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事故物件レビュー

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SNSで“事故物件ハンター”として知られている友人がいた。
仮にAとする。
Aは、いわくつき物件に短期で住んでは、その体験を動画にして投稿していた。

「赤い部屋」「天井裏に残された人形」「夜中に鳴るドアベル」……
Aは都市伝説と現実の境界を曖昧にしたコンテンツでバズり、多くのフォロワーを抱えるインフルエンサーになった。

だが、その“ネタ探し”が、エスカレートしていった。

ある日、Aはとあるアプリでこんな部屋を見つけた。

「家賃0円。短期可。心霊現象あり。ただし、“事前に現地確認なし”での即入居に限る」

普通なら怪しんで避けるような物件だが、Aは逆に飛びついた。
話題性があるし、「事前確認禁止」という条件にも「ネタっぽくておいしい」とさえ言っていた。

その物件に入った翌日、Aは珍しく連絡をよこしてきた。

「なんかさ……この部屋、空気が“違う”んだよ。音が死んでる感じ。
俺、今まで30件くらい事故物件住んだけど、これは初めてかも」

その夜、彼はライブ配信をした。

映像には、普通のワンルーム。
しかし、視聴者のコメント欄がざわつき始めた。

「なんか…画面、ズレてない?」
「鏡の中、反転してない」
「うしろ、誰か立ってる」
「時間進んでない。時計止まってる」
「A、さっきから同じ言葉繰り返してない?」

……そして、動画は途中でブツッと切れた。

その後、Aと連絡が取れなくなった。

警察に通報されたが、部屋に入った捜査員が即日体調不良。
部屋はそのまま封鎖され、物件情報もネットから削除された。

ただ──数日後、AのYouTubeアカウントから動画が一本アップされた。

タイトルは《住んではいけない部屋》。

何も映っていない。ただ、5分間の真っ暗な映像。
かすかに、**「誰が見てるの?」「今ここどこ?」**とAの声らしき音声が入っていた。

そして、最後の数秒。
画面が一瞬だけ光り、部屋の中で動画を撮るAの姿が見える。

鏡越しに、Aがカメラを覗き込んで笑っている。
その背後には──もう一人のAが立っていた。

動画のコメント欄には、「よく見るとカメラに映ってるのはAじゃない」「鏡の中のほうが“本物っぽい”」という書き込みが相次いだ。

そのアカウントは、その後すぐに削除された。
ログイン履歴を追ってもアクセス元は“存在しないIP”だったという。

唯一、残されたのは、Aが事故物件情報を拾った掲示板のログ。

そのスレの一番上には、こう書かれていた。

※この部屋に入った人間は、動画を撮ってはいけません。

撮った瞬間、“出る側”と“残る側”が反転します。

自己責任でお願いします。

Aは今も“部屋の中”にいるのか、それとも動画の向こうにいるのかは、誰にもわからない。

ただ一つ、言えることがあるとすれば──

あの日、あのリンクを俺が送らなければ、Aはまだ生きていたかもしれない。
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