GPTであそぼ

鹿又杏奈\( ᐛ )/

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すずちゃんのJK生活

第11話 “裏”文芸部、始動

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放課後のグリフィンチ学園は、夕陽の傾きとともに徐々に静けさを取り戻しつつあった。
けれどその日、文芸部の部室奥にある秘密の通路を抜けた先──裏文芸部の活動拠点では、ただならぬ緊張感が漂っていた。

「……“反応”がある。旧資料棟の地下、奥の倉庫室付近」
モニターを覗き込みながら、黒酒一郎が静かに告げる。手元のタブレットには青白い反応点が点滅していた。

「やっぱり、探索って便利だね~。裏の活動にはもってこいだわ」
呑気そうな口ぶりで椅子に腰掛けているのは乃斗先輩。
だがその視線は、まっすぐ座標を示す地図から一瞬も離れていなかった。

「気配の揺らぎがある……多分、“異能者由来”の反応だと思う。人か、それとも、もっと危険な何かか……」

「旧資料棟って、立入禁止区域なんだよね……?」
私は思わず声を漏らしていた。指先の震えを悟られないように、制服の袖口をぎゅっと握りしめる。

「そう。元々は図書館の倉庫だった場所だよ。古い記録や傷んだ備品が山積みになってて、今はもう使われてない。……でも、妙に“集まりやすい”場所なんだ」
紅葉が、少し苦い顔で答える。

「空気が澱んでるっていうかね。異能ってさ、放っておくと寄り合って濃くなることがあるんだ。……で、そういう場所に“目覚めたばかり”の力が引き寄せられる」

「つまり……そこに“何か”がいるってことか」

「その通り」
真剣な表情の乃斗先輩が、背後の棚からナイフのような装備を取り出す。
それを受け取ったのは、優凜先輩だった。

「初任務だし、準備はちゃんとねー。よーし、やる気出てきたぞ!」
優凜先輩は指を鳴らし、鞄の中から紙の束を引き寄せる。
舞い上がった紙が渦を巻き、中心に光の刃を形成していく。

「紙を素材に作るんだね……すごい」
感嘆の言葉が、自然と口をついて出る。

それぞれの能力が、こんな風に役立つのか。
“探索”で状況を把握し、“造形”で武器を生成し、そして“転移”で接近する。

でも、私は──

「私は……《貪食》。役に立てるのかな……」
小さく、でもはっきりと声に出す。

誰かの能力をサポートするような機能はない。
ただ“喰らう”という本質は、いくら言い換えても、どこかおぞましい。

そのとき、乃斗先輩がそっと肩に手を置いた。

「大丈夫だよ、小鈴ちゃん。ここにいる誰も、君を怖がらない。……少なくとも、俺はね」
その穏やかな言葉に、緊張がほんの少しだけほどけた気がした。

「じゃ、転移で近くまで飛ぼう。地上からだと時間もかかるし、目立つ」
紅葉が右手をかざす。掌に浮かぶ魔法陣のような紋様が光を放ち、床に淡い円が描かれていく。

「いくよ、“裏”文芸部。第一任務、出動だ!」



次の瞬間、視界が反転し、空気の重さが変わった。

転移先は、鉄と土の匂いが混じる、ひんやりとした地下倉庫だった。
天井の低さが圧迫感を生み、壁には古びた書棚と使われていない備品が積み上がっている。

「ぱんっ」

優凜が指を鳴らすと、紙片がランタンの形を取り、周囲を淡く照らし始めた。

「……びりびりするね」
私は空気の張り詰める感じに、思わず背筋を正す。

床には、教員用IDカードが無造作に落ちていた。
そして──その奥に、“それ”はいた。

「……“異形”が、いる」
黒い影。焦点の合わない瞳。歪んだ肉体。

明らかにヒトではない存在。
異能の暴走、あるいは失敗作。正体は分からなくても、それが“敵”であることだけは明らかだった。

「探索──空間把握、敵の軌道予測」
一郎の目が青く淡く光り、その言葉と共に彼の視線が敵の動きを追う。

「支倉先輩、右側を開けてください。そこが一番脆いです」
「了解。紙刃、穿て!」

鋭い刃が光をまとい、異形の右肩を切り裂く。
霧のような黒い液体が舞い、異形が叫び声のようなうめきを上げる。

「今だ、小鈴ちゃん!」

「……っ、わかった!」

私は一歩前に出る。
内臓の奥で何かが軋むように動き出し、右手に熱がこもる。

私は腕を伸ばし、異形に触れる。

「喰わせて──!」

指先から黒い霧がほとばしり、異形の腕を包む。
それは抵抗もできず、私の中に“取り込まれて”いった。

……生々しい感触はなかった。
けれど、確かに一部が“欠けて”私に流れ込んだ。

「……やった、か……」

異形は崩れ落ち、跡形もなく消滅した。

「完璧だったよ、小鈴ちゃん」

「冷静だったな、一郎。一発目とは思えない」

「ありがとうございます。でも、まだまだ手探りなんね…」

先輩たちの言葉に、小さく頷きながら、私は静かに息を整える。

──これが、“裏文芸部”の初任務。
きっとこの先、もっと強くて恐ろしいものと対峙することになる。

でも、今ならはっきり言える。

「……私、ここにいていいんだね」

自然にこぼれたその言葉に、誰もが黙って頷いた。



こうして、裏文芸部の初任務は幕を閉じた。
だが、この異形の出現は、序章に過ぎない。

数日後、また新たな“反応”が観測されることになる。
グリフィンチ学園の、誰にも知られていない“裏の戦い”は、静かに幕を開け始めていた──。
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