16 / 55
誘拐事件
16 素直じゃない
しおりを挟む
キーンコーンカーンコーン
「おはようございます、皆さん!」
「「「おはようございます。」」」
ファーゼンとエリックはAクラス。その担任はというと………。
「レベッカ先生ってやっぱり良いよな」
「ああ。1度でいいからあの張りのある胸に飛び込みたい!」
など……、非常に人気である。
もちろん女子生徒からも人気が高いと付け足しておく。その親しみやすさとルックス、そして何より生徒思いだからだ。
「そこ、私語は謹んで下さい」
本当にいい先生だ。年齢の事に触れなければ………。それはファーゼンとエリックだけが知っている禁忌だ。やはり、誰にも触れてはいけないものというのは存在するらしい。
「それで、以前から話していた通り来週からクラブ活動の体験が始まります」
「「「イヤッホォォォォォオオオ! 」」」
ホントやかましいクラスだ。
「だから静かにして下さい! 説明が出来ません」
レベッカ先生はしょうがない子たちね、とため息をつきながらも、少し嬉しそうにしている。それはもはやオバチャ…………
ギロォッ!
((やべ、睨まれた………))
「もう入学して一月が経つので、学校生活には慣れてきたと思います。ですが、あまり調子に乗らないようにして下さいね。以上で終わりです」
「きり~つ」
締りのない号令だ。Aクラスの学級委員長は少し間延びしている。
それはそうと、珍しくファーゼンとエリックが席を経っている。その理由は
「おい、エリック。どの部にするか決めたか?」
「まだだ。お前こそ決まったのか?」
ファーゼンもまだだと言うが、実は2人とも入りたいクラブは決まっている。決まっているというより、入りたいクラブはあるという方が正しい。
では何故口に出さないのかというと、どちらかが口にするのを待っているのである。なぜなら、基本的に2人とも寂しがり屋であると同時にプライドが高い。だから2人は寂しいから合わせるのではなくて、
『入りたい部活が無いから、それじゃお前に合われるわ』
という展開にしたいのだ。入りたいクラブはあるが、同じクラブであればぶっちゃけどこでもいい。それが2人の考えだ。
だが皮肉なことに、お互いにそう思っているとは気づけていない。気付いているのは周りだけだ。
クラスで孤立していた2人。入学当初から近付きづらかった2人だが、普段様子を見ていると、実は案外内気なだけだ。シャイボーイであると周りの女子は気付き始めている。実は自分に自信が無いだけで、エリックも女性受けする少し可愛い顔をしている。そんなわけで、ルックスはいい2人だ、あとはきっかけさえあればクラスに打ち解けられるだろう。そこへ1人の女子生徒が声をかける。
「ねぇねぇ、そこのお2人さん。来週の放課後、一緒にクラブ見学しない?」
誰かと思えばアリサだ。アリサは若干脳天気気味だが、その親しみやすさとルックスから、クラスでも人気者だ。そんなアリサがなぜ話しかけてきたかというと、
「アリサちゃん、あの2人とも仲良してあげてくれないかな?」
「レベッカ先生、あの2人って?」
「ファーゼンとエリックのことよ。本当はとってもいい子なんだけど……。プライドだけは高くてね~」
「ハハ。分かる気がします」
といったやり取りがされていた。いつも2人のオルバも2人とは仲良くしたいと思っていたので、
「どうかな、4人で行ってみない?」
当の2人は
「まぁ~そう言うなら、せっかく誘ってくれたんだし。なぁ~」
(おいファーゼン、断るなよ?)
「無下にするのも良くないよな」
(良くやったエリック!)
めちゃくちゃ浮かれていた………。
本当に素直じゃない。
2人はアリサに好意を抱いていた訳ではない。ただ単にクラスメイトと話せたのが嬉しかったのだ。アリサは笑いを堪えながら話を続ける。オリバもその事に気付いているので、後ろを向いて腹を抱えていた。
(ふ~ん、あの2人とも案外可愛いわね。
でも、あの2人にエルドールの件のことを任せることは出来ないわ)
「リンネル。分かっていると思うけど、」
「はい。ですが、良かったですね。」
「へ? な、何よいきなり。別に私はあの2人を気にしていたなんて……… いえ、何でもありません」
これ以上は自分を不利にするだけだと思い、アイリーンは口を閉じた。アイリーンは実は甲斐甲斐しいのである。アイリーンには5人の兄弟がいて、上から2番目だ。だからよく下の子の面倒をみていて、困っている人を見ると放っておけない質なのである。
見た目は凛とした美しさで見る者を虜にするアイリーンだが、長く接しているとそういった一面にも魅力を感じるのだとか。
「おはようございます、皆さん!」
「「「おはようございます。」」」
ファーゼンとエリックはAクラス。その担任はというと………。
「レベッカ先生ってやっぱり良いよな」
「ああ。1度でいいからあの張りのある胸に飛び込みたい!」
など……、非常に人気である。
もちろん女子生徒からも人気が高いと付け足しておく。その親しみやすさとルックス、そして何より生徒思いだからだ。
「そこ、私語は謹んで下さい」
本当にいい先生だ。年齢の事に触れなければ………。それはファーゼンとエリックだけが知っている禁忌だ。やはり、誰にも触れてはいけないものというのは存在するらしい。
「それで、以前から話していた通り来週からクラブ活動の体験が始まります」
「「「イヤッホォォォォォオオオ! 」」」
ホントやかましいクラスだ。
「だから静かにして下さい! 説明が出来ません」
レベッカ先生はしょうがない子たちね、とため息をつきながらも、少し嬉しそうにしている。それはもはやオバチャ…………
ギロォッ!
((やべ、睨まれた………))
「もう入学して一月が経つので、学校生活には慣れてきたと思います。ですが、あまり調子に乗らないようにして下さいね。以上で終わりです」
「きり~つ」
締りのない号令だ。Aクラスの学級委員長は少し間延びしている。
それはそうと、珍しくファーゼンとエリックが席を経っている。その理由は
「おい、エリック。どの部にするか決めたか?」
「まだだ。お前こそ決まったのか?」
ファーゼンもまだだと言うが、実は2人とも入りたいクラブは決まっている。決まっているというより、入りたいクラブはあるという方が正しい。
では何故口に出さないのかというと、どちらかが口にするのを待っているのである。なぜなら、基本的に2人とも寂しがり屋であると同時にプライドが高い。だから2人は寂しいから合わせるのではなくて、
『入りたい部活が無いから、それじゃお前に合われるわ』
という展開にしたいのだ。入りたいクラブはあるが、同じクラブであればぶっちゃけどこでもいい。それが2人の考えだ。
だが皮肉なことに、お互いにそう思っているとは気づけていない。気付いているのは周りだけだ。
クラスで孤立していた2人。入学当初から近付きづらかった2人だが、普段様子を見ていると、実は案外内気なだけだ。シャイボーイであると周りの女子は気付き始めている。実は自分に自信が無いだけで、エリックも女性受けする少し可愛い顔をしている。そんなわけで、ルックスはいい2人だ、あとはきっかけさえあればクラスに打ち解けられるだろう。そこへ1人の女子生徒が声をかける。
「ねぇねぇ、そこのお2人さん。来週の放課後、一緒にクラブ見学しない?」
誰かと思えばアリサだ。アリサは若干脳天気気味だが、その親しみやすさとルックスから、クラスでも人気者だ。そんなアリサがなぜ話しかけてきたかというと、
「アリサちゃん、あの2人とも仲良してあげてくれないかな?」
「レベッカ先生、あの2人って?」
「ファーゼンとエリックのことよ。本当はとってもいい子なんだけど……。プライドだけは高くてね~」
「ハハ。分かる気がします」
といったやり取りがされていた。いつも2人のオルバも2人とは仲良くしたいと思っていたので、
「どうかな、4人で行ってみない?」
当の2人は
「まぁ~そう言うなら、せっかく誘ってくれたんだし。なぁ~」
(おいファーゼン、断るなよ?)
「無下にするのも良くないよな」
(良くやったエリック!)
めちゃくちゃ浮かれていた………。
本当に素直じゃない。
2人はアリサに好意を抱いていた訳ではない。ただ単にクラスメイトと話せたのが嬉しかったのだ。アリサは笑いを堪えながら話を続ける。オリバもその事に気付いているので、後ろを向いて腹を抱えていた。
(ふ~ん、あの2人とも案外可愛いわね。
でも、あの2人にエルドールの件のことを任せることは出来ないわ)
「リンネル。分かっていると思うけど、」
「はい。ですが、良かったですね。」
「へ? な、何よいきなり。別に私はあの2人を気にしていたなんて……… いえ、何でもありません」
これ以上は自分を不利にするだけだと思い、アイリーンは口を閉じた。アイリーンは実は甲斐甲斐しいのである。アイリーンには5人の兄弟がいて、上から2番目だ。だからよく下の子の面倒をみていて、困っている人を見ると放っておけない質なのである。
見た目は凛とした美しさで見る者を虜にするアイリーンだが、長く接しているとそういった一面にも魅力を感じるのだとか。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!
菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは
「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。
同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと
アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう
最初の武器は木の棒!?
そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。
何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら
困難に立ち向かっていく。
チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!
異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。
話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい!
****** 完結まで必ず続けます *****
****** 毎日更新もします *****
他サイトへ重複投稿しています!
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる