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22-B・分岐点⑤
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「ふむ」
すべてを聞き終わった後で、紅太郎君は言った。
ちなみに、やっぱりあの裏庭にいたときは忍者の結界が張られていたという。
そして、霊力の強い蒼馬君の血液を結晶にしたものを持っていた蒼吾君は、その結界を無効化できた。人ではなく人外の式神忍者である黄澄さん達は命と引き換えでなければ、蒼馬君の血結晶を持つ蒼吾君は止められないというのである。
うん、あるある。
エロゲやギャルゲってどんなにコメディタッチでも、どこかに伝奇ネタが混じってることが多いんだよね。前世でこのゲームプレイしたとき、豪華客船で幽霊とHしたり幽霊に憑りつかれた攻略対象とHするイベントとかあったし。オカルトネタは気軽に取り入れられがち。
サキュバス化した攻略対象を蒼馬君が戻せたのって霊力が強いからだったのかな。男性主人公が戻したのは、主人公補正だろうけど。
「世莉が知るはずのないことを知っていたのは、この世によく似た世界を舞台にしたエロゲを前世でプレイしていたからなのか」
紅太郎君の問いに頷く。
「赤城家に仇なそうだなんて、かけらも思ってません!」
だから忍者に拷問させないでください。
「しかし、世莉の証言だけでは信用できぬな。蒼吾の監禁部屋のことも、諜報に優れた組織が探ればわかったかもしれん」
「蒼馬の血結晶があるのに? あれは紅太郎の家の影達みたいな霊的な存在だけでなく、電波なんかの物理的な存在も阻害するんだよ」
「……つまり、それだけ力の強い組織に属しているということか」
「紅太郎君、信じてくれないの?」
そんなぁ! これじゃ打ち明け損じゃないですか!
十八歳以上とはいえ学園の女生徒としては、前世でエロゲしてたことを話すだけでも恥ずかしかったのに!
拷問ですか? 忍者の拷問なんですかーっ!
「世莉、すまん」
紅太郎君が私の前にしゃがみ込んで見つめてくる。
私達は、勉強会やお食事会をした赤城邸の部屋でお茶(ランダムボタンで購入した学力の上がるものではない)を飲みながら話をしていた。
拷問に怯えて涙をこぼした私の頬を指先で拭きながら、紅太郎君は申し訳なさそうに言葉を続ける。
「冗談だ。俺は世莉を信じる。蒼吾は危険な監禁男だ」
「紅太郎が信じるの、そこだけなの?」
「普段の行動から疑いようがないではないか」
「……ねえ紅太郎。僕、前から不思議だったんだけど、世莉ちゃんが卒業も危うそうな学力でうちの学園に編入出来たのってさ……」
「え、なに?」
エロゲの男性主人公の立ち位置に転生した私も知らないことを蒼吾君は知っているのだろうか。
沙姫ちゃんのエンディングに辿り着けていたらわかったのかな?
紅太郎君が慌てた様子で蒼吾君の話を遮った。
「と、とにかく俺は世莉の言うことを信じるぞ! 蒼吾もからかって悪かった。お前はもう改心したんだな?」
「改心というか……桜山さんを監禁するようなことは、絶対にないよ」
それなら良かった。
……まあ信じ切るのは難しいけど、蒼吾君がいつも友情ルートエンドで見せてくれたような笑顔で過ごせたら良いと思うよ。
「世莉。ほかに犯罪につながりそうなルートはないんだな?」
「蒼馬君が黒沢姉妹で股がけしたら、海王さんに海中投棄されると思う」
「それは蒼馬の自業自得だから仕方がないよ、世莉ちゃん」
蒼吾君はすごくイイ笑顔で言った。
いや、監禁男寄りの笑みなんだけどね。
仲悪いなあ、葵兄弟。
「お隣の奥さんのルートは閉じたし」
不倫ダメ、絶対。
「またなにか思い出したら、ふたりに相談してもいい?」
「もちろんだ」
「当たり前だよ、世莉ちゃん」
とりあえず忍者の拷問からは逃れられたようだ。
安堵する私に、紅太郎君が尋ねてくる。
「ところで世莉、赤城家の山へキャンプに行くのと、蒼吾のところの別荘へ行くのとどっちが良い?」
「え? どうしたの、いきなり」
「世莉ちゃん。君が僕を信じ切るのは難しいと思うけど、紅太郎に知られた以上、僕が監禁男になることはまずないと感じてるよね?」
「うん」
「ほかにヤバそうなことはないのだろう?」
「うん」
「だったら後の問題は、世莉ちゃんの卒業だけじゃないか」
「裏庭自販機のお茶で本当に頭の回転が速くなるらしいが、そんなにお茶ばかり飲めないだろう。購買のクリームパンも一度に何個も食べられるものではない。実際に試してみるまでわからないが、もし効果があるのなら、カブトムシとクワガタを取るのが一番手っ取り早い学力の上昇法だと思うぞ」
「一度試してみよう。エロゲと同じ僕の家の別荘のほうが良いとは思うけど、うちの別荘、赤城家の山の麓にあるから、どっちのカブトムシとクワガタでも大丈夫なんじゃないかな?」
「もちろんどちらへ行くにしろ、俺達ふたりが付き添うから安心しろ」
「おーう……」
あまりの正論に言葉を失う。
そうです。卒業、大事。私の学力低い。
むしろカブトムシやクワガタを取って学力が上がるなら最高かもしれない。昆虫全般が好きとは言い難いけれど、生活系ゲームの影響でカブトムシとクワガタは結構好き。
「世莉」
「世莉ちゃん」
「「どちらへ行く?」」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
A・蒼吾君家の別荘→23ーAへ
B・紅太郎君家の山でキャンプ→23ーBへ
すべてを聞き終わった後で、紅太郎君は言った。
ちなみに、やっぱりあの裏庭にいたときは忍者の結界が張られていたという。
そして、霊力の強い蒼馬君の血液を結晶にしたものを持っていた蒼吾君は、その結界を無効化できた。人ではなく人外の式神忍者である黄澄さん達は命と引き換えでなければ、蒼馬君の血結晶を持つ蒼吾君は止められないというのである。
うん、あるある。
エロゲやギャルゲってどんなにコメディタッチでも、どこかに伝奇ネタが混じってることが多いんだよね。前世でこのゲームプレイしたとき、豪華客船で幽霊とHしたり幽霊に憑りつかれた攻略対象とHするイベントとかあったし。オカルトネタは気軽に取り入れられがち。
サキュバス化した攻略対象を蒼馬君が戻せたのって霊力が強いからだったのかな。男性主人公が戻したのは、主人公補正だろうけど。
「世莉が知るはずのないことを知っていたのは、この世によく似た世界を舞台にしたエロゲを前世でプレイしていたからなのか」
紅太郎君の問いに頷く。
「赤城家に仇なそうだなんて、かけらも思ってません!」
だから忍者に拷問させないでください。
「しかし、世莉の証言だけでは信用できぬな。蒼吾の監禁部屋のことも、諜報に優れた組織が探ればわかったかもしれん」
「蒼馬の血結晶があるのに? あれは紅太郎の家の影達みたいな霊的な存在だけでなく、電波なんかの物理的な存在も阻害するんだよ」
「……つまり、それだけ力の強い組織に属しているということか」
「紅太郎君、信じてくれないの?」
そんなぁ! これじゃ打ち明け損じゃないですか!
十八歳以上とはいえ学園の女生徒としては、前世でエロゲしてたことを話すだけでも恥ずかしかったのに!
拷問ですか? 忍者の拷問なんですかーっ!
「世莉、すまん」
紅太郎君が私の前にしゃがみ込んで見つめてくる。
私達は、勉強会やお食事会をした赤城邸の部屋でお茶(ランダムボタンで購入した学力の上がるものではない)を飲みながら話をしていた。
拷問に怯えて涙をこぼした私の頬を指先で拭きながら、紅太郎君は申し訳なさそうに言葉を続ける。
「冗談だ。俺は世莉を信じる。蒼吾は危険な監禁男だ」
「紅太郎が信じるの、そこだけなの?」
「普段の行動から疑いようがないではないか」
「……ねえ紅太郎。僕、前から不思議だったんだけど、世莉ちゃんが卒業も危うそうな学力でうちの学園に編入出来たのってさ……」
「え、なに?」
エロゲの男性主人公の立ち位置に転生した私も知らないことを蒼吾君は知っているのだろうか。
沙姫ちゃんのエンディングに辿り着けていたらわかったのかな?
紅太郎君が慌てた様子で蒼吾君の話を遮った。
「と、とにかく俺は世莉の言うことを信じるぞ! 蒼吾もからかって悪かった。お前はもう改心したんだな?」
「改心というか……桜山さんを監禁するようなことは、絶対にないよ」
それなら良かった。
……まあ信じ切るのは難しいけど、蒼吾君がいつも友情ルートエンドで見せてくれたような笑顔で過ごせたら良いと思うよ。
「世莉。ほかに犯罪につながりそうなルートはないんだな?」
「蒼馬君が黒沢姉妹で股がけしたら、海王さんに海中投棄されると思う」
「それは蒼馬の自業自得だから仕方がないよ、世莉ちゃん」
蒼吾君はすごくイイ笑顔で言った。
いや、監禁男寄りの笑みなんだけどね。
仲悪いなあ、葵兄弟。
「お隣の奥さんのルートは閉じたし」
不倫ダメ、絶対。
「またなにか思い出したら、ふたりに相談してもいい?」
「もちろんだ」
「当たり前だよ、世莉ちゃん」
とりあえず忍者の拷問からは逃れられたようだ。
安堵する私に、紅太郎君が尋ねてくる。
「ところで世莉、赤城家の山へキャンプに行くのと、蒼吾のところの別荘へ行くのとどっちが良い?」
「え? どうしたの、いきなり」
「世莉ちゃん。君が僕を信じ切るのは難しいと思うけど、紅太郎に知られた以上、僕が監禁男になることはまずないと感じてるよね?」
「うん」
「ほかにヤバそうなことはないのだろう?」
「うん」
「だったら後の問題は、世莉ちゃんの卒業だけじゃないか」
「裏庭自販機のお茶で本当に頭の回転が速くなるらしいが、そんなにお茶ばかり飲めないだろう。購買のクリームパンも一度に何個も食べられるものではない。実際に試してみるまでわからないが、もし効果があるのなら、カブトムシとクワガタを取るのが一番手っ取り早い学力の上昇法だと思うぞ」
「一度試してみよう。エロゲと同じ僕の家の別荘のほうが良いとは思うけど、うちの別荘、赤城家の山の麓にあるから、どっちのカブトムシとクワガタでも大丈夫なんじゃないかな?」
「もちろんどちらへ行くにしろ、俺達ふたりが付き添うから安心しろ」
「おーう……」
あまりの正論に言葉を失う。
そうです。卒業、大事。私の学力低い。
むしろカブトムシやクワガタを取って学力が上がるなら最高かもしれない。昆虫全般が好きとは言い難いけれど、生活系ゲームの影響でカブトムシとクワガタは結構好き。
「世莉」
「世莉ちゃん」
「「どちらへ行く?」」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
A・蒼吾君家の別荘→23ーAへ
B・紅太郎君家の山でキャンプ→23ーBへ
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