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39 脱獄
「失態続きね、ガネシュ」
牢にブランカがやってきた。マール家おかかえの魔術師が王太子に牢に入れられたと聞き、急ぎ様子を見にやってきたのだ。
邪魔な王女が姿を消したことはブランカにとって朗報だったが、王太子はいまだ王女に未練がある様子でちっともブランカに振り向いくれない。鬱屈は溜まる一方でブランカはすこぶる機嫌が悪かった。
「あなたは──!」
ガネシュと一緒に牢に入っているジェーンを見てブランカが驚きの声をあげる。ジェーンもガネシュとブランカが知り合いだと知り同じく驚いた顔をしている。
「怪しいふたりが同時に牢に入れられるとはどういうことかしら!!?」
ブランカは王太子がマール家にまで疑いの目を向けるのではと懸念していた。「説明して頂戴!」とブランカが強い口調でガネシュに迫る。
「殿下に向かって無礼な口の聞き方は慎みなさい」
ジェーンが威圧的に注意すると、ブランカは激高して言い返した。
「何ですって!? あなたこそマール家の私に楯突くつもり!?」
「ああ、面倒だ。やめたやめた」
フードを脱いだガネシュがカモフラージュの術を解き、生来の少年の声と顔をブランカにさらした。ウェーブがかった豪華な金髪に淡いスカイブルーの瞳の美少年だ。
「まだ子どもじゃない!! あなた一体……!? 」
ブランカが絶句していると、ガネシュはやけになって告白した。
「僕はこの星とは別の世界から来た、ノスカ王国の王太子だ」
しばらくガネシュを凝視していたブランカは急に笑い出した。「ノスカ王国など聞いたこともないわ! 下手な子どもの嘘ね。本物のガネシュはどこ?」
どうやら信じていないようだ。でもこれ以上この令嬢に付き合うのも飽きた。ガネシュはもう何も言わずアプリを呼び出し、ジェーンを連れて空間にまぎれ消えた。ブランカは呼び止める暇もなかった。
あの魔術! あの少年は本物のガネシュだったの? 熟練の魔道の者とばかり思い込んでいたけれど、わたくしとお父様はまんまと騙されていたのかしら……
ブランカの頭の中は疑問符だらけであったが、囚人が自分の目の前で消えてしまった事実を王太子にどう報告すればいいのか、しばらく頭を悩ませた。
∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵
ブランカが憂鬱な気持ちでガネシュたちが牢から消えたことを王太子に報告したが、「そうか」と王太子は言ったきり、ブランカは特に責められることもなかった。
拍子抜けしたブランカは「あの者はとんだ不届き者ですわ。ノスカ王国から来た王太子などと出まかせを申していましたし」とつい漏らした。
「どこから来ただと?」
意外なことに王太子が食いついてきた。
「ノスカ王国とか。それと、この星とは別の世界から来たとも申しておりました」
王太子はそのまま押し黙ってしまった。ブランカが自分の存在のことなどお忘れになってしまったのかと心配し始めた頃、王太子は何も告げずにブランカを残したまま部屋を飛び出して行ってしまった。
牢にブランカがやってきた。マール家おかかえの魔術師が王太子に牢に入れられたと聞き、急ぎ様子を見にやってきたのだ。
邪魔な王女が姿を消したことはブランカにとって朗報だったが、王太子はいまだ王女に未練がある様子でちっともブランカに振り向いくれない。鬱屈は溜まる一方でブランカはすこぶる機嫌が悪かった。
「あなたは──!」
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「怪しいふたりが同時に牢に入れられるとはどういうことかしら!!?」
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「殿下に向かって無礼な口の聞き方は慎みなさい」
ジェーンが威圧的に注意すると、ブランカは激高して言い返した。
「何ですって!? あなたこそマール家の私に楯突くつもり!?」
「ああ、面倒だ。やめたやめた」
フードを脱いだガネシュがカモフラージュの術を解き、生来の少年の声と顔をブランカにさらした。ウェーブがかった豪華な金髪に淡いスカイブルーの瞳の美少年だ。
「まだ子どもじゃない!! あなた一体……!? 」
ブランカが絶句していると、ガネシュはやけになって告白した。
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しばらくガネシュを凝視していたブランカは急に笑い出した。「ノスカ王国など聞いたこともないわ! 下手な子どもの嘘ね。本物のガネシュはどこ?」
どうやら信じていないようだ。でもこれ以上この令嬢に付き合うのも飽きた。ガネシュはもう何も言わずアプリを呼び出し、ジェーンを連れて空間にまぎれ消えた。ブランカは呼び止める暇もなかった。
あの魔術! あの少年は本物のガネシュだったの? 熟練の魔道の者とばかり思い込んでいたけれど、わたくしとお父様はまんまと騙されていたのかしら……
ブランカの頭の中は疑問符だらけであったが、囚人が自分の目の前で消えてしまった事実を王太子にどう報告すればいいのか、しばらく頭を悩ませた。
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ブランカが憂鬱な気持ちでガネシュたちが牢から消えたことを王太子に報告したが、「そうか」と王太子は言ったきり、ブランカは特に責められることもなかった。
拍子抜けしたブランカは「あの者はとんだ不届き者ですわ。ノスカ王国から来た王太子などと出まかせを申していましたし」とつい漏らした。
「どこから来ただと?」
意外なことに王太子が食いついてきた。
「ノスカ王国とか。それと、この星とは別の世界から来たとも申しておりました」
王太子はそのまま押し黙ってしまった。ブランカが自分の存在のことなどお忘れになってしまったのかと心配し始めた頃、王太子は何も告げずにブランカを残したまま部屋を飛び出して行ってしまった。
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