらかしてるんですか?」
だから、つい口をついて出てしまった。
言葉が出てから、あっと思ったけど、後の祭。予想通り、クストス隊長から渋い顔を向けられる。
「フォセル嬢、誤解を招く言い方は良くないな」
「だって、みなさんの会話が」
私は慌てて、クストス隊長の注意を他に向けさせた。
私の発言が発端となって、ルベラス先輩を貶めるような騒ぎにまで発展し、調査部から厳重注意を受けたのが、つい最近のこと。
またもや、私の発言が原因と思われてしまうと、今度は注意だけでは済ませてもらえない。
私は必死になって辺りを指差す。
指差しは失礼だとかなんだとか言っていられなかった。
「エルシア、今度は誰を殴ったんだ? また反省文になったのか?」
「反省文は大丈夫じゃないか? あいつ、この前、二発なら反省文にならないからって言ってたし」
「「二発までならいいんだ」」
「二発は注意のみで、四発やったら反省文になったらしいぞ」
隊長たちから、殴ったとか反省文とかいう言葉が飛び交っている。
「あー」
「エルシア、ふだんがふだんですからね」
額に手を当てて唸りだしたクストス隊長の隣で、クラウド先輩が遠い目をした。
数秒後。
「んんんん、フォセル嬢。体技の手合わせの時に、相手を殴ったら『やらかした』ことになるか?」
すぐさま復活したクストス隊長からの質問に、考えることもなく、私は答える。
「いいえ、なりませんけど」
「つまり、そういうことだ」
「え? クストス隊長、魔術師に体技は必要ありませんけど?」
訳知り顔をする隊長。
どこにも繋がらないムチャクチャな話題を持ち出されて、私は困惑した。
私の困惑を物ともせず、クストス隊長は話を続ける。
「エルシアは体技も出来る魔術師なんだ」
「え! 先輩、本当ですか?」
「まぁ、エルシアだからな」
隊長のムチャクチャな話を先輩はキッパリと肯定した。
なにそれ。聞いてない。ルベラス先輩、そんなに凄い人なわけ?
惨めな気持ちがまた押し寄せてきた。いったん落ち着いていたドキドキも、再び騒がしくなる。
「じゃあ、今回の闘技会のメンバーにも選ばれるんですか? 魔術師で体技も出来るなら、かなり有利ですよね?」
「それは団長たちが決めることだ」
クストス隊長は曖昧に頷くだけ。その言葉で私の気持ちが晴れることはなかった。
「ほらほらほら、席に着く。喋らない喋らない」
とうとう、ヴァンフェルム団長が全体に向けて注意を呼びかけ始める。
団長の注意を受け、立ち尽くしていた私たちは自分たちの席につき、すでに席についていた人たちは、一人、二人と静かになっていった。
静まり返って、今まさに始まろうとした矢先。
「団長! エルシアはいないんですか?」
またもや、同じ質問が繰り出させる。
「フェリクス、今、なんで集まってるのかな?」
「闘技会の話し合いですよね? 出場メンバーを選出するための。
だから、正副隊長と魔術師が全員集まってるのに、どうしてエルシアがいないんですか?!」
固唾をのんで見守る他の人たち。
なんだか答えたくなさそうな雰囲気のヴァンフェルム団長は、みんなの視線を受けて仕方なさそうに、隣に座るユースカペル副団長にチラッと視線を走らせた。
副団長の方は一瞬、躊躇った後、同じく仕方なさそうに答える。
「ルベラスは出場しないからだ」
どよめく会議室。
団長は慌てて、理由を説明し始めた。
「あー、ルベラス君の後援家門と『そういう取り決め』をしていたんだよ」
第一騎士団や王宮魔術師団に即配属されるだけの実力を持つルベラス先輩は、『後援家門の意向』で第三騎士団配属が決まったそうだ。
ルベラス先輩の後援家門は僻地なので、王都が気に入って、そのまま王都に残られては困るから、だそうで。
第三騎士団の勤務も最短で一年間、最長で十八歳になるまで、と期限が設けられている他、公式戦は後援家門に属する、後援家門の領地でトラブルがあった際は領地に戻るなど、第三騎士団と後援家門の間で様々な契約がなされていた。
唖然として話を聞く私たち。
クストス隊長までも「そんな契約で縛りつける後援家門なんてあるか?」と憤っている。
私も少しだけルベラス先輩に同情した。
平民出身の魔術師の場合、後援家門によっては厳しく家門に縛り付けるところがあると聞く。
ルベラス先輩のところもきっと、そうなんだわ。
同情すると同時に、安堵する気持ちが湧き起こってきた。惨めな気持ちもすっかりなくなる。
クラウド先輩がいくらルベラス先輩のことを想っていても、けっきょく先輩は諦めざるを得ないんだ。『宿命の絆』の男主人公がそうだったように。
私はついこの前、発売になったばかりの小説『宿命の絆』の内容を思い起こした。
『真実の愛』、『運命の恋』に続く新作の女主人公のモデルはこの私。もちろん、おもしろく脚色して書いてあるので、現実とまるっきり同じではない。
今回の女主人公は、脇役の女性を嫉妬して妬んで嫌がらせをしたりと、とんでもない行動をするんだけど、読者からは逆にそのとんでもなさが支持されていた。
もちろん、私は小説のような『とんでもない行動』はやってないし、これからもやらないけど。
私が他のことを考えているうちに、会議室のざわめきが消えた。
「つまり、エルシアが他の騎士団から出場してくるってことですね」
という発言を境に。
「みなさん、どうしたんですか?」
「エルシアが敵に回るから、戦意喪失ってところだな」
あまりの静かさに心配になって、隣に座るクラウド先輩に質問をすると、当然だろうと言わんばかりの答えが返ってくる。
静まり返ったみんなを見て、ヴァンフェルム団長からも声がかかった。
「まぁ。気持ちは分かるけどなぁ。お前たち、最初からそんな態度でどうする?」
それでも静まり返ったまま。
「いいか? いくらルベラスが危険物だとは言っても、所詮は個人。闘技会は団体戦なんだ。団体戦には団体戦の戦い方があるだろう」
業を煮やしたユースカペル副団長がなんだか酷いことを言い出す。
「ルベラス先輩、危険物扱いされてる」
せめて、要注意人物とか言ってあげればいいのに。
この日、ルベラス先輩に対して二度目の同情をする私。
「それに、杖持ちが参加となると、参加人数が制限される。ルベラスクラスなら、かなりのペナルティが加わるはずだ」
「いちおう、王都騎士団の方の事前情報は手元の資料を参考にしてください。去年の闘技会のデータを元に作成してあります」
なるほどと、目の前に置かれていた資料をパラパラめくる。
「さすが、ユースカペル副団長は冷静に戦力分析しますね」
「それを言ったら、パシアヌス様の資料だってかなり詳細だぞ」
ようやく会議室に明るさが戻ってきた。
「以上のことから、パシアヌス殿と協議した結果、今年の目標が決まった」
目標を決め、作戦を決め、適した参加者を選出する。これが今日の会議の流れだとクストス隊長が説明する。
その大事な目標が発表された。
「今年は準優勝狙いだ」
………………………………………………え?
普通は優勝、でしょ?
最初から二位狙いなの?!
「ユースカペル君も最初からこんなだしなぁ」
団長のがっかりするようはつぶやきがこぼれる中、副団長を中心に『準優勝狙い』で議題はどんどん進んでいくのであった。
大声で会話をしている人、のんびりお茶をする人、各席に置かれている資料を読み込む人。
私は無意識のうちに、キョロキョロと部屋の中を見回していた。
「いないな」
私の隣では、クラウド先輩がポツリとつぶやく。
いない。どこにもいない。
クラウド先輩の仄かな期待を裏切るように、私の決死の覚悟をあざ笑うように、ルベラス先輩の姿はどこにもなかったのだ。
各隊の隊長と副隊長、そして隊付きの魔術師はすでに揃っていて、ヴァンフェルム団長もユースカペル副団長もすでに席についていた。
魔術師長のパシアヌス様、会議の記録やお茶の配膳をする事務方もいる。
なのに、ルベラス先輩だけいない。
「団長! エルシアはいないんですか?」
突然の大声に私はビクッとした。
クラウド先輩が訊ねたのかと思ったけど、そうじゃない。
この声は、第一隊のフェリクス副隊長。
「フェリクス、少し落ち着け」
続いて聞こえてきたのは、第一隊のケニス隊長の声。
「ケニス隊長、落ち着いてなんかいられませんよ。エルシアには確認しておきたいことがあるんですから」
「でも、いないじゃないか。だから落ち着け」
「エルシア、どこ行っちゃったのよぅ?」
「二人して、騒がないでもらいたいんだがな」
ケニス隊長も十分、騒がしいですよ。
とはもちろん、声をかけられることも出来ず。第一隊の三人が騒ぐ中、第五隊の私たちは立ち尽くしていた。
「エルシアのヤツ、また何かやったんじゃないのか?」
「ここしばらく、おとなしかったからな」
あちこちから他の隊の声も漏れ聞こえる。どれも物騒な事態を窺わせるものばかり。
「ルベラス先輩って、いつも何かやらかしてるんですか?」
だから、つい口をついて出てしまった。
言葉が出てから、あっと思ったけど、後の祭。予想通り、クストス隊長から渋い顔を向けられる。
「フォセル嬢、誤解を招く言い方は良くないな」
「だって、みなさんの会話が」
私は慌てて、クストス隊長の注意を他に向けさせた。
私の発言が発端となって、ルベラス先輩を貶めるような騒ぎにまで発展し、調査部から厳重注意を受けたのが、つい最近のこと。
またもや、私の発言が原因と思われてしまうと、今度は注意だけでは済ませてもらえない。
私は必死になって辺りを指差す。
指差しは失礼だとかなんだとか言っていられなかった。
「エルシア、今度は誰を殴ったんだ? また反省文になったのか?」
「反省文は大丈夫じゃないか? あいつ、この前、二発なら反省文にならないからって言ってたし」
「「二発までならいいんだ」」
「二発は注意のみで、四発やったら反省文になったらしいぞ」
隊長たちから、殴ったとか反省文とかいう言葉が飛び交っている。
「あー」
「エルシア、ふだんがふだんですからね」
額に手を当てて唸りだしたクストス隊長の隣で、クラウド先輩が遠い目をした。
数秒後。
「んんんん、フォセル嬢。体技の手合わせの時に、相手を殴ったら『やらかした』ことになるか?」
すぐさま復活したクストス隊長からの質問に、考えることもなく、私は答える。
「いいえ、なりませんけど」
「つまり、そういうことだ」
「え? クストス隊長、魔術師に体技は必要ありませんけど?」
訳知り顔をする隊長。
どこにも繋がらないムチャクチャな話題を持ち出されて、私は困惑した。
私の困惑を物ともせず、クストス隊長は話を続ける。
「エルシアは体技も出来る魔術師なんだ」
「え! 先輩、本当ですか?」
「まぁ、エルシアだからな」
隊長のムチャクチャな話を先輩はキッパリと肯定した。
なにそれ。聞いてない。ルベラス先輩、そんなに凄い人なわけ?
惨めな気持ちがまた押し寄せてきた。いったん落ち着いていたドキドキも、再び騒がしくなる。
「じゃあ、今回の闘技会のメンバーにも選ばれるんですか? 魔術師で体技も出来るなら、かなり有利ですよね?」
「それは団長たちが決めることだ」
クストス隊長は曖昧に頷くだけ。その言葉で私の気持ちが晴れることはなかった。
「ほらほらほら、席に着く。喋らない喋らない」
とうとう、ヴァンフェルム団長が全体に向けて注意を呼びかけ始める。
団長の注意を受け、立ち尽くしていた私たちは自分たちの席につき、すでに席についていた人たちは、一人、二人と静かになっていった。
静まり返って、今まさに始まろうとした矢先。
「団長! エルシアはいないんですか?」
またもや、同じ質問が繰り出させる。
「フェリクス、今、なんで集まってるのかな?」
「闘技会の話し合いですよね? 出場メンバーを選出するための。
だから、正副隊長と魔術師が全員集まってるのに、どうしてエルシアがいないんですか?!」
固唾をのんで見守る他の人たち。
なんだか答えたくなさそうな雰囲気のヴァンフェルム団長は、みんなの視線を受けて仕方なさそうに、隣に座るユースカペル副団長にチラッと視線を走らせた。
副団長の方は一瞬、躊躇った後、同じく仕方なさそうに答える。
「ルベラスは出場しないからだ」
どよめく会議室。
団長は慌てて、理由を説明し始めた。
「あー、ルベラス君の後援家門と『そういう取り決め』をしていたんだよ」
第一騎士団や王宮魔術師団に即配属されるだけの実力を持つルベラス先輩は、『後援家門の意向』で第三騎士団配属が決まったそうだ。
ルベラス先輩の後援家門は僻地なので、王都が気に入って、そのまま王都に残られては困るから、だそうで。
第三騎士団の勤務も最短で一年間、最長で十八歳になるまで、と期限が設けられている他、公式戦は後援家門に属する、後援家門の領地でトラブルがあった際は領地に戻るなど、第三騎士団と後援家門の間で様々な契約がなされていた。
唖然として話を聞く私たち。
クストス隊長までも「そんな契約で縛りつける後援家門なんてあるか?」と憤っている。
私も少しだけルベラス先輩に同情した。
平民出身の魔術師の場合、後援家門によっては厳しく家門に縛り付けるところがあると聞く。
ルベラス先輩のところもきっと、そうなんだわ。
同情すると同時に、安堵する気持ちが湧き起こってきた。惨めな気持ちもすっかりなくなる。
クラウド先輩がいくらルベラス先輩のことを想っていても、けっきょく先輩は諦めざるを得ないんだ。『宿命の絆』の男主人公がそうだったように。
私はついこの前、発売になったばかりの小説『宿命の絆』の内容を思い起こした。
『真実の愛』、『運命の恋』に続く新作の女主人公のモデルはこの私。もちろん、おもしろく脚色して書いてあるので、現実とまるっきり同じではない。
今回の女主人公は、脇役の女性を嫉妬して妬んで嫌がらせをしたりと、とんでもない行動をするんだけど、読者からは逆にそのとんでもなさが支持されていた。
もちろん、私は小説のような『とんでもない行動』はやってないし、これからもやらないけど。
私が他のことを考えているうちに、会議室のざわめきが消えた。
「つまり、エルシアが他の騎士団から出場してくるってことですね」
という発言を境に。
「みなさん、どうしたんですか?」
「エルシアが敵に回るから、戦意喪失ってところだな」
あまりの静かさに心配になって、隣に座るクラウド先輩に質問をすると、当然だろうと言わんばかりの答えが返ってくる。
静まり返ったみんなを見て、ヴァンフェルム団長からも声がかかった。
「まぁ。気持ちは分かるけどなぁ。お前たち、最初からそんな態度でどうする?」
それでも静まり返ったまま。
「いいか? いくらルベラスが危険物だとは言っても、所詮は個人。闘技会は団体戦なんだ。団体戦には団体戦の戦い方があるだろう」
業を煮やしたユースカペル副団長がなんだか酷いことを言い出す。
「ルベラス先輩、危険物扱いされてる」
せめて、要注意人物とか言ってあげればいいのに。
この日、ルベラス先輩に対して二度目の同情をする私。
「それに、杖持ちが参加となると、参加人数が制限される。ルベラスクラスなら、かなりのペナルティが加わるはずだ」
「いちおう、王都騎士団の方の事前情報は手元の資料を参考にしてください。去年の闘技会のデータを元に作成してあります」
なるほどと、目の前に置かれていた資料をパラパラめくる。
「さすが、ユースカペル副団長は冷静に戦力分析しますね」
「それを言ったら、パシアヌス様の資料だってかなり詳細だぞ」
ようやく会議室に明るさが戻ってきた。
「以上のことから、パシアヌス殿と協議した結果、今年の目標が決まった」
目標を決め、作戦を決め、適した参加者を選出する。これが今日の会議の流れだとクストス隊長が説明する。
その大事な目標が発表された。
「今年は準優勝狙いだ」
………………………………………………え?
普通は優勝、でしょ?
最初から二位狙いなの?!
「ユースカペル君も最初からこんなだしなぁ」
団長のがっかりするようはつぶやきがこぼれる中、副団長を中心に『準優勝狙い』で議題はどんどん進んでいくのであった。
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