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海に流れ着いた“返さなければいけない瓶”
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俺の実家は瀬戸内海沿いにあって、小さい頃はよく防波堤で釣りをしていた。
中学のときの夏休み、家の近くの浜辺に奇妙な瓶が打ち上げられていた。
長細く、古びていて、コルクで蓋がされていた。
中には、紙が一枚入っていた。
「なんか宝の地図とかだったら面白いな」
俺はそう思って、蓋を開けようとしたが──開かない。
叩いても引いても、まったく動かない。
中の紙は茶色く焼けていて、文字のような模様が見えたが、はっきりとは読めない。
なんとなく持って帰った。
部屋に飾ったその日から、妙なことが起き始めた。
・夜中に“波の音”が部屋の中でする(海から2km以上離れてる)
・風もないのに瓶がカタカタと揺れる
・夢の中で、瓶を持った“濡れた誰か”が立っている
祖母に話したところ、顔色を変えてこう言った。
「あれは“返し瓶(かえしびん)”じゃ。
……あれはな、返さないかん。拾った場所に、戻さんといけん。」
昔からこの地方では、“成仏できない念を封じた瓶”が浜に流れ着くことがあるらしく、
それを持ち帰ってしまった人が原因不明の事故に遭った例があるという。
急いで瓶を拾った浜に戻り、波打ち際に置いた。
すると、瓶が勝手に波に吸い込まれるように沈んだ。
以来、何も起きていない。
でも、あの瓶の模様だけが、時々まぶたの裏に浮かぶ。
読めないけど、意味だけは分かる気がする。
──「ここから出すな」
中学のときの夏休み、家の近くの浜辺に奇妙な瓶が打ち上げられていた。
長細く、古びていて、コルクで蓋がされていた。
中には、紙が一枚入っていた。
「なんか宝の地図とかだったら面白いな」
俺はそう思って、蓋を開けようとしたが──開かない。
叩いても引いても、まったく動かない。
中の紙は茶色く焼けていて、文字のような模様が見えたが、はっきりとは読めない。
なんとなく持って帰った。
部屋に飾ったその日から、妙なことが起き始めた。
・夜中に“波の音”が部屋の中でする(海から2km以上離れてる)
・風もないのに瓶がカタカタと揺れる
・夢の中で、瓶を持った“濡れた誰か”が立っている
祖母に話したところ、顔色を変えてこう言った。
「あれは“返し瓶(かえしびん)”じゃ。
……あれはな、返さないかん。拾った場所に、戻さんといけん。」
昔からこの地方では、“成仏できない念を封じた瓶”が浜に流れ着くことがあるらしく、
それを持ち帰ってしまった人が原因不明の事故に遭った例があるという。
急いで瓶を拾った浜に戻り、波打ち際に置いた。
すると、瓶が勝手に波に吸い込まれるように沈んだ。
以来、何も起きていない。
でも、あの瓶の模様だけが、時々まぶたの裏に浮かぶ。
読めないけど、意味だけは分かる気がする。
──「ここから出すな」
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