ムーランディア

イーストバリボー

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第三章 シャーロットでの生活

新兵器、開発

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 再び改装中の家にもどったエリナは、事のいきさつを今度は窓を修理中のロディに話した。

「え? まだハチの巣が見つかって無いって?」

「そうなの、それでわたしが冒険者だって話をしたらハチの巣を見つけて森に戻して欲しいんだって」

「なるほど……今度はハチ退治か……ちょっと待ってて」

 少し考え込んだロディは、何か思いついたように手を打った。

「ハチなら煙に弱いはず……鉄製の箱なら、煙を閉じ込めておけるかも……それをホースで繋いで勢いよく噴射する……2つのキノコを混ぜて……」

 ロディは謎の言葉を残して再び地下室に入っていった。

「ロディ一体何する気かしら?」

 ちょどその時、ルキアが廃材を持って大工仕事から帰ってきた。

「エリナどうしたの、何かあった?」

 エリナは今日の朝からの出来事を話した。

「なるほどね、それでロディは何をやってるの?」

「それは分からないわ、何か思いついたようだけど」

「ハチの巣を森に戻すって、簡単に言うけど僕はかなり大変だと思うな」

「そうよね~」

「まず第一に何匹いるか分からないし、集団で刺されたら死んじゃうよ。きっと」

「ロディには何か考えがあるみたい」

 2人が話しているとロディが地下室からランドセルより少し大きい位の鉄の箱を背負って出てきた。

「なんだ? ありゃ?」 2人は思わず声を上げた。

 鉄の箱の横には1本の太いホースが付いていて、先がふいごの様になっていた。 

 ロディは2人を気にする様子もなくそのまま家の外に出ると、外で陰干ししていたキノコを集めて背中の鉄の箱にキノコを入れ始めた。

「何してるのかしら?」

「さぁ、さっぱり分からない」

 2人の視線を感じたロディは、作業をしながら説明を始めた。

「これはこの前、採集した眠りキノコと痺れキノコを乾燥させたやつです」

 それは、粉末にする前の状態の2種類のキノコだった。

「これをこの鉄の箱に入れて火をつけます、そしてホースの先のふいごを使って煙をハチの巣に送り込みます」

 ロディはホースを手に持ち、煙を送るしぐさをした。

「そうすればハチは大人しくなるなずです。そして巣をこの木箱に入れて森まで持っていけば作戦完了です」
 
 ドヤ顔のロディ。 

 2人はロディの説明を呆然とした表情で見守った。

「それはなんていう装置なの?」

「う~ん? スモークガンとでも名付けましょうか」

「ハチにもそのキノコを燃やした煙が効くのかい?」

「この煙は脳神経に作用するので、どんな生き物にも効果はあるはずです」

「あなた天才ねっ!」

「ただ……」 ロディは眼鏡のずれを直した。

「ただ?」  

「どれぐらい効果があるのかは未知数です。しかも風向きを見誤ればこっちが危険になります」

「危険な事には変わりないって事ね」

「そうです」

「了解っ! とりあえずロディのスモークガン作戦で行こう」 

 話がまとまった3人は、準備を整えクロップの屋敷へ向かった。

 エリナの案内でクロップ爺さんの屋敷に辿り着いた2人は建物の前で思わず立ち尽くした。

「な、なんてでかい家なんだ!?」

「白亜の豪邸ってやつですね……」

 エリナから豪邸だと聞いていたが想像よりも遥かに立派な建物にルキアとロディは圧倒された。

「しかし、ここの爺さんは何者だろ?」

 コソコソと話しているとクロップ爺さんが使用人と出迎えてくれた。

「おぉ、待っていたよエリナ君、2人が冒険者の仲間かな?」

「戦士のルキアと、錬金術師のロディです」

 ルキアとロディは自己紹介した。

「君か錬金術師と言うのは……さっそく薬も使わせてもらったよ。君は本当に優秀なようだな。もう腫れが引き始めている」

 クロップはそう言って腕をまくった。

「良かったです。すぐ効いてくれて」

「屋敷の者も感謝しているよ」

 クロップはロディの手を握った。

「ところで巣はどの辺にありそうですか?」

 ルキアは早速ハチの巣の場所を聞いた。

「庭のどこかだと思うんだがな……さあこっちだよ」

 クロップ爺さんは3人を案内した。

 豪華なシャンデリアがある1階を通り抜け玄関の反対側のテラスへ出ると、目の前にサッカー場程もある美しい庭園が広がっている。

「え? これ全部敷地ですか?」

「そうだ、先祖代々受け継いできた自慢の庭だ」

 手前の花壇には何かのエンブレムの形に見えるように植えられた草花が咲き誇っていた。色とりどりの花々は、まるで立体の絵画の様だ。

「あれは我がクロップ家の家紋だよ。門の前にもあっただろう?」

 クロップ爺さんはそう説明した。

 庭園の中心には人工の池もあり魚が泳いでいた。池には橋が掛かっておりその上から野鳥が魚を狙っている。

 曲がりくねった小道の脇にはたくさんの木々が生い茂り、中には10メートルを越える巨木もあった。

「なるほど、こりゃ見つからないわけだ……」

 ルキアが納得したように、あたりを見回した。

「うちの庭師が何人もハチに刺されてしまってな、困っていた所なんだよ。そうこうしているうちにワシも今日の朝、刺されてしまったんだ」
 
「もう一度腕を見せてもらってもいいですか?」

 ロディが刺されたクロップ爺さんの腕を見せてもらった。

「ああ、いいとも」

「これは、やはりキラービーの仕業だ。殺人バチとも言われる、危険なハチですね」

 刺された跡を見たロディがすこし厳しい顔をした。それをみたクロップは少し心配になった。

「君たちだけに任せても大丈夫かい?」

「大丈夫です。準備はしてきたので後は僕たちに任せて下さい」

 ロディが、背中の装置に火を入れた。ホースのふいごを両手で動かすとその先から煙が噴き出した。

「うわっ! 何だそれは?」

 驚いたクロップ爺さんは、少し煙を吸ってゴホゴホと咳をした。

「これはキラービーを大人しくさせるスモークガンという道具です」

 ロディはそう説明した。

「ゴホゴホ! ほ~……見たことのない面白い道具だな。頼りになりそうな子達だ。後は頼んだぞ!」

 そういうとクロップ爺さんは3人を送り出した。
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