上 下
41 / 55
初仕事

41 波乱の自己紹介

しおりを挟む
「いよいよ大トリが来ましたね。ニードル先輩」

 「そうだな。あと、様をつけろ」

 「ニードル先輩様♪」

 ニードルは、プリクラで撮るようなピースをしているノリアに、制裁を下す。

 ドゴッ

 鈍い音がした。が、そんなことを無視して、エリックとファーゼンは2人一緒に挨拶をする。

 「俺はエリックです」

 「ファーゼンです。俺たちは近い将来Sランクパーティーなります」

「「よろしくお願いします」」

 クラブ内がざわめいた。ニードルにいたっては頭を抱えていた。

 (コイツら…… やりやがった)

 Sランクになる。それは人類最強の存在になることと同義。Sランクになった者達は、学生の頃の時点で、既にAランク相当の実力を有していることが多い。故にSランク宣言は、俺はAランクの実力者。しいては、お前等より強いという、この世界における一種の挑発のようなものであった。

 この発言は、歓迎モードだった先輩方も見過ごせない。だがそれは怒りではなく、生意気な後輩を懲らしめてやるか、という盛り上がりだ。皆悪党のような笑みを浮かべている。

  「どうして穏便に済ませることが出来ないのかしら…………」

 「このパーティーは前途多難だな……… トホホ」
 
 だが同級生は違う。気に食わない2人に、いきなり格上宣言されたのだ。無性に腹が立つ。その様子を見てオルバとアリサは落ち込んでいた。

 「ニードル様。こいつらと模擬戦をさせて下さい」

 1人の男が立ち上がった。それは同じ1年のギールだ。
 
 農民出の彼は、いつも舐められていて、その事が気に食わ無かった。ギールは別に農民出が嫌な訳でない。ただ一生懸命働いている両親がバカにされたようで、それが嫌だったのだ。両親思いのギーロは、もう二度と舐められないように力をつけた。血の滲むような努力を積んできた。そして、舐めてきた者を打ち倒してきた。だから、2人の挑発を堪えることができなかった。
 
  「いいだろう、許可する。すぐに第三闘技場に集合だ」

 「いいんですか? ニードル先輩様」

 ノリアはまだふざけている。

 「いいんだよ。元々新入部員の実力は見たかったしな」 

 ドゴッ

 「集まったな。それじゃ試合を始める。だがこれは模擬戦だ、相手に重症を負わせるような攻撃や、殺傷性の高い武器を使うのも禁止だ。今日のところは刃引きされた剣を使え」

 「「「「分かりました」」」」

 「分かっていると思うが、反則者には俺が直々に鉄槌を下す」

 この試合は、エリック & ファーゼン   VS   ギール & ニゴルの対決となった。

 というのも、ギールが倒したいのはエリックとファーゼンの2人だ。冒険者である以上ソロより、パーティー戦の方が多い。故に2対2のタッグマッチだ。ギール側には、同じく農民出で唯一無二の親友、ニゴルがついた。もちろんニゴルも2人が気に食わなかった。

 闘技場のギャラリーからは、新入部員を見定めようとする先輩方が、睨むようにしてこちらを見ている。

 「それじゃ、お互い準備はいいな?」

 4人が頷き、試合が始まる。

 「始め!」

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

7個のチート能力は貰いますが、6個は別に必要ありません

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:2,683

俺だけが持つユニークスキル《完全記憶能力》で無双する

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:727

異世界無双の最強剣士 ~ごめん、そのままだと無双するけど、どうする?~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:563

処理中です...