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nanahi

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6 再会 沙耶視点

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びっくりした。


食材を買いに出かけて、自宅に帰る途中、偶然、優斗と元カノに遭遇した。

心臓が飛び出るかと思った。

赤ちゃん、いたな。
結婚したんだろうから当たり前だよね。

でも、二年前の失恋を思い出して、心臓がうずいた。
もう、思い出したくなかったのに。

知り合いに会いにきたって、とっさに嘘ついちゃったけど、いいよね。
優斗もあそこのマンション買えるほど出世したのかな。
頑張ったんだね。




私は優斗と再会した物件から十数分歩いた場所にある、別のマンションの玄関を顔認証で通り抜ける。

「おかえりなさいませ」

玄関ホールのカウンターに常時二名のコンシェルジュが控えている。

「ただいま戻りました」

このマンションに引っ越してきて半年。
これまでの私にしては家賃はかなり高額だけど、一年前にストーカーされたのがトラウマで、セキュリティ完備のこのマンションに移り住んだのだ。


いつも挨拶をしてくれる落ち着いた風情の男性と女性のコンシェルジュ。
天涯孤独な私にとって、彼らにはよく会う親戚のような親しみを感じている。


重厚感のあるエレベーターに乗り、自分の部屋に入る。

「今日も実りのある一日だったな」

達成感と共に私はソファに沈み込む。

大きなガラス窓からの夜景に心洗われる。

「そういえば、投資の本出さないかって言われてたんだっけ。ちゃんとお返事しないと」

私はPCでメールを立ち上げ、キーボードを打ち始めた。


優斗と別れてから、私は貯金を元手に投資に力を入れ、今や数億の資産を持つ億り人になっていた。

自分の励みにと仮名で始めたSNSで投資の成績について発信するうちに、有名な投資家や出版社の方とのパイプができ、仕事の声がかかるようになっていた。

「前を向かなきゃ。今までだって、一人で頑張ってきたんだもの」

私は優斗との再会で少し傷ついた心をなぐさめるように、つぶやいた。

「もう、二度と会うことはないよね」



だが運命はそうしてはくれなかった。

こちらが望んでいないのに、このあと優斗と元カノが私と関わるようになる。





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