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4 魔族の王子
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「あっ!いた!」
ボーが先に湖のほとりで倒れているシアラを見つけた。
「人間の娘か。しかしこれは──」
頭に怪我を負い、服はズタズタ、全身血まみれのシアラに、ディオは眉をひそめた。
「こんなひどい姿でいったい何があったんだろうね」
ボーも警戒してぐるぐる飛んでいる。
「人間など珍しいな。しかも結界を張っていたのにどうしてこの森に入れたんだ?」
「やっぱりヤバい人なんじゃない?」
「そうだな。厄介ごとには関わらないのが無難だな。だが──」
魔界では人間になるべく関わらないのが通例となっていた。
このままシアラを森の外に放り出してもよかったのだが、なぜかディオは気が進まなかった。
シアラをじーっと見ていたボーが何かに気づき、ふと呟いた。
「んん?この子には巫女の力があるよ。まだほとんど覚醒してないけど」
「ほう」
人間の巫女など、ディオは見たことがなかった。
「興味あるんだ?」
「ちょうど俺は今暇なのだ。面白そうだから少しの間だけ面倒を見てやろうかな」
ボーがいつもと違って人助けに乗り気なディオを凝視している。
「本当はけっこう好みだったりして」
ボーがからかうと、ディオは「うるさい!下世話なことを言うな」といって、追い払う素振りをした。
「おい、名前はなんだ」
シアラの頬を優しくたたいて、ディオが尋ねた。
「……シ……アラ」
シアラは息も切れ切れにそれだけ答えた。
体がふわりと浮き上がり、誰かに抱き抱えられた感覚のあと、シアラはふたたび意識を失った。
ディオの屋敷に運ばれた後、シアラは幾日も高熱にうなされた。
「身につけているものは全て最高級品だった。どこぞの高貴な令嬢なのだろうな」
ディオがシアラの額の汗を冷たいタオルでぬぐってやる。頭の包帯が痛々しい。
「人間はすぐ怪我をするし病気になる。もろいものだな。この薬が効いてくれるといいが」
薬草を煎じたお茶を口から流し込んでやる。
魔族のディオでは人間に痛みを与えることはできても、怪我や病気を癒すことはできない。せめてシアラの苦しみを少しでも和らげてあげたかった。
「ああ全く世話が焼ける」
文句を言いながらシアラの口からこぼれたお茶を拭き取っているディオは言葉とは裏腹にどこか楽しげだ。
ディオが目を逸らしながら服を着替えさせ、体を拭いてやると、シアラの透き通るような肌が現れた。
「ディオ、珍しく優しいね。綺麗な子だしね」
「別に好みだからじゃないぞ」
ディオはボーに釘をさした。
「う……ん……」
「またうなされてるね」
ボーがよしよし、とシアラの頭をなでてやる。
夢の中で苦しんでいるシアラを見て、ディオはシアラのことが心なしか気になり始めていた。
「お父……お母さ……デニス……ミ、ネ……」
目覚めないままにうなされ、苦悶の表情のシアラ。
頬に涙が伝う。
「……」
ディオはとっさにシアラの涙を拭おうと指を差し出すも、はっとして引っ込める。
「俺は何をしている。人間の娘のことなど、どうでもいいだろう?」
そんなディオの様子をボーはひとり微笑んで見ていた。
数日後、ついにシアラが目覚めた。
「うああああああああ!!」
客間から絶叫が響いた。
「なんだ!?」
ディオとボーが急いで客間に入ると、ベッドから半身を起こしたシアラが髪をかきむしりながら泣いている。
「あああ、うああああ!!」
半狂乱だ。
「おい、落ち着け!もう大丈夫だから!」
ディオが落ち着かせようとするが、シアラの耳には届かないようだ。
「私のせいなの!私がバカだったの!!私なんていなくなればいいの!!」
シアラの脳裏には、召使いたちや両親の惨殺された光景がありありと浮かんでいた。
「落ち着けと言っている!」
ディオが暴れるシアラの両手首を握ったとき、一瞬、シアラとディオの目があった。
紫色の目──
しかし、シアラの目には、ディオの透き通るような紫眼の奥に、弟デニスの無惨な遺体がフラッシュバックのように映し出された。
「がああああ!!!!」
ガジャグシャン!!
シアラの咆哮のあと、突如、床から天井から壁から、太いツタが破壊音をたてながら侵入してきた。
そしてそのまま、部屋の中を貫通し、無差別に壊し始めた。
「ああ!俺の屋敷が!」
「こわいよ~~きっと巫女の力が暴走してるんだよう」
ボーが半狂乱のままのシアラを見て言った。
「なんとかして止めないと!」
今度は混乱状態で制御できないシアラに向かって、ツタが襲いかかった。
切先が鉄のように鋭く固くなっている。
シアラの目に、ストップモーションのように近づいてくるツタの刃先が目に映った。
そうよ。
わたしを殺して。
シアラは涙にぬれた目を閉じ、両手を広げた。
「危ない!!」
すんでのところで、ディオがシアラを抱き上げ、ツタの刃を避けた。
ツタはさらに襲いかかってくる。
「しつこいぞ!!」
ディオは勢いよく右の手のひらを前に突き出した。
ぐにゃん!
ツタがなぐられたように突然方向を変え、行き場を失い自身でからまりはじめる。
しかし、ターゲットを見失ったツタはどんどん増殖していき、勢いが衰えない。
「……っ!どうなってる?俺の力でも滅っすることができないとは」
「死な、せて」
茫然自失のシアラがつぶやく。
「死ぬのは勝手だが、ここでは死ぬな。俺の館だぞ?胸くそ悪い」
「ディオ、どうするの?このままだと増殖したツタでこの森はのまれるよ」
「ああわかってる!面倒だが仕方がない」
ディオは一瞬躊躇したあと、シアラの頭を引き寄せ、唇を重ねた。
「ん……」
シアラは朦朧としていて何をされているかよくわかっていない。
数秒後、ディオはシアラから口を離した。
直後、あれほど暴れ回っていたツタは、一瞬で枯れ果ててしまった。
「魔素を含む俺の唾液をシアラの体に入れたから、いざという時は俺がシアラの力を制御できる」
「よかったね」
「何がだ?」
ボーの言葉がよく理解できず、ディオは聞き返した。
「ファーストキス、だよね。ディオの」
「わーわーわー!!それを言うなあ!!!!」
子どものように赤くなって手をブンブン振るディオ。
「シアラは初めてかどうかわからないけど」
「…………」
ボーの指摘にディオは気を失っているシアラを見て、真面目な顔でしばらく考え込む。
「今度、聞いてみたら?」
「誰が聞くかあ!シアラには絶対に言うなよ!!」
ディオはもうシアラに心が傾き始めていたが、恋の経験のないディオは、そのことにまだ気づいていなかった。
ボーが先に湖のほとりで倒れているシアラを見つけた。
「人間の娘か。しかしこれは──」
頭に怪我を負い、服はズタズタ、全身血まみれのシアラに、ディオは眉をひそめた。
「こんなひどい姿でいったい何があったんだろうね」
ボーも警戒してぐるぐる飛んでいる。
「人間など珍しいな。しかも結界を張っていたのにどうしてこの森に入れたんだ?」
「やっぱりヤバい人なんじゃない?」
「そうだな。厄介ごとには関わらないのが無難だな。だが──」
魔界では人間になるべく関わらないのが通例となっていた。
このままシアラを森の外に放り出してもよかったのだが、なぜかディオは気が進まなかった。
シアラをじーっと見ていたボーが何かに気づき、ふと呟いた。
「んん?この子には巫女の力があるよ。まだほとんど覚醒してないけど」
「ほう」
人間の巫女など、ディオは見たことがなかった。
「興味あるんだ?」
「ちょうど俺は今暇なのだ。面白そうだから少しの間だけ面倒を見てやろうかな」
ボーがいつもと違って人助けに乗り気なディオを凝視している。
「本当はけっこう好みだったりして」
ボーがからかうと、ディオは「うるさい!下世話なことを言うな」といって、追い払う素振りをした。
「おい、名前はなんだ」
シアラの頬を優しくたたいて、ディオが尋ねた。
「……シ……アラ」
シアラは息も切れ切れにそれだけ答えた。
体がふわりと浮き上がり、誰かに抱き抱えられた感覚のあと、シアラはふたたび意識を失った。
ディオの屋敷に運ばれた後、シアラは幾日も高熱にうなされた。
「身につけているものは全て最高級品だった。どこぞの高貴な令嬢なのだろうな」
ディオがシアラの額の汗を冷たいタオルでぬぐってやる。頭の包帯が痛々しい。
「人間はすぐ怪我をするし病気になる。もろいものだな。この薬が効いてくれるといいが」
薬草を煎じたお茶を口から流し込んでやる。
魔族のディオでは人間に痛みを与えることはできても、怪我や病気を癒すことはできない。せめてシアラの苦しみを少しでも和らげてあげたかった。
「ああ全く世話が焼ける」
文句を言いながらシアラの口からこぼれたお茶を拭き取っているディオは言葉とは裏腹にどこか楽しげだ。
ディオが目を逸らしながら服を着替えさせ、体を拭いてやると、シアラの透き通るような肌が現れた。
「ディオ、珍しく優しいね。綺麗な子だしね」
「別に好みだからじゃないぞ」
ディオはボーに釘をさした。
「う……ん……」
「またうなされてるね」
ボーがよしよし、とシアラの頭をなでてやる。
夢の中で苦しんでいるシアラを見て、ディオはシアラのことが心なしか気になり始めていた。
「お父……お母さ……デニス……ミ、ネ……」
目覚めないままにうなされ、苦悶の表情のシアラ。
頬に涙が伝う。
「……」
ディオはとっさにシアラの涙を拭おうと指を差し出すも、はっとして引っ込める。
「俺は何をしている。人間の娘のことなど、どうでもいいだろう?」
そんなディオの様子をボーはひとり微笑んで見ていた。
数日後、ついにシアラが目覚めた。
「うああああああああ!!」
客間から絶叫が響いた。
「なんだ!?」
ディオとボーが急いで客間に入ると、ベッドから半身を起こしたシアラが髪をかきむしりながら泣いている。
「あああ、うああああ!!」
半狂乱だ。
「おい、落ち着け!もう大丈夫だから!」
ディオが落ち着かせようとするが、シアラの耳には届かないようだ。
「私のせいなの!私がバカだったの!!私なんていなくなればいいの!!」
シアラの脳裏には、召使いたちや両親の惨殺された光景がありありと浮かんでいた。
「落ち着けと言っている!」
ディオが暴れるシアラの両手首を握ったとき、一瞬、シアラとディオの目があった。
紫色の目──
しかし、シアラの目には、ディオの透き通るような紫眼の奥に、弟デニスの無惨な遺体がフラッシュバックのように映し出された。
「がああああ!!!!」
ガジャグシャン!!
シアラの咆哮のあと、突如、床から天井から壁から、太いツタが破壊音をたてながら侵入してきた。
そしてそのまま、部屋の中を貫通し、無差別に壊し始めた。
「ああ!俺の屋敷が!」
「こわいよ~~きっと巫女の力が暴走してるんだよう」
ボーが半狂乱のままのシアラを見て言った。
「なんとかして止めないと!」
今度は混乱状態で制御できないシアラに向かって、ツタが襲いかかった。
切先が鉄のように鋭く固くなっている。
シアラの目に、ストップモーションのように近づいてくるツタの刃先が目に映った。
そうよ。
わたしを殺して。
シアラは涙にぬれた目を閉じ、両手を広げた。
「危ない!!」
すんでのところで、ディオがシアラを抱き上げ、ツタの刃を避けた。
ツタはさらに襲いかかってくる。
「しつこいぞ!!」
ディオは勢いよく右の手のひらを前に突き出した。
ぐにゃん!
ツタがなぐられたように突然方向を変え、行き場を失い自身でからまりはじめる。
しかし、ターゲットを見失ったツタはどんどん増殖していき、勢いが衰えない。
「……っ!どうなってる?俺の力でも滅っすることができないとは」
「死な、せて」
茫然自失のシアラがつぶやく。
「死ぬのは勝手だが、ここでは死ぬな。俺の館だぞ?胸くそ悪い」
「ディオ、どうするの?このままだと増殖したツタでこの森はのまれるよ」
「ああわかってる!面倒だが仕方がない」
ディオは一瞬躊躇したあと、シアラの頭を引き寄せ、唇を重ねた。
「ん……」
シアラは朦朧としていて何をされているかよくわかっていない。
数秒後、ディオはシアラから口を離した。
直後、あれほど暴れ回っていたツタは、一瞬で枯れ果ててしまった。
「魔素を含む俺の唾液をシアラの体に入れたから、いざという時は俺がシアラの力を制御できる」
「よかったね」
「何がだ?」
ボーの言葉がよく理解できず、ディオは聞き返した。
「ファーストキス、だよね。ディオの」
「わーわーわー!!それを言うなあ!!!!」
子どものように赤くなって手をブンブン振るディオ。
「シアラは初めてかどうかわからないけど」
「…………」
ボーの指摘にディオは気を失っているシアラを見て、真面目な顔でしばらく考え込む。
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