異世界召喚された回復術士のおっさんは勇者パーティから追い出されたので子どもの姿で旅をするそうです

かものはし

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王都フラシュ

会議に水を挿されました

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「彼女たちは人質だ。放置しておけば悪用される恐れがある。そこで城下町に辿り着いた時点でアカネには東を目指し、いち早く彼女たちの身柄を確保してもらいたい」
「ホイム様とは別行動ですね……致し方ありません。潜入するなら私が適任でしょうから」
「頼む。そして私とルカとホイムは正面から堂々と乗り込み魔人を討つ。卑劣な罠があるかもしれん、用心だけは怠らず」
「ま、待て待て! 今、魔人っつったのか?」

 驚きの声を上げたのはホイムたちを待ち受けている敵を知らなかったノーデックであった。

「ああ。今回我ら聖華騎士団を貶め国に混乱をもたらした黒幕は魔人……まじんの……」
「バルバド、ですよ」

 名前が思い出せなかった様子のエミリアに代わってホイムが告げた。

「なるほどねぇ……騎士団長様も王様もご乱心なすったと誰も彼も言ってたが、まさか魔人とはな……手出ししなくて良かったぜ」

 やれやれとノーデックは頭を掻いた。魔人が糸を引いていたとは予想外であったらしい。

「エイーリオに来る兵士は魔人について口にしたりしなかったんですか?」

 ホイムが問うとノーデックは大きく首を振った。

「いいや。あいつらからは魔人の魔の字も出なかった。家臣の誰かが王様を唆しでもしたと専ら噂だったが……」
「恐らくは騎士団長に施していたような精神支配で認識を歪めているのでしょう。今日街で見かけた兵たちはおよそ正しい兵の姿とは思えませんでした」
「確かに。聖華騎士団が国を追われてからしばらくして、あいつら街で狼藉を働きはじめた。まるで人が変わったようにな」

 ノーデックは顎に手を当て、アカネの言葉に賛同するように唸った。
 魔人ならば城に仕える者たちの正気を奪うこともできるだろう。アリアスを助けた遺跡にあった妖しげな薬を使えば。

「城中の人間が立ちはだかる可能性もある、か……」

 エミリアはよからぬ事態を想定してしまい表情が思わしくなかったが、気を取り直すように頭を振ると新しい地図を机に広げた。

「……城に入ってからのルートを確認しよう。ルカとホイムはこちらへ来て……おい」

 何かに気付いたエミリアがルカの肩をちょいちょいと指で突く。

「……ぬぁ? 話終わった?」
「終わってない。寝るんじゃない」

 器用に立ったまま寝ていたルカに呆れるエミリアであったが、今度はホイムに向けて言う。

「ホイムも。こっちへ来てくれ」
「あ、うん……」

 一歩引いたところにいたホイムもおずおずと近付こうとした時、両脇の下から伸びてきた手にひょいと担ぎ上げられてしまった。

「どうした大将。浮かない顔だな」

 ノーデックである。

「いえ……ちょっと考え事を」

 不自由な体勢から解放されたいと思ったホイムは適当に答えたのだが、

「突入ルートで不明な点でもあったか?」

 構わずノーデックはグイグイと食いついてくる。
 曖昧な返答ではなくきちんと答えなければ解放されそうにないと感じたホイムは、言葉を選んでノーデックの質問に答えた。

「……貴方みたいな大人がいたから、エイーリオは無事だったんだなって……貴方が信じて待っていたから、エミリアさんも戻ってこれたんだなって……少し感慨深く思ってました」
「おいおい……坊主まで俺のことを褒めてくれてんのか? 嬉しいじゃないか」

 ホイムの言葉に気を良くして破顔するノーデックの表情は少年のようであった。
 本当は少し妬いてましたとは言いにくかったホイムに、アカネの言葉が追い打ちをかける。

「想いを寄せる異性を信じて待ち続ける……とても美しい情愛でございますね」

 さっきからエミリアとノーデックがそういう仲だと隙あらば決めつけようとする彼女であったが、それに対してエミリアは頭を抱えて逐一訂正をしてくる。

「だから彼とはそういう間柄ではないと……それよりも、早くホイムを引き離した方がいいぞ」
「はい?」

 疲れ気味の顔でそう告げるエミリアの言葉にアカネは首を捻った。

「……ん?」

 そんな中でホイムはある違和感を覚えた。
 お尻の割れ目に押し入るように何か固くて太くて大きなものが触れている。
 ズズズ……と攻め込んで来そうなプレッシャーをお尻の穴で敏感に感じ取ったホイムの背筋がゾッとする。

「どうだいホイムくん? これからお互いのことをもっと深く知り合わないかい?」

 囁き誘う熱い吐息。
 耳から全身にかけて電流のようにゾクゾクと走る恐怖がホイムを支配していく。
 何か想定外の事態が起きているのではと察したアカネの耳にエミリアの恐ろしい宣告が届いた。

「ノーデックは小さい子が好きだから、私は興味の埒外さ……加えて性別は問わんときた」
「アッー!」
「きゃあああああ!」

 アカネとホイムの恐怖に満ちた絶叫が船長室に響き渡った。
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