国を追い出された令嬢は帝国で拾われる

氷雨

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復讐編

中身が残念だなんて...悲しすぎる。

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みなさ~ん、新章に入りましたよー!!

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

「お父様、おとうさまぁ!!...」

ミリアーナは泣きじゃくりながら父の胸に飛び込んだ。

「ミア、あぁミア、おかえり...」

そう言ってアドルフは娘がここにいることを確かめるように強く抱きしめ返した。

そんな親子の再会を使用人達は同じく涙を流しながら眺めていた。手を胸の前で組み涙する者、腕でガシガシと顔を擦り嗚咽を漏らす者、ハンカチを握りしめ涙を拭う者達がそこにはいた。
ミリアーナが帰って来たことにより使用人共々、この再会を涙を流しながら喜んだのだ。



束の間の再会を喜んだ後、ミリアーナとアドルフは執務室へと移動していた。
3人がけのソファに2人で座りながら、ミリアーナは今まであったことをゆっくりと話していた。


「...私はあの夜会の日、数人の男達の手によってサントピューレ王国の森に意識のない状態で置き去りにされました。それから私は森を向けた先にあった教会で1週間ほどお世話になっていたのですがそろそろ悪いと思い、お金を稼ぐために帝国へと向かったのです...」


そこまで話して、私は思った。
お父様はハル様のことを知っていた。ならばハル様との出会いは必然的に話さないといけなくなるだろう。ただ、ここで問題なのが......私が誘拐されたということは言わない方がいいという事だ。
私が城に住むことになったきっかけはあの誘拐事件で、それ故にハル様が助けてくれた雲霧んは黙っておいた方がいいと思ったのだ。

何故って?

それはもう怒り狂うからだ。
自分で言うのもなんだが、お父様は私を分かりやすいほど溺愛している。
だから、そんな物騒な事が自分の知らないところで起こっていたと知った時、きっとお父様はあの男達を八つ裂きにしに行くだろうし、お父様自信も私を守れなかったと酷く後悔するだろう。

だから、言わなくていいのだ。
今はただ、可愛い娘が戻ってきたことを喜んでくれる、それだけでいい。



よし、ここは上手く誤魔化しましょう!

そう決意し、私は再び口を開いた。


「......そこで私はお忍びで街に出ていた陛下に会いました。ここから先はお父様もご存知の通り、カセドナ王国で婚約披露パーティーに陛下と一緒に参加することになり、私達はこうやってこの国までやって来たのです。」



「あぁ、陛下からその話は聞いていたよ..律儀に手紙まで送ってくれた...」


お父様の言葉は何故か歯切れが悪かった。
何処か具合が悪いのだろうか...
そんな事を考えていると、徐にお父様は口を開いた。

「.........ミア、聞くが...」

「...?、はい」

何だろう?

「......陛下とはその、どうなんだ?...こ、恋仲なのか!?」


はぇ!?な、なんでそんな話になるのですか!!
今まで私が神妙な気持ちで話していたのが馬鹿らしいじゃないですか!!

もしかして、お父様は私が話している時、ずっと私と陛下の関係について考えていたのですか!?

ちょっと、それは酷いわよお父様!!
娘の親を思う愛が先程の言葉で粉々に砕け散りましたわ!!


「お父様!、何故そのような話が出てきたのです、陛下に失礼ではないですか!!私のような者が陛下の心を引けるとでもお思いですか?」


と私は息継ぎもせず、鼻息荒くお父様に言い放った。


「何?こんな可愛いミアを放置する程あいつの目は肥えているのか?こんな可愛いミアは世界に2人もいないんだぞ?なんなんだあいつ、いや、しかし、惚れられても困る、嫁になど出したくない、ずっとミアと居たい、はぁ、どうしよう、ミアどうしよう......」

お父様はそのキラキラしたお顔を悲しみに歪め、娘の私に問いかけてくる。


いや、知らんし。
と言いますか、心の声がダダ漏れですわよ?
それに、あいつって、皇帝陛下をあいつ呼ばわりしましたよ私のお父様...どういう図太い神経してるんですかお父様。


はぁ、こんなんじゃ埒が開きません。
それに、そろそろハル様が気になってきました。
こちらに来たのは1時間ほど前、ハル様もお城には到着したはずです。
ですから私も急がなければならないのですが、いかせん、この父は私がパーティーに参加することを凄く、すごーく嫌ってます。


お父様曰く、悪い虫が群がるじゃないか!!
とお考えのようです。

私一応、王太子の婚約者だったため、誰も私に近づく者は居なかったのですが...
まぁ、これは娘を思う男親のさがと言うことで大目に見ましょう。


「お父様、帰ってきてください、そろそろ私はパーティーに行かなければならないのです、ハル様を待たせてはいけないですからね、ですから戻ってきてください!!」

とやや大きめに声をかければ、お父様はハッとしたように下げていた頭を持ち上げると、慌てて立ち上がった。


「そうたった!ミア、陛下からミアにドレスが送られてきたんだよ!、すっかり忘れていた...」

ドレス?
ハル様が送ってくれた?
え、どうして、と混乱するが、ふとあるやり取りを思い出した。


『...... そのパーティーでは是非ドレスを送らせてくれ...』

とハル様に言われていたんだった。
私はそれを思い出し、少し心がきゅっとなった。
何だろうか?これは...と考えるも謎の症状について考えてる暇は私にはなかった。

まずは準備を始めなくては!


「お父様、そろそろパーティーに向かいたいと思います」

そう言えば流石お父様、さっきまでプチトリップしていたのが嘘のように冷静になられて急いで近くにいたメイドたちに指示を出し始めた。

恐らくドレスを取りに行かせたのだろう。


5分経つか経たないくらいにメイドはドレスを持ってきてくれた。

さぁ着替えましょうかと席を立ち、お父様に部屋に戻ることを伝えるとニッコリと微笑みました。

ん?

そしてドアノブに手をかけ出ていこうとすると後ろから絨毯を踏みしめる音が...

まさか...!

「お父様?仮にも紳士なのですからいくら娘とはいえ、淑女の部屋まで着いてくるつもりですか?」


そう言えばお父様は真面目に「あぁ、何か問題でも?」としれっと問題発言致しました。

「お父様!?流石に娘の私でも引きます!ドン引きです!変態です!」

と言えば、お父様は途端にしゅんっとした。

あぁ、垂れた耳とが見えるわ。
そうだった、お父様はわんこ体質なのだった。

「...だ、だって久しぶりに会えたのにまた別れるなんて...!それに、ミアのドレス姿が見たかったんだ!!だから入室の許可を!!」

と絶望しきった顔ですがり付いてきます...

いやいや、お父様もパーティーに行きますでしょう?それまで私と一緒ですよ?何が不満なんですか、少し会えなくなるだけじゃないですか...

我が父ながら見た目騙しもいいところですわ、中身がこんな残念だなんて我が公爵家の人間しか知らないんじゃないかしら?

はぁ残念だわ、40近くになっても20代のようにピチピチボディーに麗しい美貌を持っているのに...

お母様とお父様は恋愛結婚とお聞きしたけど、お父様のこの中身を知ってよく結婚しようと思ったわね、と常々思っていた。


涙まで流し始めたお父様を体からひっぺがし、私は無視を決め込んで自室に向かうのだった。


お父様?
あぁ、メイド達に任せたわ、どう?うちのメイド達は凄いでしょ?私の考えが本当に読むのがうまいのよ。本当に感心するわ。
と自分がやった訳でもないのに自慢してしまった。恐らく自分の顔をドヤ顔だろうと思うが、実際は今までの憂いのある顔ではなく澄み渡るせ晴天の中で輝く太陽のように眩しい笑顔であった。



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

なんか最後らへん走っちゃいました。
すみません。

お読みいただきありがとうございました!!



※お知らせします。

お盆あたりにプロローグから1章の最後までを編集しようと思います。
話が変わる訳ではありません、あくまで誤字の修正や言い回しを変えたりするだけです。ご安心ください。
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