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12 王との謁見
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ヴァレンティーナ侯爵から知らせを受け陛下が謁見を許した。侯爵とエルザは王の間にいた。
「ヴァレンティーナ侯爵、エルザの件、災難だったな。グレイという靴屋の悪い噂はわしも聞いておる。王女たちがグレイの靴を欲しがったが近づけるのは危険だとやめさせたくらいだ」
玉座に座っている陛下は豊かな髭をなでながら苦い顔をした。
「はい。まことに。まさか隣国の王子妃にまで手をつけた疑いがあるとは驚くばかりです。」
「しかもゾフ家が相手というのは厄介だな」
陛下は唸るように目を細めた。やはりゾフ家は王家であってもないがしろにできない富豪のようだ。
「国際問題になっても困るな。急ぎ手を打とうと思う。まずはトアン王国の女王宛に私の承認済みの印を添えた手紙を書くといい。必要とあればトアン王国を訪問する許可もだそう」
「承知いたしました。お力添え、感謝いたします」
エルザと侯爵は陛下のお墨付きをもらって女王宛に手紙を書いた。
その午後、またもやグレイとカミラがヴァレンティーナ侯爵家に面会に来た。弁護士を通さず、電撃訪問であった。
「困ります!」
グレイとカミラは必死に押し留めるノアを押しのけ、屋敷の中にずかずかと入ってきた。
父は領地へ行っており夕方まで帰らない予定だった。母もお茶会に呼ばれ遅くなるとのことだった。
「ちゃんと弁護士を通して頂戴!」
「まあそう怒らないでよ。ちょっとライアンに渡したいものがあるだけだから」
憤るエルザをグレイがなだめるように言って、青色のリボンが結ばれている白い箱をエルザに渡した。
「何なの?」
不信感いっぱいにエルザはグレイを見た。
「きっと気にいると思うの。ライアンに似合うように最高の布地で仕立てた礼服なのよ?」
カミラが勝ち誇ったように顎を上げエルザに言った。
「結構よ!!」
エルザは箱をグレイに押し付けた。
「おかあさま?」
騒ぎ声にライアンが二階から降りてきてしまった。
「ライアン、お母様ですよ?」
応えたのはカミラだった。
「え??」
ライアンはあどけない目でカミラとエルザを交互に見て戸惑っている。
「いい加減にして!!!」
エルザは怒りが頂点に達した。
「出てって!二度とこないで!!」
怒りながらエルザはふたりを無理やり屋敷から追い出した。
「ヒステリックねえ。あんな母親じゃライアンが可哀想」
「カミラは子ども好きだね。ライアンもすぐに懐くと思うよ」
カミラは褒められていい気分だった。
『さすがカミラ。富豪ゾフ家のお嬢様だわ』
『身につけているもの全てが超一級品。手に入らないものなんてないのね。羨ましいわ』
カミラは幼い頃から常にそう言われ続け、敗北を知らなかった。当然ライアンは自分のものになると思っていた。
「あの子、やっぱり可愛い。欲しい」
カミラは馬車の中でほくそ笑んだ。
一方、グレイは屋敷から追い出される時にエルザが自分に触れた手をさすっていた。
エルザ。
もう一度、くっつきたいな。
「グレイ、手をさすってどうしたの?さっき怪我でもした?大丈夫?」
「いや。何でもないよ」
鈍感なカミラはグレイの心変わりに気づいていなかった。
「ヴァレンティーナ侯爵、エルザの件、災難だったな。グレイという靴屋の悪い噂はわしも聞いておる。王女たちがグレイの靴を欲しがったが近づけるのは危険だとやめさせたくらいだ」
玉座に座っている陛下は豊かな髭をなでながら苦い顔をした。
「はい。まことに。まさか隣国の王子妃にまで手をつけた疑いがあるとは驚くばかりです。」
「しかもゾフ家が相手というのは厄介だな」
陛下は唸るように目を細めた。やはりゾフ家は王家であってもないがしろにできない富豪のようだ。
「国際問題になっても困るな。急ぎ手を打とうと思う。まずはトアン王国の女王宛に私の承認済みの印を添えた手紙を書くといい。必要とあればトアン王国を訪問する許可もだそう」
「承知いたしました。お力添え、感謝いたします」
エルザと侯爵は陛下のお墨付きをもらって女王宛に手紙を書いた。
その午後、またもやグレイとカミラがヴァレンティーナ侯爵家に面会に来た。弁護士を通さず、電撃訪問であった。
「困ります!」
グレイとカミラは必死に押し留めるノアを押しのけ、屋敷の中にずかずかと入ってきた。
父は領地へ行っており夕方まで帰らない予定だった。母もお茶会に呼ばれ遅くなるとのことだった。
「ちゃんと弁護士を通して頂戴!」
「まあそう怒らないでよ。ちょっとライアンに渡したいものがあるだけだから」
憤るエルザをグレイがなだめるように言って、青色のリボンが結ばれている白い箱をエルザに渡した。
「何なの?」
不信感いっぱいにエルザはグレイを見た。
「きっと気にいると思うの。ライアンに似合うように最高の布地で仕立てた礼服なのよ?」
カミラが勝ち誇ったように顎を上げエルザに言った。
「結構よ!!」
エルザは箱をグレイに押し付けた。
「おかあさま?」
騒ぎ声にライアンが二階から降りてきてしまった。
「ライアン、お母様ですよ?」
応えたのはカミラだった。
「え??」
ライアンはあどけない目でカミラとエルザを交互に見て戸惑っている。
「いい加減にして!!!」
エルザは怒りが頂点に達した。
「出てって!二度とこないで!!」
怒りながらエルザはふたりを無理やり屋敷から追い出した。
「ヒステリックねえ。あんな母親じゃライアンが可哀想」
「カミラは子ども好きだね。ライアンもすぐに懐くと思うよ」
カミラは褒められていい気分だった。
『さすがカミラ。富豪ゾフ家のお嬢様だわ』
『身につけているもの全てが超一級品。手に入らないものなんてないのね。羨ましいわ』
カミラは幼い頃から常にそう言われ続け、敗北を知らなかった。当然ライアンは自分のものになると思っていた。
「あの子、やっぱり可愛い。欲しい」
カミラは馬車の中でほくそ笑んだ。
一方、グレイは屋敷から追い出される時にエルザが自分に触れた手をさすっていた。
エルザ。
もう一度、くっつきたいな。
「グレイ、手をさすってどうしたの?さっき怪我でもした?大丈夫?」
「いや。何でもないよ」
鈍感なカミラはグレイの心変わりに気づいていなかった。
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