26 / 53
復讐編
中身が残念だなんて...悲しすぎる。
しおりを挟むみなさ~ん、新章に入りましたよー!!
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「お父様、おとうさまぁ!!...」
ミリアーナは泣きじゃくりながら父の胸に飛び込んだ。
「ミア、あぁミア、おかえり...」
そう言ってアドルフは娘がここにいることを確かめるように強く抱きしめ返した。
そんな親子の再会を使用人達は同じく涙を流しながら眺めていた。手を胸の前で組み涙する者、腕でガシガシと顔を擦り嗚咽を漏らす者、ハンカチを握りしめ涙を拭う者達がそこにはいた。
ミリアーナが帰って来たことにより使用人共々、この再会を涙を流しながら喜んだのだ。
束の間の再会を喜んだ後、ミリアーナとアドルフは執務室へと移動していた。
3人がけのソファに2人で座りながら、ミリアーナは今まであったことをゆっくりと話していた。
「...私はあの夜会の日、数人の男達の手によってサントピューレ王国の森に意識のない状態で置き去りにされました。それから私は森を向けた先にあった教会で1週間ほどお世話になっていたのですがそろそろ悪いと思い、お金を稼ぐために帝国へと向かったのです...」
そこまで話して、私は思った。
お父様はハル様のことを知っていた。ならばハル様との出会いは必然的に話さないといけなくなるだろう。ただ、ここで問題なのが......私が誘拐されたということは言わない方がいいという事だ。
私が城に住むことになったきっかけはあの誘拐事件で、それ故にハル様が助けてくれた雲霧んは黙っておいた方がいいと思ったのだ。
何故って?
それはもう怒り狂うからだ。
自分で言うのもなんだが、お父様は私を分かりやすいほど溺愛している。
だから、そんな物騒な事が自分の知らないところで起こっていたと知った時、きっとお父様はあの男達を八つ裂きにしに行くだろうし、お父様自信も私を守れなかったと酷く後悔するだろう。
だから、言わなくていいのだ。
今はただ、可愛い娘が戻ってきたことを喜んでくれる、それだけでいい。
よし、ここは上手く誤魔化しましょう!
そう決意し、私は再び口を開いた。
「......そこで私はお忍びで街に出ていた陛下に会いました。ここから先はお父様もご存知の通り、カセドナ王国で婚約披露パーティーに陛下と一緒に参加することになり、私達はこうやってこの国までやって来たのです。」
「あぁ、陛下からその話は聞いていたよ..律儀に手紙まで送ってくれた...」
お父様の言葉は何故か歯切れが悪かった。
何処か具合が悪いのだろうか...
そんな事を考えていると、徐にお父様は口を開いた。
「.........ミア、聞くが...」
「...?、はい」
何だろう?
「......陛下とはその、どうなんだ?...こ、恋仲なのか!?」
はぇ!?な、なんでそんな話になるのですか!!
今まで私が神妙な気持ちで話していたのが馬鹿らしいじゃないですか!!
もしかして、お父様は私が話している時、ずっと私と陛下の関係について考えていたのですか!?
ちょっと、それは酷いわよお父様!!
娘の親を思う愛が先程の言葉で粉々に砕け散りましたわ!!
「お父様!、何故そのような話が出てきたのです、陛下に失礼ではないですか!!私のような者が陛下の心を引けるとでもお思いですか?」
と私は息継ぎもせず、鼻息荒くお父様に言い放った。
「何?こんな可愛いミアを放置する程あいつの目は肥えているのか?こんな可愛いミアは世界に2人もいないんだぞ?なんなんだあいつ、いや、しかし、惚れられても困る、嫁になど出したくない、ずっとミアと居たい、はぁ、どうしよう、ミアどうしよう......」
お父様はそのキラキラしたお顔を悲しみに歪め、娘の私に問いかけてくる。
いや、知らんし。
と言いますか、心の声がダダ漏れですわよ?
それに、あいつって、皇帝陛下をあいつ呼ばわりしましたよ私のお父様...どういう図太い神経してるんですかお父様。
はぁ、こんなんじゃ埒が開きません。
それに、そろそろハル様が気になってきました。
こちらに来たのは1時間ほど前、ハル様もお城には到着したはずです。
ですから私も急がなければならないのですが、いかせん、この父は私がパーティーに参加することを凄く、すごーく嫌ってます。
お父様曰く、悪い虫が群がるじゃないか!!
とお考えのようです。
私一応、王太子の婚約者だったため、誰も私に近づく者は居なかったのですが...
まぁ、これは娘を思う男親の祥と言うことで大目に見ましょう。
「お父様、帰ってきてください、そろそろ私はパーティーに行かなければならないのです、ハル様を待たせてはいけないですからね、ですから戻ってきてください!!」
とやや大きめに声をかければ、お父様はハッとしたように下げていた頭を持ち上げると、慌てて立ち上がった。
「そうたった!ミア、陛下からミアにドレスが送られてきたんだよ!、すっかり忘れていた...」
ドレス?
ハル様が送ってくれた?
え、どうして、と混乱するが、ふとあるやり取りを思い出した。
『...... そのパーティーでは是非ドレスを送らせてくれ...』
とハル様に言われていたんだった。
私はそれを思い出し、少し心がきゅっとなった。
何だろうか?これは...と考えるも謎の症状について考えてる暇は私にはなかった。
まずは準備を始めなくては!
「お父様、そろそろパーティーに向かいたいと思います」
そう言えば流石お父様、さっきまでプチトリップしていたのが嘘のように冷静になられて急いで近くにいたメイドたちに指示を出し始めた。
恐らくドレスを取りに行かせたのだろう。
5分経つか経たないくらいにメイドはドレスを持ってきてくれた。
さぁ着替えましょうかと席を立ち、お父様に部屋に戻ることを伝えるとニッコリと微笑みました。
ん?
そしてドアノブに手をかけ出ていこうとすると後ろから絨毯を踏みしめる音が...
まさか...!
「お父様?仮にも紳士なのですからいくら娘とはいえ、淑女の部屋まで着いてくるつもりですか?」
そう言えばお父様は真面目に「あぁ、何か問題でも?」としれっと問題発言致しました。
「お父様!?流石に娘の私でも引きます!ドン引きです!変態です!」
と言えば、お父様は途端にしゅんっとした。
あぁ、垂れた耳とが見えるわ。
そうだった、お父様はわんこ体質なのだった。
「...だ、だって久しぶりに会えたのにまた別れるなんて...!それに、ミアのドレス姿が見たかったんだ!!だから入室の許可を!!」
と絶望しきった顔ですがり付いてきます...
いやいや、お父様もパーティーに行きますでしょう?それまで私と一緒ですよ?何が不満なんですか、少し会えなくなるだけじゃないですか...
我が父ながら見た目騙しもいいところですわ、中身がこんな残念だなんて我が公爵家の人間しか知らないんじゃないかしら?
はぁ残念だわ、40近くになっても20代のようにピチピチボディーに麗しい美貌を持っているのに...
お母様とお父様は恋愛結婚とお聞きしたけど、お父様のこの中身を知ってよく結婚しようと思ったわね、と常々思っていた。
涙まで流し始めたお父様を体からひっぺがし、私は無視を決め込んで自室に向かうのだった。
お父様?
あぁ、メイド達に任せたわ、どう?うちのメイド達は凄いでしょ?私の考えが本当に読むのがうまいのよ。本当に感心するわ。
と自分がやった訳でもないのに自慢してしまった。恐らく自分の顔をドヤ顔だろうと思うが、実際は今までの憂いのある顔ではなく澄み渡るせ晴天の中で輝く太陽のように眩しい笑顔であった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
なんか最後らへん走っちゃいました。
すみません。
お読みいただきありがとうございました!!
※お知らせします。
お盆あたりにプロローグから1章の最後までを編集しようと思います。
話が変わる訳ではありません、あくまで誤字の修正や言い回しを変えたりするだけです。ご安心ください。
1
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。
つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。
彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか?
それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。
恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。
その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。
更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。
婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。
生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。
婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。
後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる