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〈五〉
その日は一日中、雛が親鳥のあとを慕うごとく巨漢がのしのしとるいについてまわった。薪割りにも鶏小屋にも。行水のときも離れず後ろでじっと見つめられるのにはまいった。足の付け根、初めの夜にこっそり御たねを塗り込めたあたりがきゅむ、と疼く。
亡くなった御婆からさんざん、貴人以外の男に隙を見せないようにと釘を刺されたし、るいはじゅうぶんに分かっているつもりだった。それなのに抱きしめられ、行水する姿を見られ、同衾もゆるしてしまっている。勝五郎が一線を越えないからなんとかなっているが、どうすればよいのやら、るいは考えあぐねていた。
男に抑えがたい欲があることは知っている。女がそのような欲をもつことはないと、御婆はいっていた。しかし、どうだろう。
片腕で何かと不便であろうから、勝五郎の行水の介添えもする。一日目はくったりとおとなしかった肉棒が翌日からは触れるだけでぎん、といきり立つようになった。だからといって勝五郎は禍々しく立ち上がるそれをるいに押しつけたりはしない。るいも何ということもないといわんばかりに上辺だけ取り繕うが、内心はどきどきしていた。すまし顔のまま、頬が熱くなるのを見透かされなければよいと念じながら肉棒を洗い浄め、こっそり溜め息をつく。そして自分の溜め息が思いのほか熱いことにるいは気づいた。
前日まで寝込んでいたのに、歩くだけとはいえ急に動いてよいわけがない。夜、奥の間で膏薬を塗り直し、洗い替えた布で添え木を巻きつけると、勝五郎は
「疲れた……」
ぐったりと布団に横たわった。傷の治りは順調だが、少々熱っぽい。ゆっくり休ませなければと膏薬の壺や布を薬箱にしまったるいが腰を上げようとすると、疲れたはずの勝五郎ががば、と起き上がった。
「行かないでくれ」
くん、と袖を引かれる。
「頼む、そばにいてくれ」
精悍な大男のいとけなくさびしげな声に心の臓をきゅん、とつままれるような心地がした。
結局その夜も押し切られた。るいを腹の上に載せ、勝五郎は片腕でがっしときつく抱きしめる。夜が更けて寝息が穏やかに深まり、腕の拘束が緩んでようやくるいは脱け出すことができた。
「るい、どの……」
無精髭のちくちくする頬を撫でると体温が慕わしいのか、むにゃむにゃと寝ぼけたまま勝五郎はるいの指先を追い、ちゅむちゅむと口づけた。よほど冷えが嫌いなのだろう。布団をかけ直してからそっと、立ち上がった。
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※不定期更新です。
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