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復讐編
断罪
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それ見て思ったんですが、流石にこの設定はアホすぎましたかね?国王ダメすぎん?
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「おのれよくも...!!...おい誰か来い!!!」
国王バルトは、今しがた自分のコケにした男と女を睨みつけながら近くにいる騎士達に呼びかける。
すると、壁際に控えていた兵達は何事かと早足にホール中央まで駆けてきた。
「おい、ミリアーナ嬢と一緒にいる男をつかまえろ!それとミリアーナ嬢を私の前まで連れてこい!!!」
そのあまりの剣幕に騎士達はたじろいだ。
「何をしている、さっさと行け!!!これは王命であるぞ!!」
「「「「 は、はい!!」 」」」
最近言うことを効かなくなっていた騎士達を不快に思いながら、バルドは近くに置いてあったクッキーを口いっぱいに放り込んだ。
✱ ✱ ✱
「ハル様?...ちょっとハル様...!!」
「何?」
「いや、あ、あの...」
先程からハル様の様子が可笑しい。
話しかけてもこんな感じでハルが何を考えて不機嫌にされているかが分からなかった。
今私達は先程のテラスに戻ってきていた。
戻る前は爽やかな笑顔をたたえて私をこの場所に連れてきたのに、今は違った。
「あの、ハル様、どうかしましたか?」
勇気をだして聞いてみた、何が帰ってきてもいいようにぎゅっと目を閉じて構える。
すると目の前からはぁとハル様がため息をしたのが分かった。
「ごめん、ミア...」
そう言うと私の頬にそっと指を這わした。
大きな手のひらに包まれ、ハル様の温もりを感じた。
そっと瞼を開けると、目の前には眉を下げ悲しそうにこちらを見るハル様の姿があった。
「...ハル様?」
「ん?」
「...怒ってらっしゃるんですか?」
「...あぁ、怒ってるよ」
「...!」
心の中で盛大にハテナマークを浮かべ私は混乱した。
え?怒ってるの?一か八か聞いてみたのだけどまさか当たるなんて!!
どうしましょう、ハル様が、あのすごく優しいハル様が怒ってらっしゃるわ!!
ぁあ!どうしよう!!
と混乱していると、頬にあった手が離れ背中に回された。そのまま両腕でぎゅっと包まれてしまった。
「あの、ハル様...!?」
「...ごめん、こんな嫉妬、それにまさかあんなことになってるなんて思わなくて、考え事なんてしていなければ良かった、本当にごめん、助けてあげられなくてごめん...!!」
え!?なんのこと!?
それにハル様はちゃんと助けてくれたじゃない。
それなのにどうして?
「ハル様どうしてですか?ハル様は助けてくれたじゃないですか、何故謝るのですか?」
「辛い思いをしたはずだ、それなのに私は、そうなる前に助けてあげられなかった...」
「そんなこと...」
もう気にしていない...と続けるつもりが、ハル様に先ほどよりも強く包み込まれ、途中で止まってしまった。
「そんなことでも!私はミアを守れなかったことを後悔ている...いや、私はあなたに触れたことに怒っている...迷惑だよな...すまない、今のは忘れてくれ...」
そう言うとハル様は体を離し、少しだけ距離を取った。
何を言っているのか分からない、守れなかった?
ううん、しっかり守ってもらったわ。
触れられたこと?確かに気持ち悪かった、でもハル様が優しく触れて塗り替えてくれた。
迷惑?そな事ない、私はハルがそう思ってくれたことに凄く喜びを感じた。何故だか分からないけど、私はハル様に迷惑だなんて思っていない。
その事をしっかり伝えようと口を開きかけた時、遠くの方から誰かが息を切らしながらこちらに向かって走ってくるのが見えた。
あれは、宰相...?どうしたのかしら。
「陛下、ミリアーナ嬢、少しいいでしょうか!!」
「どうした」
どうしのだろうか、宰相がこんなに焦っているところを私初めて見た。
「ただ今騎士達が、王の命を受け陛下を捕らえようとしています、勿論ミリアーナ嬢も、本当に申し訳ありません、全く恥ずかしい限りなのですが私にはもう止められません、お願いですミリアーナ嬢だけでもお逃げください」
そう言うと宰相は頭を下げた。
もう土下座しそうな勢いだった。
「そうか、ならこちらから向かおう」
「「...え!?」」
宰相と私の言葉がハモる。
「いい機会だ、あいつの鼻を綺麗にへし折ってやる」
「え、ちょ、ハル様考え直しましょう!?」
ちょっと急にどうしたのかしら?いまさっきまであんなに萎れていたのに、今はなんだか生き生きしているわ。
んん??何故!?
そんな事を考えているうちにハル様は1人で歩き出しホールの方に向かって行ってしまった。
「ハル様!?待ってください!!」
そう言うとハル様はさっと振り返り、
「ミアはここで待っていて?すぐ終わらせてくるから」
そう言うとハル様はにこーと綺麗な笑みを浮かべた、ただ笑顔なのにオーラが優しくない、今にも人1人殺れそうな危ないオーラが出てた。
え、えぇどうしよう、私には止められない、こんなの止められないわよ。
そう言うとハル様は後ろを振り返らず歩き出した。
✱ ✱ ✱
ホールに到着すると、既になにやら始まっていた。結局私はハル様の後を追い、バレない程度にあとを付けてきた。
ただ、ホール中央にお父様がいたのにはビックリさせられたが...
「名ばかりで自分の職務を放棄しておいて何を言う...本当に変わらないなお前は」
「...なんだと!?貴様こそ侯爵の分際で私にものを言うか!!!」
「こう言えばわかるか?お前は屑だ」
「.....な、なんだと!?」
「昔からそうだ、蝶よ花よと育てられたお前は苦労を知らない、そのせいでお前は王の座についても胡座をかくばかりで自分は何もしない、やろうともしない、周りがやってくれることを当たり前だと思っている」
「そ、それの何が悪いというのだ!!」
「歳を取ればとるほど心は狭くなる、まだ取り返しのつかなくなる前にやめていたら変わっていたかもしれない、だがお前は変わらなかった、その幼稚な頭のまま大人になり子を作ってしまった」
「だまれ!!」
そう言うと国王は地団駄を踏んだ。
その姿は正しく子供のようだった。
お父様、あなたは一体何をしてらっしゃるの?
それに、お父様のあんなお姿初めて見た。
やっぱり、婚約破棄の件がお父様にとっては凄く許せないことだったのだわ。
私は混乱する頭をを他所にやり再びお父様へと視線を向けた。
「ここに1万人分の署名がある、今ここでお前から王権を剥奪する!!それに伴い身分は平民以下とする!!」
その言葉に会場中がざわめくのを感じた。
当たり前だ、王権の剥奪など聞いたこともないし、お父様はいつの間にそんなことをしていたの!?
「...な、なんだと!!?やめろ!!私は王だぞ!そんな上手くいくわけ!!」
王が喚きしらす中、そこに、今まで傍観していたハルが前へと進み出た。
「お前の罪はそれだけじゃない、これからお前は我が国で一生幽閉となる」
「な、何を言っている!?私が何をした?幽閉、冗談じゃない!!!」
王の言葉にハルは奥歯をギリリッと食いしばった。
「人身売買、他国領の税金横領、過度の課税、これのどこに善良さがある、全く貴様は悪慈恵ばかり働く、自国の土地が枯れたからと他国に手を出すとは愚かにも程がある、恥を知るといい。貴様はバレないと思ってやっていたようだがこちらには常に報告が上がっていた...はぁ、もういい連れて行け」
ハル様の言葉に近くで構えていた騎士達が元国王の周りを取り囲んだ。
えぇ...
「おいやめろ!!私に触るな!や、やめてくれお願いだ!待ってくれ、あぁ、話せばわかる、私はそんなことしていない!!!待ってくれ!!」
元国王バルトはそれでも必死に冤罪を主張するが、周りは誰一人として助けてはくれなかった。
私はただただ傍観することしかできなかった、
そしていつの間にか断罪が終了し、悪に手を染めていたらしい愚王が捕えられていた。
もう、なんと声をかけていいか分からない。
すっきりしたような、納得いかないような...そんな気持ちだった。
ただ、お父様の満足そうに頷く姿を目に収めて呆れながらも、あとからお父様を叱るのはやめておこうと思ったミリアーナだった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
面白くなかったら直ぐに言ってください、直します!!
もっとスッキリできる断罪シーンを書きたかったのですが、上手くいきませんでした!!
ただ、これは復讐のほんの1部でしかありません、国王はモブですので。
復讐(説教とも言う)はこれから、のばずです!!
ご指摘でもなんでも構いませんので感想頂ければ嬉しいです。
お読みいただきありがとうございました!
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