亡命聖女─アンデッドを祓える力は内緒だけど、隣の大陸の王陛下が溺愛してくる

nanahi

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68 敗北

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夜になっても戦いは続いた。監視兵の悲痛な声がとどろいた。


「マクダナフ騎士団長、殉死!!」


城壁で善戦していたマクダナフが連合軍に集中的に狙われ命を落とした。ルクセン王国一の戦士が倒されたことで兵たちの士気はまたたく間に下がっていった。

ついに城門が突破され、敵軍がなだれ込んできた。

ローザリアの頼みで戦闘に加わっていたイヴァーシュケとタランティアも「数の差で不利だな」と諦め顔になった。自ら志願し加勢していた一之進の首根っこを掴むと、黒豹のような俊敏さで城内に戻っていった。


「武力の差がありすぎた!」

「もうだめだ!陛下、お逃げください!」


王宮で戦闘を見守っていた貴族たちは蜘蛛の子を散らす勢いで方々に逃げ出した。


「ネイブ!お前も裏手から逃げるんだ!」


敗北を覚悟したユークリッドが最後まで作戦を練ろうとしていたネイブに叫んだ。


「ローザリア、行こう!」


ユークリッドは、ローザリアの手を引き、王の間のタペストリーに隠された小さな扉に入っていった。長く狭い通路の先に小さな隠し部屋があった。床の一部に木の蓋が設置されている。


「この蓋を開くと王族だけが知る地下の隠し通路がある。ここから王都の外にある森に出られる。君は逃げるんだ」


「嫌!陛下といる!」

「ダメだ!!」


ユークリッドは頑として許さない。


「すぐ後に僕も行くから」


到底そうは思えなかった。あんな大軍に囲まれたらきっと命を落としてしまう。それでも王としての責務を果たしに戦いに向かうつもりなのだ。


「愛している」


ユークリッドは幾ばくかの間ローザリアを抱擁した後、着いてこようとするローザリアを押し戻すと、素早く部屋を出て外から鍵をかけた。






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