1メートルの隣人

はるた

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十三

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 月曜日の朝、下駄箱で上履きに履き変えようとしたら、上履きが無くなっていた。

 中学までは毎週金曜に持ち帰って洗っていたが、高校になってからは長期休暇の前にしか持ち帰ることが無かったため、「あぁ、やられた」と思った。

 私は職員室に行き、スリッパを貸してもらう。

 上履きがないのでスリッパを貸して欲しいと言った時、担任は意外とおっちょこちょいなんだなと言って笑った。

 私が教室に行くといつもはギリギリに来る早川さん達がいて、こちらをにやにやしながら見ていた。

 席に着いて机の中を漁ると「ブス」だとか「ぼっち‪w」だとか「死ね」だとか丸っこい字で書かれたしわしわな紙がいつも通り入れられていて、私は無言でくしゃくしゃと丸めて前にあるゴミ箱に捨てに行く。

 教室には早川さん達のグループ以外にも人はいるのに、誰も何も言わない。

 見ているのに見ない振りをして、自分に関わってこないようにしている。

 きっとそれが正しい。

 私は間違ってしまったのだと思う。

 学校という狭い狭い空間では自分の信じる正しさを曲げて、ただ声がでっかいだけのやつに従うしかないのだ。それが暗黙のルール。

 それがたとえいじめであろうと黙認するしかない。声のでかいやつが正しい。それに反するものはハブられる。簡単なルール。

 だからルールを破った私が悪いのだ。ゴミ箱に捨てようとすると、頭に何かがコツンと当たった。

「あーぁゴミ箱の前にゴミが立ってて入んなかったー」

 きゃははと笑う声。

 私はぐしゃっと紙くずを握りしめて、ゴミ箱に向かって投げつけるように捨てた。

 そして、そのまま教室を出て、ぺたぺたと音を鳴らしながらB棟の4階まで早歩きで向かう。

 屋上は開いていないのに私はどうしても逃げ場に行きたかった。

 扉にかかる南京錠は私を学校に閉じ込めているようだった。

 私は階段に座ってうずくまる。

 何が正しいのか分からなくて、何もかもがめんどくさくて、生き辛かった。死にたくはないけど……

 学校から、生きることから、逃げてしまいたかった。

 誰かの足音が聞こえる。三年生だろうか。

 こんな姿誰にも見られたくないけど、ここから動く気も無かった。

 顔を埋めて足音が通り過ぎて行くのをじっと待つ。

 早く通り過ぎてと思う私の気持ちとは反対に足音はだんだんと近付いてくる。

 もしかしたら優しい人で、私の体調が悪いのかと心配で来てくれるのかもしれない。

 そうだとしてもその優しさは今の私には優しさではなかった。

 ほっといて欲しい。

 それだけが今の私の求める優しさだった。
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