亡命聖女─アンデッドを祓える力は内緒だけど、隣の大陸の王陛下が溺愛してくる

nanahi

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11 聖女の霊感

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夜半。
王宮の庭園の一角。闇に紛れ、林檎の木の下で二人の男が立っている。


「無味無臭で即効性のある毒だそうだな」


ネイブが黒服の男に尋ねる。


「はい。食べても気付かないはずです」


男が注射針をネイブに見せながら答える。


「毒を仕込んだのは一番赤いこの林檎か。いい毒が手に入ったからあいつに試してやる。万が一我々に疑いの目を持たれた時は王宮の庭師に罪を着せるから安心しろ」

「承知しました」

「ふふ…明日が楽しみだな」


ネイブは金貨の袋を男に手渡し、不敵な笑みを浮かべた。






離れの部屋で眠っていたローザリアは夢の底から引き上げられるような力を感じ、突然目を覚ました。

まだ外は暗い。夜中だ。胸がつかえるような圧迫感を感じる。


「何だろう…すごく嫌な予感がする…」


導かれるようにベッドから降り窓の外を見た。闇色の庭園のどこかから、まがまがしい何かを感じた。


明日、確かめてみよう。


ローザリアは胸騒ぎの正体を突き止めようと心に決めた。




--------------------




晴れ渡る空。王宮庭園の東屋。
ユークリッドが華やかに着飾った令嬢たちとお茶会をしている。


「陛下、庭園の姫林檎が熟したようですよ。先ほど庭師が申しておりました」


ネイブが思いついたように装い、ユークリッドに声をかける。


「本当か?」


ユークリッドは林檎が好物だった。


「それは楽しみですわね。私たちも参りましょう」


デルタがリーダーシップを取り令嬢たちを率いる。


庭の一角にある姫林檎の木の前に一同が到着した。


「まあ可愛い!」

「真っ赤に熟していますわ!」


令嬢たちが小さな姫林檎の可愛さにきゃっきゃと騒ぐ。






その頃、少し離れた木の陰でローザリアがユークリッドたちの様子をうかがっていた。昨夜からの胸騒ぎはいまだおさまっていなかった。

わんわんと頭の奥で不快な音が響きはじめた。

呼応するようにユークリッドの前の林檎の木が歪んだ。


”食べてはいけない──”


聖女の霊感だった。ローザリアの体力が回復してきたことで、以前、時折発動していた霊感が戻ってきたのだ。


何かある。
危険だ…!


ローザリアが集中して目をこらすと、一つの林檎からドス黒い瘴気が放たれているのが見えた。ローザリアはゾクリとした。

ユークリッドはまさに瘴気を放つ林檎付近に手を伸ばそうとしている。そばにいるレオも全く林檎の異変に気がついていない。


みんなには見えないんだわ…!
陛下を止めないと!!


ローザリアは無我夢中で駆け出していた。







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