裏切ったのはあなたですよね?─湖に沈められ記憶を失った私は、大公女として返り咲き幸せを掴みます

nanahi

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51 未来へ

大公の逝去から1年後。

空は一点の曇りもなく、晴れ渡っていた。

「セドリック王子殿下、ばんざーい!」
「アミアン王子妃殿下、ばんざーい!」

街道の両側を埋め尽くす国民の大歓声を受けながら、金縁の馬車が進んでいく。馬車には、揃いの純白の婚礼衣装を身に纏ったセドリックとアミアンが並んで民衆に手を振っていた。

法王の許可を得て、正式に二人の婚姻が認められたのだ。二人の愛はもう誰にも咎められることはない。

「こんなにたくさんの人を一度に見たのは初めてですわ!」
「皆、私たちを祝福してくれているのです……」

セドリックは手を振りながらも、ウエディングドレス姿の眩いアミアンに見惚れていた。

「殿下」
「なな、何でしょう」

ふいにこちらを見たアミアンから、セドリックは慌てて目を逸らした。

「そろそろ敬語はおやめになって」
「えっ」

生真面目なセドリックは、いまだアミアンを”様”付けで呼んでいた。

「もう夫婦となったのですから、アミアンと呼んで」

じっとアミアンはセドリックを見つめた。

「えっここで!?あ、ああ、アミ、アミ、アン……(さ)」

様、と続けそうになるのを無理やり飲み込んだ。

「殿下」

アミアンは隣のセドリックを見上げた。その瞳は待ち侘びていた喜びの光で煌めいていた。

「嬉しい……!」

セドリックの肩にアミアンが顔を預けた。

「──!」

勇気を出せ!

セドリックはアミアンの花のような匂いと体温を感じ、緊張しながらも、アミアンに顔を向けた。

アミアンはセドリックの気配を感じ取り、長いまつ毛を伏せた。

その薔薇の頬に、セドリックの唇がそっと触れた。

「二度とあなたを離さない」

恥じらって顔を赤らめるアミアンの手を馬車を降りるまでセドリックはぎゅっと握りしめていた。



20年後、大陸中を焼土と化す大戦の戦火から国を守り抜き英雄となるセドリックは、どんなことがあろうとも、妻アミアンを手放すことはなかった。






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