怪談

コテット

文字の大きさ
14 / 95

海に流れ着いた“返さなければいけない瓶”

しおりを挟む
俺の実家は瀬戸内海沿いにあって、小さい頃はよく防波堤で釣りをしていた。
中学のときの夏休み、家の近くの浜辺に奇妙な瓶が打ち上げられていた。

長細く、古びていて、コルクで蓋がされていた。
中には、紙が一枚入っていた。

「なんか宝の地図とかだったら面白いな」
俺はそう思って、蓋を開けようとしたが──開かない。

叩いても引いても、まったく動かない。
中の紙は茶色く焼けていて、文字のような模様が見えたが、はっきりとは読めない。

なんとなく持って帰った。
部屋に飾ったその日から、妙なことが起き始めた。

・夜中に“波の音”が部屋の中でする(海から2km以上離れてる)
・風もないのに瓶がカタカタと揺れる
・夢の中で、瓶を持った“濡れた誰か”が立っている

祖母に話したところ、顔色を変えてこう言った。

「あれは“返し瓶(かえしびん)”じゃ。
……あれはな、返さないかん。拾った場所に、戻さんといけん。」

昔からこの地方では、“成仏できない念を封じた瓶”が浜に流れ着くことがあるらしく、
それを持ち帰ってしまった人が原因不明の事故に遭った例があるという。

急いで瓶を拾った浜に戻り、波打ち際に置いた。

すると、瓶が勝手に波に吸い込まれるように沈んだ。

以来、何も起きていない。
でも、あの瓶の模様だけが、時々まぶたの裏に浮かぶ。

読めないけど、意味だけは分かる気がする。
──「ここから出すな」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百の話を語り終えたなら

コテット
ホラー
「百の怪談を語り終えると、なにが起こるか——ご存じですか?」 これは、ある町に住む“記録係”が集め続けた百の怪談をめぐる物語。 誰もが語りたがらない話。語った者が姿を消した話。語られていないはずの話。 日常の隙間に、確かに存在した恐怖が静かに記録されていく。 そして百話目の夜、最後の“語り手”の正体が暴かれるとき—— あなたは、もう後戻りできない。 ■1話完結の百物語形式 ■じわじわ滲む怪異と、ラストで背筋が凍るオチ ■後半から“語られていない怪談”が増えはじめる違和感 最後の一話を読んだとき、

どうしてそこにトリックアートを設置したんですか?

鞠目
ホラー
N県の某ショッピングモールには、エントランスホールやエレベーター付近など、色んなところにトリックアートが設置されている。 先日、そのトリックアートについて設置場所がおかしいものがあると聞いた私は、わかる範囲で調べてみることにした。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

お九さん

海藤日本
ホラー
この夢を見たらお九さんの呪いにかけられています。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

今日の怖い話

海藤日本
ホラー
出来るだけ毎日怖い話やゾッとする話を投稿します。 一話完結です。暇潰しにどうぞ!

処理中です...