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風や水の魔法の練習へと移っていき、アールケイは順調に力の制御を覚えて行った。
私はお祝いにパンケーキを焼いた。村人から様々な魔王への貢物が捧げられていたので、食料には困らなかったのだ。
「頑張ったご褒美だよ」
ベリーやクルミ、ハチミツがかけられたパンケーキだったが、アールケイは見るのが初めての様でしばらくパンケーキを凝視していた。その後、フォークで割いて、おずおずと口に運んだ。
「おい……しい」
ちょっと感動したような目でアールケイがつぶやいた。
「よかった!うれしい」
私が微笑むと、アールケイは手を止め、私をじっと見つめた。
「どうしたの?もう食べないの?アール──」
え?
目の錯覚だろうか……
ほんの一瞬でアールケイの背がぐんと伸びた気がした。
アールケイは少し首を傾けたまま私を見つめ、ふと微笑した。
頬にかかるほど伸びた黒髪と赤い唇がやけに艶っぽくて、私はどきりとした。
夕飯を食べる時間になった。
なんで……?
「え、と……」
アールケイを見た私は戸惑っていた。
向かい合うアールケイは明らかに私より背が高くなっていた。
「き、急に背が伸びるんだね、びび、びっくりだよ。食事の栄養がよかったのかな??」
ロウソクの火で影ができているアールケイから妙な色気を感じてしまい、私はうろたえながら早口で言葉をついだ。
アールケイは私をじっと見つめたまま、目を離そうとしない。
胸がどきどきしてきて、私は慌てて夕飯を口に頬張った。
「う……ごほ」
ろくに噛まずに飲み込んだので、喉に詰まって咳き込んだ私の横に、すっとアールケイが来て座った。
そしてコップの水を口に含み、そのまま私にキスをした。
「!!!???」
口移しで流れ込んでくる水を私は思わず飲み込んだ。
今起きたことが信じられず、でも恥ずかしくて私は真っ赤になってうつむいた。
アールケイはそんな私を不思議そうに、でも微笑んで見ていた。
魔族だから、変な親切の仕方をするのかもしれない。
そうよ、きっとそうよ!
私は理解が追いつかず、自分にそう言い聞かせた。
私はお祝いにパンケーキを焼いた。村人から様々な魔王への貢物が捧げられていたので、食料には困らなかったのだ。
「頑張ったご褒美だよ」
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「おい……しい」
ちょっと感動したような目でアールケイがつぶやいた。
「よかった!うれしい」
私が微笑むと、アールケイは手を止め、私をじっと見つめた。
「どうしたの?もう食べないの?アール──」
え?
目の錯覚だろうか……
ほんの一瞬でアールケイの背がぐんと伸びた気がした。
アールケイは少し首を傾けたまま私を見つめ、ふと微笑した。
頬にかかるほど伸びた黒髪と赤い唇がやけに艶っぽくて、私はどきりとした。
夕飯を食べる時間になった。
なんで……?
「え、と……」
アールケイを見た私は戸惑っていた。
向かい合うアールケイは明らかに私より背が高くなっていた。
「き、急に背が伸びるんだね、びび、びっくりだよ。食事の栄養がよかったのかな??」
ロウソクの火で影ができているアールケイから妙な色気を感じてしまい、私はうろたえながら早口で言葉をついだ。
アールケイは私をじっと見つめたまま、目を離そうとしない。
胸がどきどきしてきて、私は慌てて夕飯を口に頬張った。
「う……ごほ」
ろくに噛まずに飲み込んだので、喉に詰まって咳き込んだ私の横に、すっとアールケイが来て座った。
そしてコップの水を口に含み、そのまま私にキスをした。
「!!!???」
口移しで流れ込んでくる水を私は思わず飲み込んだ。
今起きたことが信じられず、でも恥ずかしくて私は真っ赤になってうつむいた。
アールケイはそんな私を不思議そうに、でも微笑んで見ていた。
魔族だから、変な親切の仕方をするのかもしれない。
そうよ、きっとそうよ!
私は理解が追いつかず、自分にそう言い聞かせた。
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