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TREAT no,1
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...転んだ!?
手を着いたのは柔らかい土。
でも躓いたのは石畳だ。
上を見ると空だった。外だ。
点々と雲が浮かぶ晴天だった。
森の中らしい。
前から誰かが走ってくる。
子供だ。
だが右腕の様子がおかしい。
どことなく嬉しそうな顔だ。
「やあミルラ。」
「やあ。そんなに急いでどうしたんだい?」
どうやら友達らしい。
「森の奥の屋敷のじいさん、凄いらしいぜ。なんでも、麻痺した所がどんな状態でも治せるんだって。ミルラも一緒に来るか?」
「いや、いいよ。少し疲れたから家に帰る。」
「そうか。気をつけてな」
被験者番号003。右腕の麻痺が完治した16歳の男の子。
名前はどうしても思い出せない。
歩いていたと思われる方向に、道なりに進んでいく。
広場のようなところにでた。
中央に小さな噴水があり、石畳の道が取り巻いている。
その円に沿うように家や店、教会などが立ち並んでいた。
教会の前にあった落ち葉の山から新聞が少しだけ見えた。
取って読んでみた。
『麻痺の難病、町を捨てた老医師の腕』
"町の中央から2km離れた場所にある屋敷の、右半身が麻痺していた娘の病が完治したとの情報を得た。その娘は3年前に病にかかってから右半身が麻痺していて、動くことが出来なかったと言う。しかし、元医者で父親のゼラミル・レフォート氏の独自の研究と治療により、眠っていた筋肉と感覚神経の覚醒に成功。治療から3日で完治している。レフォート氏は町の医者だったが、患者とのトラブルが原因と見られる抑鬱となり、家族と森の中の屋敷に引っ越した。今回の成功により、汚名返上となるかが話題になるだろう。2人目と見られる患者は、その屋敷に入院中。"
奴は幾分か有名人らしい。
ゼラミル・レフォート。悪い政治家のような、堅い名前だ。
先の少年は右腕が麻痺していたので、まだゼラミルは善人なのだろう。
町には麻痺症状のある、不治の病が流行っているのだろうか。
しかも子供達だけに。
その時、教会の扉が僕の横ですっと開いた。
行く場所もないし、入るか。
それとも教会に呼ばれたのか。
中は薄暗かった。
入口近くに座っている人がいた。
背の高い男性。
何かがおかしい。
顔が無かった。
のっぺらぼうではなく、顔の部分だけに空間が無いかのようだ。
顔と思われるものがこちらに向いた。
無い口から声を発したと思った。
聞いたことがあるかもしれない。
不確かな声だった。
手を着いたのは柔らかい土。
でも躓いたのは石畳だ。
上を見ると空だった。外だ。
点々と雲が浮かぶ晴天だった。
森の中らしい。
前から誰かが走ってくる。
子供だ。
だが右腕の様子がおかしい。
どことなく嬉しそうな顔だ。
「やあミルラ。」
「やあ。そんなに急いでどうしたんだい?」
どうやら友達らしい。
「森の奥の屋敷のじいさん、凄いらしいぜ。なんでも、麻痺した所がどんな状態でも治せるんだって。ミルラも一緒に来るか?」
「いや、いいよ。少し疲れたから家に帰る。」
「そうか。気をつけてな」
被験者番号003。右腕の麻痺が完治した16歳の男の子。
名前はどうしても思い出せない。
歩いていたと思われる方向に、道なりに進んでいく。
広場のようなところにでた。
中央に小さな噴水があり、石畳の道が取り巻いている。
その円に沿うように家や店、教会などが立ち並んでいた。
教会の前にあった落ち葉の山から新聞が少しだけ見えた。
取って読んでみた。
『麻痺の難病、町を捨てた老医師の腕』
"町の中央から2km離れた場所にある屋敷の、右半身が麻痺していた娘の病が完治したとの情報を得た。その娘は3年前に病にかかってから右半身が麻痺していて、動くことが出来なかったと言う。しかし、元医者で父親のゼラミル・レフォート氏の独自の研究と治療により、眠っていた筋肉と感覚神経の覚醒に成功。治療から3日で完治している。レフォート氏は町の医者だったが、患者とのトラブルが原因と見られる抑鬱となり、家族と森の中の屋敷に引っ越した。今回の成功により、汚名返上となるかが話題になるだろう。2人目と見られる患者は、その屋敷に入院中。"
奴は幾分か有名人らしい。
ゼラミル・レフォート。悪い政治家のような、堅い名前だ。
先の少年は右腕が麻痺していたので、まだゼラミルは善人なのだろう。
町には麻痺症状のある、不治の病が流行っているのだろうか。
しかも子供達だけに。
その時、教会の扉が僕の横ですっと開いた。
行く場所もないし、入るか。
それとも教会に呼ばれたのか。
中は薄暗かった。
入口近くに座っている人がいた。
背の高い男性。
何かがおかしい。
顔が無かった。
のっぺらぼうではなく、顔の部分だけに空間が無いかのようだ。
顔と思われるものがこちらに向いた。
無い口から声を発したと思った。
聞いたことがあるかもしれない。
不確かな声だった。
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