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8 調査員 調査対象アダムス
ある日、調査員と名乗る男が僕の屋敷にやってきた。王家から派遣されたそうだ。僕とメアリについて聞き取り調査をするとのことだった。
僕は何も隠し立てするつもりはない。全て正直に話す覚悟だった。
応接間に男を通し、僕は男と向かい合って座った。男は一重の中年で愛想のない男だった。
「ではアダムス・アッシュフォードさん、聞き取りを始めます。神に誓って嘘偽りないようお話ください」
「承知しています」
僕がうなずくと、男は紙と羽ペンでメモを取りながら僕に質問を始めた。
「遠征中、エバンジェリン様から手紙が届いたことはありますか?」
「いいえ」
「一通もですか?」
「はい。実は婚約者からの励ましの手紙をちょっと期待してたんですが。結局半年間で一通ももらっていません」
男は素早く紙に何かを書き記した。
「遠征中にエバンジェリン様から梨が届いたことは?」
「梨?そんなもの届いていません。僕はエバンジェリンにほうっておかれていましたよ」
男は再び紙に書き記した。
「エバンジェリン様からお守りが届いたことは?」
「そんなもの届くわけないでしょう?エバンジェリンは僕のことなんかどうでもよかったんですよ。そのかわり、メアリが僕に手作りのお守りをくれました。あの子はそういう優しいところがあるんです」
男はペンを走らせながら最後にこう言った。
「メアリさんに離婚歴があることをご存知でしたか?」
「えっ」
僕は戸惑って返事ができなかった。
「えっ、え、どういう」
メアリは男性と付き合うのは初めてだと僕に言ったはずだ。
「3回離婚されています。お子様も一人。ただ元夫が引き取ったようですが」
「何かの間違いでは!?」
食い下がる僕に男の目が光った。
「王家の調査内容をお疑いになるのですか?」
「い、いや」
男の鋭い視線に僕はひるんだ。
どうなってるんだ??
メアリに離婚歴があって、しかも子供まで産んでいたなんて。
僕の額に冷や汗が伝った。
僕は真実の愛を見つけたはずだ。
メアリと永遠を誓い合って。
メアリは純真無垢な女性のばずだ。
メアリという名前はありふれている。
だからきっとこれは人違いなんだ。
僕はまだメアリへの幻想を捨てられずにいた。
僕は何も隠し立てするつもりはない。全て正直に話す覚悟だった。
応接間に男を通し、僕は男と向かい合って座った。男は一重の中年で愛想のない男だった。
「ではアダムス・アッシュフォードさん、聞き取りを始めます。神に誓って嘘偽りないようお話ください」
「承知しています」
僕がうなずくと、男は紙と羽ペンでメモを取りながら僕に質問を始めた。
「遠征中、エバンジェリン様から手紙が届いたことはありますか?」
「いいえ」
「一通もですか?」
「はい。実は婚約者からの励ましの手紙をちょっと期待してたんですが。結局半年間で一通ももらっていません」
男は素早く紙に何かを書き記した。
「遠征中にエバンジェリン様から梨が届いたことは?」
「梨?そんなもの届いていません。僕はエバンジェリンにほうっておかれていましたよ」
男は再び紙に書き記した。
「エバンジェリン様からお守りが届いたことは?」
「そんなもの届くわけないでしょう?エバンジェリンは僕のことなんかどうでもよかったんですよ。そのかわり、メアリが僕に手作りのお守りをくれました。あの子はそういう優しいところがあるんです」
男はペンを走らせながら最後にこう言った。
「メアリさんに離婚歴があることをご存知でしたか?」
「えっ」
僕は戸惑って返事ができなかった。
「えっ、え、どういう」
メアリは男性と付き合うのは初めてだと僕に言ったはずだ。
「3回離婚されています。お子様も一人。ただ元夫が引き取ったようですが」
「何かの間違いでは!?」
食い下がる僕に男の目が光った。
「王家の調査内容をお疑いになるのですか?」
「い、いや」
男の鋭い視線に僕はひるんだ。
どうなってるんだ??
メアリに離婚歴があって、しかも子供まで産んでいたなんて。
僕の額に冷や汗が伝った。
僕は真実の愛を見つけたはずだ。
メアリと永遠を誓い合って。
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だからきっとこれは人違いなんだ。
僕はまだメアリへの幻想を捨てられずにいた。
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