運命の恋に落ちた最強魔術師、の娘はクズな父親を許さない

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7 王女殿下と木精編

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 ルベル公爵家。

 グラディア王国、三代公爵家の一つ。グラディアの南部に位置する領地を治め、新リテラ王国とは領地が接している。

 先代の国王陛下の妹が嫁ぎ、私の母となった人が生まれ育った家門。

 そして。

「前ルベル公爵夫人、ルベラス嬢の曾祖母に当たる人物は、エンデバートの令嬢だったそうだ」

 この情報は、王太子殿下から直接、知らされた。紛れもない事実だそうだ。

 前ルベル公爵夫人がエンデバートの出身なので、現ルベル公爵、私の母、私と三人がエンデバートの血筋だということになる。

 もっともこの中で生きているのは、現ルベル公爵と私だけになるけど。

 というわけで。

「ここは私が行くところでしょ!」

 意気込んでみたところ、

「ダメです!」

 と、バルトレット卿があっさり却下。

「ずいぶん偉くなったね、バルトレット卿」

「お嬢に何かあったら、俺の命が消えるんで。全力で引き留めます!」

 また、グレイ絡みか。

 グレイの部下ではない、正真正銘、私だけの護衛が欲しくなってきたかも。




 そうこうしている間にも、フィリアはエンデバート卿にあれこれ質問を重ねている。

「ルベル公爵家に行く目的は?」

「メッサリーナ殿が言うのは、私とルベル公爵家は縁戚に当たるんだそうだ。
 グラディアに来る機会はそうそうないので、この機会に挨拶だけでもしておこうと思ってね」

「あぁ、なるほど。この機会に挨拶だけでもしておいた方がいいですよ、と、そのメッサリーナ殿に言われたんですね」

「君はなんて頭が切れるんだ! そう、その通りだよ!」

 エンデバート卿、銀冠の次はメッサリーナ殿に操られているんだ。

 私は呆れて、どう言っていいのかが分からなかった。周りから利用されて、なんだかかわいそうな人でもある。

「ロード先輩が切れるんじゃなくて、本人が鈍すぎるのでは?」

 バルトレット卿が遠慮なく評価しているけど、鈍いというより、物事を単純に考えているだけなんだと思う。

 善悪を含めて単純に簡潔に考えているからこそ、騎士として、盲目的に忠誠を誓えるのだから。

「ルベル公爵家からは最初、挨拶は不要だと言われたんだが、ルベラス嬢と既知だと言ったら快く訪問を承諾してくれてね」

「それで。ルベル公爵家に行くのは、エンデバート卿と私とで、ですか?」

 フィリアがさらに踏み込んだ。

 フィリアもルベル公爵家を探ってみたいと思っていただろうから、エンデバート卿の話は渡りに船。
 思いっきり利用してあげようと、思っているはず。

 何より、あの悪い笑顔がすべてを物語っている。

 かたや、利用されようとしているとは、欠片も思っていないエンデバート卿。

「本当は、ルベラス嬢とともに行きたかったのだが。忙しいようで、あれから、姿も形も見当たらなくて」

 チッ

 まだ、諦めてなかったか。

「私、ここにいるけどね」

「お嬢を誘おうなんて、命知らずですね」

「グレイにボコボコにされたの、忘れたんじゃないの?」

「記憶力もないなんて、最悪ですね」

 うん、まったくだ。

 私はバルトレット卿の言葉に、大きく頷いた。

 さて。

 フィリアを誘っておいて、本当は私と行きたかった、などと失礼なことを平気で口にするエンデバート卿に、フィリアもぶち切れたのでは?

 と思ってみたけど、フィリアは意外と冷静だった。

「それで、代わりにあたしですか」

「まさか。代わりだなんて!」

 今、さきほど、私と行きたかった云々言った口で、そんなこと言う?!

 ていうか、もしかして、女性なら誰でもいいんじゃないの?!

「ロード卿は、ルベラス嬢にはない魅力があると思っている。いや、むしろ、ルベラス嬢より魅力的だ!」

 何度も言うけど、エンデバート卿は私たちに背を向けているので、表情はまったく見えない。

 だからだろうか。

 魅力的だとかなんだとか、どんな顔して喋ってるのか、見てやりたい気持ちになってくる。

「帰りに、人気のカフェでも寄っていかないか? 同行してくれる礼だとでも思ってくれるといい」

 台詞だけ聞いていると、好きな女性を口説こうとしている男性。
 でも、その実態は、女装した男性を口説こうとしている残念なおじさん。

「あいつ、お嬢からロード先輩に乗り換えたんだな。別な意味で、命知らずだよな」

「でも、フィリアって」

「あんな見た目であんな喋り方ですが、ロード先輩は男ですよ、男」

「私の魅力って、男以下?」

 つまり、残念なおじさんから、女装した男性よりも魅力がないと思われている、残念な私。

「気になるのはそこなんですか?!」

「いや、だって」

 気にならないと言えば嘘になるので、ちょっと口ごもってしまった。
 お嬢には隊長がいるでしょうに、という目で見ないでほしい。

「とにかく。ルベル公爵家を探るいい機会ですし。ロード先輩もかなり乗り気のようですので」

「フィリア、凄くいい笑顔してる」

 なんだかんだ言ってるうちに、エンデバート卿に同行してフィリアがルベル公爵家に行くことが、勝手に決まってしまっていたのだった。

 このまま車へ、と誘うエンデバート卿の手を取り、ルベル公爵家へと向かってしまうフィリア。

 私は手早く、準備を済ませ指示を出す。

 私の杖はフィリアと似たような笑みを浮かべると、役目をこなすために目的の場所に向かっていった。

 ちょうどそのタイミングで、

「ルベラス魔導公殿。殿下より至急、執務室に来てほしいとのことです」

 王女宮の侍女さん経由で、私は呼び出された。
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