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〈八〉
「――――はい? お手伝い、でございますか?」
「うむ」
握っていた手が解かれ、また握られる。勝五郎はまじめな表情のまま握る力を和らげ
にぎ、にぎ。
るいの左掌から手首を揉むようにさすった。大きくあたたかな勝五郎の手指がるいの強張りをじっくりとほぐす。
「それがしが見るところ、るい殿は不出来などではない。少しだけ頑ななところがあるだけだ」
「頑な……」
潤わない秘所がまさにそうだ。頑なで愛らしさに欠けて、自分は出来が悪い――。るいはまたうつむいた。手首をさすっていた勝五郎の手が離れる。去って行くぬくもりが惜しい。御婆や老人たちは鬼籍に入ってしまった。勝五郎もすぐ、――明日ではなくてもいずれ――里を出ていくだろう。いっときこうして触れあったことなど忘れてしまうに違いない。
す。
るいのおとがいにあたたかな指が触れた。やさしくも、抗うことを許さずくい、と顔を上げさせられた。
「るい殿、うつむいてはならぬ。それがしの――、俺の目を見ろ」
「しょうごろう、さま」
真剣な目の色に
きゅむ。
心の臓をつままれたような心地になる。
「亡くなられた御婆殿のなされようではかばかしくないのであれば、同じやり方を続けていても同じところで躓くだけであろう」
確かに。るいはうなずいた。自分の場合、同じところとは秘所に指を差し込む段階のことだ。
「同じ山の頂を目指すにしても、越えられぬ難所があるならば、一度退いて他の道を探るが常套というもの」
にぎ。にぎ、にぎ。
あたたかく大きな手指がまた、るいの左掌を揉んだ。掌から手首、手首から腕を肘に向かいぬくもりが少しずつ這い進む。
「るい殿は俺の恩人だ」
「そんな、たいしたことは、……ん」
「恩返しをさせてくれ。俺に、多少の心得がある」
「こころ、え……?」
ぬくもりはいつの間にか肘を通り越し袖に潜り込み
すり、り。
二の腕をそっと撫でている。真剣な顔をした勝五郎を見つめ話に聞き入るうちに手を引かれていたのか、るいは男の膝に乗り上げてしまっていた。
「必ずや、るい殿を立派な乙女にしてみせる」
低く掠れた囁きが唇をくすぐる。あまりの近さに後退ろうとすると
かり、り。
這いのぼった太くあたたかな指が二の腕の脇に近いところをそっと掻いた。
「しょうごろう、さま、……や、んっ」
「俺に任されよ」
涙目になって蕩けた視界を、勝五郎の精悍な顔が埋め尽くす。
袖の中で遊ぶ指はぷる、と二の腕をつまむように挟んだかと思えば
する、る。
舐めるように撫でた。ふたりの鼻先が
すり、すり。
互いをいつくしむように触れあう。
「ん、……ん、……っ」
「いかがか? るい殿」
「おね、……お願い、いたします……んぅ」
「承った」
ちゅ。
唇が重なった。
ちゅ、ちゅむ、ちゅ、ちゅ。
どちらが先だったろうか。触れあうだけだった唇がほころび、口づけが深まる。
「ん、んんんう」
「……るい殿」
唇が離れ、くずおれかけたるいを、力強い腕が支えた。
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