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47 王の罪
「──え!どうして!?亡くなったはずでは」
死んだと聞いていたシェルミナ侯爵夫人が現れ青ざめるベティにセドリックが告げた。
「ベティ。私が嘘の噂をわざと流させたのだ」
「は?」
ベティから偽りを誘い出す、セドリックの策略だった。
「お前は嘘を言っている」
重しのようにセドリックの声がベティにのしかかる。
「噂の根源はお前だ。シェルミナ侯爵夫人に罪を着せようとしたのが何よりの証拠だ!」
「──!」
ぐうの音も出なかった。ベティはわなわなと拳を震わせた。
私が負ける、私が負ける。
そんなの認めない!
「陛下が……」
「ベティ、やめろ!」
ぽつりとつぶやいたベティをウィルが蒼白になって止めた。いくらなんでもこの場で陛下の名を出すなど、この後どうなるかわかったものではない。
「陛下が私にお命じになったのです!」
「な!?」
ウィルはもうお終いだと頭を抱えた。
「父上、まさか」
王はセドリックが驚愕の表情で自分を見てくるのを慌てて遮った。
「知らん!私ではない!」
「陛下ですわ!アミアンが邪魔だからと、セドリック殿下から引き離すために、誘惑していると皆に信じさせよと」
「信じられん!陛下自らそんな下劣なことを」
貴族たちも騒ぎはじめた。
「知らんといっておるだろう!?ベティ、貴様、あとでどんな目に遭うか分かって言っておるのか!」
王はベティに凄んだ。だがベティは引かなかった。自分が地に堕ちようとしているのだ。利用するだけ利用しておいて、自分だけ逃れようとする王が許せなかった。
「陛下から頂いた報奨金がございます。大金でしたので銀行に直接取りに伺いました。全て新札でした。銀行は新札がいつ誰に引き渡されたか記録しているはずです。その発注主のことも」
「ぐ……!」
言葉が詰まった王にセドリックは眉をひそめた。
「つまり、父上がその銀行を介して報奨金をお前に渡したことが証明できるということか」
「その通りでございます」
王はもう反論できなかった。反論しようにも、焦るあまり、切り返す言葉が頭に浮かんでこなかった。
「何ということだ……」
貴族たちは落胆の表情を浮かべた。これが本当であれば、国の一番高い位置に君臨し尊いはずの王が、守るべき国民の一員であるアミアンを貶めるため、汚い手を使ったということになる。ベティを捨て駒にしようとしたのに、王は狡猾なベティと潰し合いのような結果を招いてしまった。
いくらなんでも酷いのではないのか。
ここに来て、一気に風向きが変わった。貴族たちにアミアンに対する同情の気持ちがあふれ出た。
「アミアン殿下は罠に嵌められた被害者だ」
「そうだ。命を取られかけ、悪評まで流されて。お気の毒なことだ」
「あんな嘘を信じてしまって……私は自分が恥ずかしい」
ブラックウッド大公家を疎ましく思っていた王派閥の貴族たちも王を擁護する言葉を出せなかった。王が卑劣な策略に手を染めていたとなると、王の肩を持つことも難しかった。
「父上、残念です」
「!」
お前のためだったのだ。
そう言いつくろってもセドリックはアミアンを傷つけた父の行いを許してはくれないだろう。大公を退けたい。王の起こした行動には、この願望が根底にあるのだから。
「すまなかった……アミアンにも、申し訳ないことをした」
王はセドリックに射すくめられたまま、罪を認め、がくりと肩を落とした。
死んだと聞いていたシェルミナ侯爵夫人が現れ青ざめるベティにセドリックが告げた。
「ベティ。私が嘘の噂をわざと流させたのだ」
「は?」
ベティから偽りを誘い出す、セドリックの策略だった。
「お前は嘘を言っている」
重しのようにセドリックの声がベティにのしかかる。
「噂の根源はお前だ。シェルミナ侯爵夫人に罪を着せようとしたのが何よりの証拠だ!」
「──!」
ぐうの音も出なかった。ベティはわなわなと拳を震わせた。
私が負ける、私が負ける。
そんなの認めない!
「陛下が……」
「ベティ、やめろ!」
ぽつりとつぶやいたベティをウィルが蒼白になって止めた。いくらなんでもこの場で陛下の名を出すなど、この後どうなるかわかったものではない。
「陛下が私にお命じになったのです!」
「な!?」
ウィルはもうお終いだと頭を抱えた。
「父上、まさか」
王はセドリックが驚愕の表情で自分を見てくるのを慌てて遮った。
「知らん!私ではない!」
「陛下ですわ!アミアンが邪魔だからと、セドリック殿下から引き離すために、誘惑していると皆に信じさせよと」
「信じられん!陛下自らそんな下劣なことを」
貴族たちも騒ぎはじめた。
「知らんといっておるだろう!?ベティ、貴様、あとでどんな目に遭うか分かって言っておるのか!」
王はベティに凄んだ。だがベティは引かなかった。自分が地に堕ちようとしているのだ。利用するだけ利用しておいて、自分だけ逃れようとする王が許せなかった。
「陛下から頂いた報奨金がございます。大金でしたので銀行に直接取りに伺いました。全て新札でした。銀行は新札がいつ誰に引き渡されたか記録しているはずです。その発注主のことも」
「ぐ……!」
言葉が詰まった王にセドリックは眉をひそめた。
「つまり、父上がその銀行を介して報奨金をお前に渡したことが証明できるということか」
「その通りでございます」
王はもう反論できなかった。反論しようにも、焦るあまり、切り返す言葉が頭に浮かんでこなかった。
「何ということだ……」
貴族たちは落胆の表情を浮かべた。これが本当であれば、国の一番高い位置に君臨し尊いはずの王が、守るべき国民の一員であるアミアンを貶めるため、汚い手を使ったということになる。ベティを捨て駒にしようとしたのに、王は狡猾なベティと潰し合いのような結果を招いてしまった。
いくらなんでも酷いのではないのか。
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「そうだ。命を取られかけ、悪評まで流されて。お気の毒なことだ」
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「!」
お前のためだったのだ。
そう言いつくろってもセドリックはアミアンを傷つけた父の行いを許してはくれないだろう。大公を退けたい。王の起こした行動には、この願望が根底にあるのだから。
「すまなかった……アミアンにも、申し訳ないことをした」
王はセドリックに射すくめられたまま、罪を認め、がくりと肩を落とした。
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