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〈九〉 ★
しおりを挟む「この花、琴線花っていうんだ。出会ったときにもきれいだ、いいにおいだって、いってたのが忘れられなくてね」
十年前の当時、スタンレーは修道院に預けられていた。
伯爵令嬢だった母親も、父親のマクシミリアンもいわゆる美形だったのに、魁偉な風貌に生まれついてしまったスタンレーは母方の祖父である伯爵に
――なんと醜い子だ。娘は怪物と交わったのか。
疎まれ追い出されたという。幸い修道院でかわいがられて育ち、薬草学の手ほどきを受け将来修道士になる道も選べたはずが、その修道院が近隣の領主に土地を奪われて閉鎖になってしまい、すでにそのころ実家の伯爵家が没落していたこともあって帰る家もなく苦労する羽目になった。
「こういう見た目だから怖がられることが多かったけど、体は頑丈だったから」
娼館で用心棒をしながら薬草学の知識を活かし娼婦たちに傷薬や保湿化粧品をつくってやり重宝がられていたという。
かちゃ。
スタンレーが壺の蓋を開けた。
にちゅちゅ。
掬ったクリームを手の上であたためやわらかくする。甘いにおいが立ちこめる。
「琴線花のフラワーウォーターをまぜたただのクリームだよ。媚薬の効果はない」
大きな手がプリシラの裸の胸に
ぬろろろ。
クリームを伸ばした。さらに壺から掬いとったクリームを足し、乳房をもむ。甘く香るぬめりをまとった指が期待にぷっくりふくらんだ乳首を
くにゅ、くにゅ。
撫でた。
「あ、…………ん」
「気持ちいいかい?」
低い声で囁かれると撫でられていないところまで敏感になってきてぞくぞくする。
「ん、きもち、い、です」
胸から下へと大きくあたたかい手がぬめりを広げていく。媚薬ではないといわれても、こうして琴線花の香りとともにぬるぬると撫でられると体が悦びはじめてしまう。プリシラの脚を大きく開くとスタンレーは秘所に
「ひ、ぁ…………っん」
クリームを伸ばした。ほころびかけた陰唇から
ぬるる。
内側へ塗られると
か、ああああ。
秘所が熱くなる。
「夜、目隠しをさせた俺と、昨日きみの初めてを奪った俺、どっちに嫉妬すればいい?」
「ひどい、です。初めからお顔を見せてくだされば……」
「そうだね、ごめんね。――まさかこんな俺を受け容れてくれるなんて思わなかったから」
溶けたクリームでぬるぬるに潤んだ指が秘所でつんと勃ち頭をもたげた豆つぶをなでた。
「先に体を堕とすことにしたんだ」
「ふぁ、っぁあ、あっ、スタ、ンレーさ、ま、っあああん」
甘い香りのするぬめりと秘所からこぼれる蜜とで濡れた豆つぶがくちゅくちゅともみくちゃにされて体がびくびくと跳ねる。
やっぱり、媚薬だ。
熱に炙られもどかしく切なく肌が汗ばみ、乳首も豆つぶもつん、と尖り狂おしくプリシラを急き立てる。
ずっと、ずっとこうしていたい。
でももう一分、一秒だって引き延ばされるのは厭。
早く、早くとどめを刺してほしい。
背反する思いに揺さぶられ、欲望が肚の奥でどくどくと滾る。――欲しい。この人が欲しい。
「愛しているよ、プリシラ」
寝台に横たえられたプリシラにスタンレーが覆い被さった。
にゅ、く……。
熱く硬く大きな塊が秘所をこじ開け入ってくる。痛みはないが、苦しい。それでも先に快楽を教えられた体がすぐに押し広げられ征服される苦しみを悦びに変換していく。低く潰れた鼻、目の色がうかがえないくらい落ち窪んだ眼窩、どんな硬いものでも噛み砕いてしまいそうな太い顎――いわゆる美形ではないかもしれない。でも太く長く逞しい腕に抱かれ蕩ける笑顔を間近に見ていると天に昇る心地になった。
熟れた果物に似た琴線花の香りに酔う。
「スタンレー、さま、私、幸せ……」
もっと、もっとあなたが欲しい。
悦びを貪り合いながらふたりはのぼりつめた。
怪物が札束で美女を買い叩いたと噂されたゴールドバーグ夫妻であったが一年後も二年後もその後も、変わらず円満で子宝にも恵まれた。先代男爵の鉱山事業に加え新当主は花卉農場、香水や香料工場などの事業を興し、成功に導いた。薔薇や茉莉花だけでなく、希少性ゆえごく少量の生産にとどまる琴線花の香水はその香りをまとえば必ず思いが届くと評判になり恋する人々の間で人気が高まっているという。
(了)
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