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Ep.2-10
「お前は我が妃アーシャと密通していたな?」
あるとき唐突に、以前アーシャと密通していた騎士が捕えられた。
証拠は押さえていなかったが、ジェハスの目的は別にあった。
「ここにアーシャとヴィヴィアンを呼べ」
ヴィヴィアンがアーシャとともに呼ばれた宮廷広場では、騎士が柱にくくりつけられ、ぐったりとしていた。騎士のまわりには槍を構えている兵士が数人いた。
「彼が何をしたというのです!?」
体のあちこちに激しくなぐられた跡がある騎士をみて、ヴィヴィアンが抗議の声を上げた。
「アーシャとの密通の罪だ」
また蒸し返してきたのね。
このままでは騎士は処刑されてしまう。
なんとかこの場をしのぐ方法はないか。
ヴィヴィアンが頭を働かせていると、隣で震えているアーシャにジェハスが問うた。
「何か裏でコソコソと探っているようだな、アーシャよ?」
ヴィヴィアンとアーシャの血の気が引いた。
ジェハスに勘づかれていた──!
「スーザンの元に何の用で行った」
「わ、私はただ、スーザン様のお見舞いにと」
「大してスーザンと仲が良いわけでもなかったお前がか?」
ジェハスは核心をついてきた。
「密通の上、スパイ行動までしたとあれば、命はないと思え」
アーシャは押し黙った。
額に嫌な汗がつたう。
「正直に言えばお前の罪は全て水に流してやる。だが、抵抗するなら、お前の実家、マカデル伯爵家を取り潰しにしてもいいんだぞ」
アーシャは真っ青になり、がたがた震えていた。
ジェハスの恐ろしい脅しだった。
だが、アーシャは決して口を割ろうとしなかった。相手に合わせるのが上手であるため、時に軽薄そうに見えるアーシャだったが、その性分は意外にも義理堅く、忠誠を誓った相手には実に忠実だった。
アーシャ……!
ヴィヴィアンは、恐怖で涙を目にいっぱいにためながらも、ヴィヴィアンを裏切ろうとしないアーシャの健気さに心打たれた。
「アーシャは冤罪です、陛下」
「何?お前は何を知っているというのだ」
ジェハスは待っていたとばかりに、ヴィヴィアンに問うた。
「スーザンの元に行ってもらったのは、鬼の子を産んだ彼女に興味があったからです。私は魔女ですから。スーザンの髪をもらう役目をアーシャに頼みました」
そう言って、ヴィヴィアンはスーザンの金髪の一房をジェハスに掲げて見せた。
これは万が一、疑われた時の保険として、本物のスーザンの髪をもらっておいたのだった。
続けてヴィヴィアンはまくしたてた。
「騎士とアーシャが出会うように図ったのも私です。密通の疑いをもたせ、彼女を陥れるために。ライバルの一人だったアーシャを私は気にくわなかったのです」
ジェハスはにやりと笑った。
このままでは私のためにヴィヴィアン様が罪に問われてしまう!
アーシャは前のめりになって何か言おうとした。
それをヴィヴィアンが視線で制した。
スーザンのことはうまいこと切り返されたが、妃の一人に密通疑惑をもたせた罪は十分重かった。ジェハスは本当のところ、ヴィヴィアンを罪にとえれば何でもよかった。
「ではお前が全ての罪を負うがいい。その前にあいつは串刺しの刑だ」
ジェハスが手で合図すると、いっせいに兵たちが騎士に槍をついた。
「ぐっ」
短くうなったあと、騎士は絶命した。
「なんてことを──!」
あまりの残酷さに、ヴィヴィアンは騎士から顔を逸らした。
ショックでアーシャは貧血を起こして倒れた。
ジェハスは顔色ひとつ変えず、ゆうゆうとヴィヴィアンを断罪した。
「全ての罪のとがで、王妃ヴィヴィアンを廃妃とする!」
ヴィヴィアンはこの後すぐに、廃妃が幽閉される館へと連行された。
あるとき唐突に、以前アーシャと密通していた騎士が捕えられた。
証拠は押さえていなかったが、ジェハスの目的は別にあった。
「ここにアーシャとヴィヴィアンを呼べ」
ヴィヴィアンがアーシャとともに呼ばれた宮廷広場では、騎士が柱にくくりつけられ、ぐったりとしていた。騎士のまわりには槍を構えている兵士が数人いた。
「彼が何をしたというのです!?」
体のあちこちに激しくなぐられた跡がある騎士をみて、ヴィヴィアンが抗議の声を上げた。
「アーシャとの密通の罪だ」
また蒸し返してきたのね。
このままでは騎士は処刑されてしまう。
なんとかこの場をしのぐ方法はないか。
ヴィヴィアンが頭を働かせていると、隣で震えているアーシャにジェハスが問うた。
「何か裏でコソコソと探っているようだな、アーシャよ?」
ヴィヴィアンとアーシャの血の気が引いた。
ジェハスに勘づかれていた──!
「スーザンの元に何の用で行った」
「わ、私はただ、スーザン様のお見舞いにと」
「大してスーザンと仲が良いわけでもなかったお前がか?」
ジェハスは核心をついてきた。
「密通の上、スパイ行動までしたとあれば、命はないと思え」
アーシャは押し黙った。
額に嫌な汗がつたう。
「正直に言えばお前の罪は全て水に流してやる。だが、抵抗するなら、お前の実家、マカデル伯爵家を取り潰しにしてもいいんだぞ」
アーシャは真っ青になり、がたがた震えていた。
ジェハスの恐ろしい脅しだった。
だが、アーシャは決して口を割ろうとしなかった。相手に合わせるのが上手であるため、時に軽薄そうに見えるアーシャだったが、その性分は意外にも義理堅く、忠誠を誓った相手には実に忠実だった。
アーシャ……!
ヴィヴィアンは、恐怖で涙を目にいっぱいにためながらも、ヴィヴィアンを裏切ろうとしないアーシャの健気さに心打たれた。
「アーシャは冤罪です、陛下」
「何?お前は何を知っているというのだ」
ジェハスは待っていたとばかりに、ヴィヴィアンに問うた。
「スーザンの元に行ってもらったのは、鬼の子を産んだ彼女に興味があったからです。私は魔女ですから。スーザンの髪をもらう役目をアーシャに頼みました」
そう言って、ヴィヴィアンはスーザンの金髪の一房をジェハスに掲げて見せた。
これは万が一、疑われた時の保険として、本物のスーザンの髪をもらっておいたのだった。
続けてヴィヴィアンはまくしたてた。
「騎士とアーシャが出会うように図ったのも私です。密通の疑いをもたせ、彼女を陥れるために。ライバルの一人だったアーシャを私は気にくわなかったのです」
ジェハスはにやりと笑った。
このままでは私のためにヴィヴィアン様が罪に問われてしまう!
アーシャは前のめりになって何か言おうとした。
それをヴィヴィアンが視線で制した。
スーザンのことはうまいこと切り返されたが、妃の一人に密通疑惑をもたせた罪は十分重かった。ジェハスは本当のところ、ヴィヴィアンを罪にとえれば何でもよかった。
「ではお前が全ての罪を負うがいい。その前にあいつは串刺しの刑だ」
ジェハスが手で合図すると、いっせいに兵たちが騎士に槍をついた。
「ぐっ」
短くうなったあと、騎士は絶命した。
「なんてことを──!」
あまりの残酷さに、ヴィヴィアンは騎士から顔を逸らした。
ショックでアーシャは貧血を起こして倒れた。
ジェハスは顔色ひとつ変えず、ゆうゆうとヴィヴィアンを断罪した。
「全ての罪のとがで、王妃ヴィヴィアンを廃妃とする!」
ヴィヴィアンはこの後すぐに、廃妃が幽閉される館へと連行された。
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