裏切ったのはあなたですよね?─湖に沈められ記憶を失った私は、大公女として返り咲き幸せを掴みます

nanahi

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49 大公の目覚め

あれから数日とたたず、ベティとウィルはその罪の悪質さから終身刑が言い渡された。まだ幼い実子のトーマは修道院へと送られ、父と母の名を教えられないまま、修道士として育てられることになった。

王が罪に加担していたことで、セドリックの護衛たちはお咎めなしとなった。無論、アミアンへの王命も無効とされた。


アミアンの冤罪が証明され、大公家でも落ち着きを取り戻したある日のことだった。風邪をこじらせて寝たきりとなり、昏睡状態が続いていた大公がふと目を覚ました。

「旦那様がっ、旦那様が目を覚まされました!!」

ベッドから半身を起こした大公に気付いたメイドが、大慌てで叫びながら、公爵とアミアンを呼びに階下に走った。

「父上っ!」
「お父様!」

公爵とアミアンが大公の私室に駆け込んできた。

「よかった……もう目を覚まされないのかと私は……」

公爵が涙を堪えきれず、目に手を当てた。

「皆、心配をかけてすまなかった」

大公は涙を浮かべる公爵やアミアンや使用人たちに声をかけた後、すっとベッドから降り立った。大公の手足は痩せ細り、立っているのが不思議なほどであった。それでも意思のある瞳には強い光が灯っていた。

大公は確かな足取りでアミアンのそばまで歩み寄った。そうして涙をこぼしながら自分を見上げるアミアンを大きな手で包んだ。

「辛い思いをしているときに、そばにいてやれてすまなかった、アミアン」
「──!」

大公様はご存知だったの……!?

大公は知っていた。意識は混濁していながらも、公爵やハンナたちがアミアンとセドリックとの悲恋について語る内容を大公は記憶していた。アミアンが命を断とうと湖に向かう直前、懺悔した言葉も。

「おと……様──」

嗚咽をもらすアミアンを大公はさらに強く抱きしめた。

「もう心配はいらない。私に任せなさい」
「え……?」

アミアンは何のことかよくわからず、大公を見上げた。

「ランサス。話がある。悪いが他の者は外してもらえるか」
「は、はいっ」

息子の公爵だけが残り、安堵の涙を拭きながら他の皆は退室していった。


二人だけになり、大公は公爵に真剣な目を向けた。

「私はこれから最後の仕事をしに、王宮に行く」
「最後の仕事とは?」

公爵は意図がつかめず、眉根を寄せた。

「アミアンと、お前の未来を見据えた話だ。これには痛みを伴う。だがその痛みをあえて受け止めることで、大公家とその後継であるお前への王の敵意を逸らすことになるだろう」
「承知しました。どんなことでも受け止めます」

公爵は大公に似て潔い男だった。何があろうと、父を信じていた。


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