ぼっちハイキング中に出くわした熊侍となかよしになった話

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〈三〉

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「茶の湯のようだな」

 興味津々で雄太郎が美佳の手もとに見入った。
 囲炉裏にかけた鉄瓶で湯を沸かす間にハンドルをセットした細身のミルにコーヒー豆を入れ、ごりごりと挽く。組み立てたドリッパーをカップに載せ、挽いた豆を移し、沸いた湯をちょぼ、と注いだ。
 も、ふ。
 焦げ茶色のコーヒーの粉がフィルターの中でふくらむと得もいわれぬあたたかいにおいが立つ。美佳はくるり、くるりと小さな円を描くように少しずつ湯を注いだ。コーヒーを淹れると改めて保存容器の蓋を開ける。

「おやつにしましょうか」
「うん」
「熱いものとか苦いもの、平気ですか」
「たぶん」
「念のため、少し冷ましましょうね」

 美佳はカップからひと匙すくったコーヒーに
 ふう。
 そっと息を吹きかけた。

「苦いですよ」

 ぴったりくっつくように寄り添う熊の口にコーヒーをほんの少し注ぐ。

「ん……」

 舌の上の滴をうっとりと味わう雄太郎に美佳は掌の上のブラウニーをひとかけ、差し出した。
 べろ、ん。
 長い舌が手から菓子を掬いとる。

「苦くて甘くて、ふかふかと香ばしいのにしっとりして、甘酸っぱいものも入ってる」
「くるみといちじくが入っていますよ。おいしい?」

 もうひとかけ、ブラウニーを差し出すと雄太郎は大事そうに美佳の手をとりぺろんと舐めとった。掌を舌が這う感触も相俟あいまって、恐ろしいはずの大きな獣を餌付けしているようでくすぐったい。

「うまい。――でもきみの食べものなのにたくさんもらってしまった、すまん」
「いいんですよ。私もいただきますね」

 一杯のコーヒーとブラウニーを大きな熊と分け合ううちに、美佳は雄太郎の懐におさまっていた。

「顔に、菓子のかけらがついているぞ」
「やだ、どこだろ」

 見当違いのところを拭おうとしていたらしい。

「ここだ」

 長い舌がぺろ、と唇の端をかすめる。

「ん……、とれまし、た?」
「まだだ。ほら、ここにも」

 頬を舐められた。唇から頬へぬめぬめ這う。

「襟もとを緩めてごらん」
「そ、んなところにも?」
「この奥からよい香りがする。探してみよう」

 いわれるままに襟をくつろげ上着を脱ぐ。濡れた舌が
 れろろ。
 顎から喉、胸を行き来する。

「美佳どのの肌は甘い」
「ん、っや、ん」

 いつしか美佳は服も下着も自ら脱ぎ、生まれたままの姿で雄太郎の膝に乗っていた。裸の背中をごわついた毛が撫でる。大きく開いた脚の付け根、濡れて綻んだ秘所に熱い塊が押しつけられた。雄太郎が背中にまわした毛むくじゃらの腕で促すように美佳の体を揺する。

「あ、っ……、あっ、あっ」

 くちゅ。くちゅ。
 秘所からあふれた蜜で濡れた剛直が頭をもたげ勃ちあがった陰核をもみくちゃにする。
 か、ぷ。
 大きな口が乳房にむしゃぶりついた。乳首を舐めしゃぶりながら雄太郎が美佳をそっと押し倒す。胸から腹、さらに下へとれろれろ這い降りた舌が秘所を撫でた。

「美佳どの。ここを開いてくれ。俺の爪できみの肌を傷つけたくない」
「ん、……っ」

 両手で
 く、ぱ。
 陰唇を開く。自分で自分が信じられなかった。男の――しかも人間でなく熊の前で秘所の奥を自ら露わにするなんて。
 凶暴な獣が息を荒らげ秘所を愛撫している。綻んだ蜜口へ
 つ、ぷ。
 舌が差し込まれた。ぬめりと蜜を混ぜるように前後する舌とともに、ふにふにとやわらかい口唇がにゅるにゅると勃ちあがる陰核を撫でまわす。大きな前足が開いた太ももを撫でた。鋭い爪が肌に触れるたびに体がすくむ。あと少し、ほんの少し力が加われば美佳の体など容易たやすく裂けてしまうに違いない。
 怖い。
 あたたかくぬめる舌で愛撫される快さと、湿ってやわらかいもののすぐ奥にある鋭く頑丈な牙や顎への怯えとがぜになりぞくぞくと体が内側から震える。快楽にがくがく震える美佳の体から顔をあげた雄太郎が前足で口もとを拭った。
 しばし見つめ合う。小上がりに熊と女が荒くつく息、囲炉裏で薪の爆ぜる音が籠もる。
 食べないで。――いや、もっと。もっと私を食べて。
 ぼんやりと囲炉裏の炎に照らされる熊が何を思うのか、美佳にはまるで分からなかった。しかしこちらの怯えと欲情が伝わっているのを感じる。

「――――っ」

 熊がゆっくりと覆い被さってきた。同時に秘所に押しつけられた肉棒が
 ぬ、ぬぬ。
 少しずつ入ってくる。太く硬く熱い塊が秘所を奥へと進んでいく。
 気持ちいい。何もかもが気持ちいい。
 膣壁をごりごりと押し広げられるのも、律動につれて濃い茶色の毛にさわさわと肌を撫でられるのも、気持ちよかった。囲い込むようについた太い両前足の爪、いつ噛みつかれるか分からない鋭い牙の間から伸びる舌でなぶられる恐怖すら快楽を加速する燃料になる。
 と、つん。
 剛直が最奥を押し上げる。すみずみまで満たされ征服されてびくんびくんと体を震わせた。

「ひ、っ……んぁ、っ」

 恐怖と快楽とが体をかきみだす。心が追いつかず美佳はすすり泣き溺れた。

「ああ、美佳どの。泣かないでくれ。きみに泣かれると俺は――己を抑えきれなくなってしまう」

 人と違うやわらかな唇が覆い被さり長く器用な舌がにゅくにゅくと口腔を犯す。

「ん、ぁあ、っん、っん」

 強く引き抜かんばかりに絡めとられたかと思えばちろちろと舌先をなぶられ、美佳はふさふさと毛の生えた胸にすがりついた。雄太郎の切なげな喘ぎ混じりの荒い息づかい、激しさを増す抽挿に胸がときめく。いっそう大きく硬くみなぎる熱い塊をきゅうきゅうと締めつけ

「あ、っん、あっあ、っあああああっ」
「――――――っ!」

 美佳は雄太郎とともにのぼりつめた。

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