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誘拐事件
22 会議
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よく言った。この一言にアリサがどれだけ 救われたことか。
攫われた女性はひとしきりあそばれた後、殺される。この世界でもそんな事件はザラだ。
だからアリサもそうなってしまう可能性があった。もし追跡が失敗したら、突入が失敗したら………。そんな事は考えたくも無い。とても不安だった。
アリサは初めて、この2人が頼もしいと思った。アホだけど根はいい奴らだ、ほんと。
オルバは、何か言葉を発することができなかった。本音を言えば断って欲しかった。幼なじみのアリサには、淡い恋心さえ抱いてた。だから、本当は断って欲しかった。他人なんて知らない。アリサが無事ならばそれでいいとさえ思ってしまった。
ゆえにアリサが引き受けると言った時は、誇らしいとも思った。だがやはり、複雑で何も声をかけてあげられなかった。
そんな自分が悔しい。悔しいし、エリック達に嫉妬もしてしまった。
男として、この2人には敵わないと思った。そんな自分が、嫌になる。
そんなオルバの心情を悟ったのか、ファーゼンがオルバの肩を掴む。オルバの肩は震えていた。
「オルバ………。済まないな」
その言葉にはどんな意味が込められていたのだろうか。見上げて、ファーゼンの顔を見ることはできなかったオルバには知る由もない。
「それで、作戦に関しては提案がある」
エリックが重い口を開いた。
~一週間前の放課後~
「そんでさ~」
「ちょっといいか?」
急に改まったエリックに少し身構える。
「どうしたんだよ突然?」
「アリサについてなんだけど……」
「惚れたか?でも、やめとけ。アリサちゃんにはオリバもいるし、第一お前の身……ごめんごめん!そう怒るなって」
タブーそれは触れてはいけないもの。なのに何故かよく触れてしまう2人だ。やはりアホなのである。
「嘘だって、エルドールの事だろ?」
「やっぱり気付いてたか」
「あぁ、席が近いしな。それにあのアイリーンって奴も気付いているようだったな」
(それなら良かった、本題に入れる)
2人とも基本的にはアホだが、何故か気が合う。
「それで俺は奴を潰したい」
「どうやって?」
「アリサを囮にする」
エリックは言い切った。よく見るとその手には力が入っていた。爪が皮膚に食い込んで、血が流れるほど。ポタポタと血が床に垂れる。
「もちろん、アリサは守る。そして、お前も………」
最後の一言は聞こえなかった。だが、ファーゼンには、言いたいことはだいたい分かっていた。
(分かっているよ。その男爵家は5年前、魔族狩りに手を貸したんだろ。だから、俺に知られないうちに消そうしてるんだよな…………。もし俺が暴れたら、魔族ってことがバレてしまうから)
そしてここ、冒険者クラブ一室へと戻る。
「奴らの手口は既に調べがついている。奴らは帝都から馬車で脱出している。その荷台に拐った者を紛れ込ませて」
「ですがエリック、それでは門番のチェックに引っかかると思うのですが?」
「買収しているから素通りだよ。そして、帝都の側の男爵家の屋敷運ばれるようだ。その間は恐らく危害は加えられない」
「それで問題はアリサの救出だ」
「今回の作戦、実は僕はまだ納得できていません!」
オルバは突然立ち上がった。
「今さら何を言うのですかオルバ。」
まぁ待て、とアイリーンは手を広げてリンネルを静止する。
「まだ何か言いたいことがあるみたいよ。続けて」
「ありがとうございます、アイリーン様。私はまだ納得していません………。でも、だからといって、僕1人のわがままでこの作戦を中止にしていいとは思っていません。だからせめて、アリサの救出には僕を行かせて下さい」
「だが、オルバ。救出は今回の作戦で一番の難所だ。タイミングを謝れば全て失敗に終わる。それでもできるか? オルバ」
「はい。やります、必ずやり遂げてみせます」
(漢の顔になったな)
それからは細かいことを擦り合わせる。
「作戦会議は以上よ。あとは手はず通りに。大丈夫よアリサ、心配しないで。必ず助けるわ」
ファーゼンは終始黙って聞いていた。
今回、俺は動いていけない。あくまで補助だな。全く……。エリックは余計なことを。でもなんでだろうな……… 嫌な気分では無いな。
「アイリーン様、制限時間です」
ニードルの声が聞こえる。
攫われた女性はひとしきりあそばれた後、殺される。この世界でもそんな事件はザラだ。
だからアリサもそうなってしまう可能性があった。もし追跡が失敗したら、突入が失敗したら………。そんな事は考えたくも無い。とても不安だった。
アリサは初めて、この2人が頼もしいと思った。アホだけど根はいい奴らだ、ほんと。
オルバは、何か言葉を発することができなかった。本音を言えば断って欲しかった。幼なじみのアリサには、淡い恋心さえ抱いてた。だから、本当は断って欲しかった。他人なんて知らない。アリサが無事ならばそれでいいとさえ思ってしまった。
ゆえにアリサが引き受けると言った時は、誇らしいとも思った。だがやはり、複雑で何も声をかけてあげられなかった。
そんな自分が悔しい。悔しいし、エリック達に嫉妬もしてしまった。
男として、この2人には敵わないと思った。そんな自分が、嫌になる。
そんなオルバの心情を悟ったのか、ファーゼンがオルバの肩を掴む。オルバの肩は震えていた。
「オルバ………。済まないな」
その言葉にはどんな意味が込められていたのだろうか。見上げて、ファーゼンの顔を見ることはできなかったオルバには知る由もない。
「それで、作戦に関しては提案がある」
エリックが重い口を開いた。
~一週間前の放課後~
「そんでさ~」
「ちょっといいか?」
急に改まったエリックに少し身構える。
「どうしたんだよ突然?」
「アリサについてなんだけど……」
「惚れたか?でも、やめとけ。アリサちゃんにはオリバもいるし、第一お前の身……ごめんごめん!そう怒るなって」
タブーそれは触れてはいけないもの。なのに何故かよく触れてしまう2人だ。やはりアホなのである。
「嘘だって、エルドールの事だろ?」
「やっぱり気付いてたか」
「あぁ、席が近いしな。それにあのアイリーンって奴も気付いているようだったな」
(それなら良かった、本題に入れる)
2人とも基本的にはアホだが、何故か気が合う。
「それで俺は奴を潰したい」
「どうやって?」
「アリサを囮にする」
エリックは言い切った。よく見るとその手には力が入っていた。爪が皮膚に食い込んで、血が流れるほど。ポタポタと血が床に垂れる。
「もちろん、アリサは守る。そして、お前も………」
最後の一言は聞こえなかった。だが、ファーゼンには、言いたいことはだいたい分かっていた。
(分かっているよ。その男爵家は5年前、魔族狩りに手を貸したんだろ。だから、俺に知られないうちに消そうしてるんだよな…………。もし俺が暴れたら、魔族ってことがバレてしまうから)
そしてここ、冒険者クラブ一室へと戻る。
「奴らの手口は既に調べがついている。奴らは帝都から馬車で脱出している。その荷台に拐った者を紛れ込ませて」
「ですがエリック、それでは門番のチェックに引っかかると思うのですが?」
「買収しているから素通りだよ。そして、帝都の側の男爵家の屋敷運ばれるようだ。その間は恐らく危害は加えられない」
「それで問題はアリサの救出だ」
「今回の作戦、実は僕はまだ納得できていません!」
オルバは突然立ち上がった。
「今さら何を言うのですかオルバ。」
まぁ待て、とアイリーンは手を広げてリンネルを静止する。
「まだ何か言いたいことがあるみたいよ。続けて」
「ありがとうございます、アイリーン様。私はまだ納得していません………。でも、だからといって、僕1人のわがままでこの作戦を中止にしていいとは思っていません。だからせめて、アリサの救出には僕を行かせて下さい」
「だが、オルバ。救出は今回の作戦で一番の難所だ。タイミングを謝れば全て失敗に終わる。それでもできるか? オルバ」
「はい。やります、必ずやり遂げてみせます」
(漢の顔になったな)
それからは細かいことを擦り合わせる。
「作戦会議は以上よ。あとは手はず通りに。大丈夫よアリサ、心配しないで。必ず助けるわ」
ファーゼンは終始黙って聞いていた。
今回、俺は動いていけない。あくまで補助だな。全く……。エリックは余計なことを。でもなんでだろうな……… 嫌な気分では無いな。
「アイリーン様、制限時間です」
ニードルの声が聞こえる。
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