上 下
3 / 8

運命の番を探してます。

しおりを挟む
「ほら、ルーチェ口を開けて。」

「んっ、こっ、こうですか?テオお兄様。」

19歳になったルーチェスタ・ニコリアは何故だかここ最近毎日の様に、テオによって体中の様々な所を観察されている。

「ルーチェ、もう少し大きく口を開けない??あぁ、うんそう。それくらい開けたら、舌を上に上げれる?」

ルーチェスタの口は、さほど大きな物ではない。
もっと大きくと言われ開けては見るが、唇の横が切れてしまいそうで痛く
痛みで少し涙を浮かべながらも、言われた様に舌を上に上げてみれば、自分よりも太い指がルーチェスタの口内に侵入してきた。

「おひひぃしゃま!!」

驚いて、口を開けたまま声を発するが、上手く言葉にならない。

ルーチェスタが話せない事を良いことに、テオは気にせずルーチェスタの舌や歯を触り、口の中全体を見て来るのだが、、これが中々に恥ずかしい。

「ルーチェ、良い子だからね。もう少し我慢してくれないと。」

何故、、大好きなお兄様に、、口内をくまなく見られているのかと思わないでもないが、テオに触れられて嫌だとはルーチェスタは思わなかった。

「えも、てほおひいしゃま。」

嫌ではないが、唇の横が痛い。
目に少し涙を溜め、辞めてくれと目で訴えてみるが、願いは届かず、、テオが辞めてくれる気配は無さそうで、ルーチェスタはテオの気がすむまで、口内を見せてやる事にしたのだ。

そうして、どれくらい経ったか分からないが、中々に長い時間じっくりと口内を観察したテオは、「ないか。」と何やらポツリルーチェスタには聞こえない程小さな声で呟いた後、ルーチェスタの頭を撫でた。

「良い子だったね、ルーチェ。」

ルーチェより5歳上のテオは既に24歳。
幼い頃から整っていた顔は、今では幼い頃から一緒にいるルーチェスタですら直視出来ない程、色気を醸し更にカッコよくなった。

少し癖毛のある銀色の髪に、切れ長の瑠璃色の瞳は少し冷たくも見えるが、ルーチェスタを見る目はいつも優しい。

流石に19歳になって、『テオお兄様と結婚したい!』と言い出す事は無くなったが、ルーチェスタの気持ちは、テオといればいる程膨らんでいた。
しおりを挟む

処理中です...