追放同然で遠国に献上された古代種の姫を王太子が溺愛しているらしい

nanahi

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16 再来

「また来たのか、ガネシュ」


闇に溶けこみ近づいたが、王女はすぐに気づいた。思いかけず名を呼ばれて気が乱れ、すぐに姿を現してしまった。


「野生動物の如き勘の鋭さですね」


声をかけると、王女は寝台から半身を起こし、こちらを見る。深緑の瞳がわずかに光り、幻想的だった。


「あなたをここから解放してさしあげます」


提案に王女は反応しない。


「マハ王国に連れ帰ってさしあげましょう」

「……条件は」


王女は声を低くして質問してきた。


「簡単ですよ。ルヒカンド王国の全員から王女の記憶だけを消し去るのです」


王女は即答しなかったが、数十秒後に「断る」と答えた。


「なぜです? 憎きルヒカンドに何か未練でも?」

「祖国に損害を与えたお前を信用するとでも?」


王女はもっともな回答をしたが、真意はそれではないと直感した。


原因は王太子……か?


そう思うと、やけに面白くなかった。
あんな温室育ちの男のどこがいいのか。


「去れ」


王女はそれだけ言って、顔を背けて寝てしまった。
自分を恐れもせず、興味も示さない王女の背中を、どうしても振り向かせたい衝動に駆られた。

最初はただの興味本位であったのに。
古来よりこの地を統べる尊い血統にちょっとした混乱をもたらして楽しもうと思ってただけなのに。

思い通りにならない王女に、僕は強烈に惹かれ始めていた。
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