58 / 79
24ーA・分岐点⑥
しおりを挟む
黄澄さんは紅太郎君と町へ戻ったので、墨羽さんに見守られながら蒼吾君のサポートを受けて虫取りを続ける。
「……今度はニジイロクワガタが取れたよ」
「世莉ちゃんの虫取りレベルが上がったのかもね」
「レベル制度あったかなあ? 隠しパラメータだったのかもしれないけど」
「世莉様、虫かごでございます」
「ありがとう、墨羽さん」
今の蒼吾君は蒼馬君の血結晶? を持ってないか使っていないらしく、プラスチックの虫かごを持った墨羽さんが近くまで来てくれた。
そうこうしていると夕方になったので、夕食はなににしようかと話しながら葵家の別荘へ向かう。
夕食は蒼吾君と紅太郎君が交代で、蒼吾君が当番の日は彼が、紅太郎君が当番の日は黄澄さんか墨羽さんが作ってくれる。世話になってばかりじゃ申し訳ないので、私もたまには作ろうかと提案したんだけど、そんな暇があったら勉強しろと優しい視線で言われた。
「ねえ世莉ちゃん」
「なぁに?」
セフレの多い蒼吾君はさすがのモテ力で、十ハ歳以上の現役学園女生徒の私よりも料理のレパートリーが多い。
今夜は蒼吾君の当番だ。
そうじゃなくても紅太郎君がまだ戻ってないから、彼が作ることになるだろう。もしかして料理のリクエストを聞いてくれるのかな。なにがいいかなー。
よし、カルボナーラをリクエストしよう! 私がそう決意したとき、蒼吾君が言った。
「僕ね、世莉ちゃんが好きだよ」
「あ、そうなの? ありがとう」
私は軽い感じで答えた。
内心は結構感動している。これは蒼吾君友情ルートで、かなり好感度が上がったときに発生するイベントだ。まあゲームと現実は違うけど、ひとつの指針にはなるだろう。
沙姫ちゃん監禁エンドが、また一歩遠ざかった!
蒼吾君が苦笑を漏らす。
「世莉ちゃんさあ、まだ僕が桜山さんを監禁するんじゃないかって心配してるの? なんか今、すっごくホッとしてたのわかったよ」
「うーん、やっぱり気になっちゃうね。紅太郎君にも打ち明けたから、だれかが止めるとは思うんだけど。……友情エンドの蒼吾君はすごく良い笑顔だったし、沙姫ちゃんのことは諦めて、早くいつもあの笑顔でいて欲しいと思ってるよ」
「僕、笑顔じゃない?」
「最近はわりと笑顔かも。カブトムシやクワガタを取ってると心が和むもんね」
「……僕ね、本当は桜山さんのこと好きじゃなかったんだ」
「え?」
どうした? なんだ、いきなり!
そう言って私の監視を逃れるつもり?
あれだけ執着しておいて、今さらお前はなにを言っているんだ。ゲームの中だけじゃなく、この現実で私が転校してきたばかりのときもすっごい目で沙姫ちゃんを見てたじゃん!
「僕が好きなのはね、世莉ちゃん、君だよ。さっき友情エンドって言ってたけど、エロゲとは違う、友情じゃなくて恋愛感情で君が好きなんだ」
「え?」
なにがなんだかわからない。
蒼吾君は蒼馬君の血結晶を使い始めたようで、ニジイロクワガタ(生息地オセアニア)やその後で取ったネプチューンオオカブト(生息地アンデス山脈)の入った虫かごを持った墨羽さんも、少し離れた場所で怪訝そうな顔をしている。たぶん私達の会話が聞こえていないのだ。
蒼馬君の血結晶ってすげー。
「アレキサンダーから助けてもらったとき、僕は君に恋をした。たぶん世莉ちゃんが前世でプレイしたっていうエロゲの中の僕もそうだったんだと思う。そしてこの僕もゲームの中の僕も、助けてくれた君を男の子だと思った。男同士では結ばれないと思っていた幼い僕はきっと、一緒にいた桜山さんに君を取られるのが嫌だったんだ」
「それで監禁?」
「付き纏いの上監禁だね。とにかく君から引き離したかったんだ。それと、男の子だと思い込んでいた君への想いを認められなくて、彼女を好きだと思い込んでいた。桜山さんがこっちに戻ってきたら、付き纏いのことはちゃんと謝ろうと思ってる」
「なんか拗らせてるね」
「他人事みたいに言わないでよ」
「そんなこと言われても……」
他人事ですよ。
蒼吾君の心を私がどうにかすることは出来ない。
エロゲの中でだって、選択肢で好感度を上げて変わってくれるのを期待することしか出来なかった。
「監禁男なんて嫌だと思うけど、僕は一緒にいればいるほど世莉ちゃんのことを好きになるんだ。この気持ちに気づかない振りをしていたら、またどこかで妙な形で吹き出してしまうと思う。だから告白した。……僕と付き合ってくれないかな?」
まさかこんな展開になるとは思わなかった。
蒼吾君は私が好き? エロゲの中の蒼吾君は男性主人公が好きだった? 前世の友が喜……ばないな。彼女は洋風坊ちゃん×和風坊ちゃん派だったもんね。
夏の夕暮れの風が、蒼吾君の水色の髪を揺らしている。彼の瞳は怖いほど真剣で、言っていることは真実なのだとわかった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
A・告白を受け入れる。→25ーAへ
C・告白は受け入れない。→23ーCへ
「……今度はニジイロクワガタが取れたよ」
「世莉ちゃんの虫取りレベルが上がったのかもね」
「レベル制度あったかなあ? 隠しパラメータだったのかもしれないけど」
「世莉様、虫かごでございます」
「ありがとう、墨羽さん」
今の蒼吾君は蒼馬君の血結晶? を持ってないか使っていないらしく、プラスチックの虫かごを持った墨羽さんが近くまで来てくれた。
そうこうしていると夕方になったので、夕食はなににしようかと話しながら葵家の別荘へ向かう。
夕食は蒼吾君と紅太郎君が交代で、蒼吾君が当番の日は彼が、紅太郎君が当番の日は黄澄さんか墨羽さんが作ってくれる。世話になってばかりじゃ申し訳ないので、私もたまには作ろうかと提案したんだけど、そんな暇があったら勉強しろと優しい視線で言われた。
「ねえ世莉ちゃん」
「なぁに?」
セフレの多い蒼吾君はさすがのモテ力で、十ハ歳以上の現役学園女生徒の私よりも料理のレパートリーが多い。
今夜は蒼吾君の当番だ。
そうじゃなくても紅太郎君がまだ戻ってないから、彼が作ることになるだろう。もしかして料理のリクエストを聞いてくれるのかな。なにがいいかなー。
よし、カルボナーラをリクエストしよう! 私がそう決意したとき、蒼吾君が言った。
「僕ね、世莉ちゃんが好きだよ」
「あ、そうなの? ありがとう」
私は軽い感じで答えた。
内心は結構感動している。これは蒼吾君友情ルートで、かなり好感度が上がったときに発生するイベントだ。まあゲームと現実は違うけど、ひとつの指針にはなるだろう。
沙姫ちゃん監禁エンドが、また一歩遠ざかった!
蒼吾君が苦笑を漏らす。
「世莉ちゃんさあ、まだ僕が桜山さんを監禁するんじゃないかって心配してるの? なんか今、すっごくホッとしてたのわかったよ」
「うーん、やっぱり気になっちゃうね。紅太郎君にも打ち明けたから、だれかが止めるとは思うんだけど。……友情エンドの蒼吾君はすごく良い笑顔だったし、沙姫ちゃんのことは諦めて、早くいつもあの笑顔でいて欲しいと思ってるよ」
「僕、笑顔じゃない?」
「最近はわりと笑顔かも。カブトムシやクワガタを取ってると心が和むもんね」
「……僕ね、本当は桜山さんのこと好きじゃなかったんだ」
「え?」
どうした? なんだ、いきなり!
そう言って私の監視を逃れるつもり?
あれだけ執着しておいて、今さらお前はなにを言っているんだ。ゲームの中だけじゃなく、この現実で私が転校してきたばかりのときもすっごい目で沙姫ちゃんを見てたじゃん!
「僕が好きなのはね、世莉ちゃん、君だよ。さっき友情エンドって言ってたけど、エロゲとは違う、友情じゃなくて恋愛感情で君が好きなんだ」
「え?」
なにがなんだかわからない。
蒼吾君は蒼馬君の血結晶を使い始めたようで、ニジイロクワガタ(生息地オセアニア)やその後で取ったネプチューンオオカブト(生息地アンデス山脈)の入った虫かごを持った墨羽さんも、少し離れた場所で怪訝そうな顔をしている。たぶん私達の会話が聞こえていないのだ。
蒼馬君の血結晶ってすげー。
「アレキサンダーから助けてもらったとき、僕は君に恋をした。たぶん世莉ちゃんが前世でプレイしたっていうエロゲの中の僕もそうだったんだと思う。そしてこの僕もゲームの中の僕も、助けてくれた君を男の子だと思った。男同士では結ばれないと思っていた幼い僕はきっと、一緒にいた桜山さんに君を取られるのが嫌だったんだ」
「それで監禁?」
「付き纏いの上監禁だね。とにかく君から引き離したかったんだ。それと、男の子だと思い込んでいた君への想いを認められなくて、彼女を好きだと思い込んでいた。桜山さんがこっちに戻ってきたら、付き纏いのことはちゃんと謝ろうと思ってる」
「なんか拗らせてるね」
「他人事みたいに言わないでよ」
「そんなこと言われても……」
他人事ですよ。
蒼吾君の心を私がどうにかすることは出来ない。
エロゲの中でだって、選択肢で好感度を上げて変わってくれるのを期待することしか出来なかった。
「監禁男なんて嫌だと思うけど、僕は一緒にいればいるほど世莉ちゃんのことを好きになるんだ。この気持ちに気づかない振りをしていたら、またどこかで妙な形で吹き出してしまうと思う。だから告白した。……僕と付き合ってくれないかな?」
まさかこんな展開になるとは思わなかった。
蒼吾君は私が好き? エロゲの中の蒼吾君は男性主人公が好きだった? 前世の友が喜……ばないな。彼女は洋風坊ちゃん×和風坊ちゃん派だったもんね。
夏の夕暮れの風が、蒼吾君の水色の髪を揺らしている。彼の瞳は怖いほど真剣で、言っていることは真実なのだとわかった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
A・告白を受け入れる。→25ーAへ
C・告白は受け入れない。→23ーCへ
0
あなたにおすすめの小説
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日7時•19時に更新予定です。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です
星乃和花
恋愛
【全16話+後日談5話:日月水金20:00更新】
王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。
……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。
追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。
無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」
騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!
黄泉がえり陽炎姫は最恐魔王に溺愛される
彪雅にこ
恋愛
「ああ、私、とうとう死んでしまうのね…」
侯爵令嬢フェリシアは、命の危機に瀕していた──。
王太子の婚約者だったフェリシアは、何者かの手にかかり、生死の境を彷徨い黄泉へと渡りかける。奇跡の生還を果たしたものの、毒の後遺症で子を成せなくなったと診断され、婚約は破棄に。陽炎姫と呼ばれる日陰の存在となっていた。
まるで邸を追い出されるかのように隣国の好色伯爵の元へ嫁がされる途中で馬車が暴漢に襲われ、再び命の危険に晒されたフェリシアを救ったのは、悪魔のような山羊の頭蓋骨の面を被った魔王だった。
人々から最恐と怖れられる魔王は、なぜフェリシアを助けたのか…?
そして、フェリシアを黄泉へと送ろうとした人物とは?
至宝と称えられながらも表舞台から陽炎のように消えた侯爵令嬢と、その強大すぎる魔力と特異な容姿により魔王と恐れられる公爵の、恋と成長の物語。
表紙は友人の丸インコさんが描いてくださいました!感謝♡
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました
ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。
名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。
ええ。私は今非常に困惑しております。
私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。
...あの腹黒が現れるまでは。
『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。
個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。
義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる