エロゲの男性主人公の立ち位置に転生しましたが、前世も今世も女です。

キマメ

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24ーA・分岐点⑥

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 黄澄さんは紅太郎君と町へ戻ったので、墨羽さんに見守られながら蒼吾君のサポートを受けて虫取りを続ける。

「……今度はニジイロクワガタが取れたよ」
「世莉ちゃんの虫取りレベルが上がったのかもね」
「レベル制度あったかなあ? 隠しパラメータだったのかもしれないけど」
「世莉様、虫かごでございます」
「ありがとう、墨羽さん」

 今の蒼吾君は蒼馬君の血結晶? を持ってないか使っていないらしく、プラスチックの虫かごを持った墨羽さんが近くまで来てくれた。
 そうこうしていると夕方になったので、夕食はなににしようかと話しながら葵家の別荘へ向かう。
 夕食は蒼吾君と紅太郎君が交代で、蒼吾君が当番の日は彼が、紅太郎君が当番の日は黄澄さんか墨羽さんが作ってくれる。世話になってばかりじゃ申し訳ないので、私もたまには作ろうかと提案したんだけど、そんな暇があったら勉強しろと優しい視線で言われた。

「ねえ世莉ちゃん」
「なぁに?」

 セフレの多い蒼吾君はさすがのモテ力もてぢからで、十ハ歳以上の現役学園女生徒の私よりも料理のレパートリーが多い。
 今夜は蒼吾君の当番だ。
 そうじゃなくても紅太郎君がまだ戻ってないから、彼が作ることになるだろう。もしかして料理のリクエストを聞いてくれるのかな。なにがいいかなー。

 よし、カルボナーラをリクエストしよう! 私がそう決意したとき、蒼吾君が言った。

「僕ね、世莉ちゃんが好きだよ」
「あ、そうなの? ありがとう」

 私は軽い感じで答えた。
 内心は結構感動している。これは蒼吾君友情ルートで、かなり好感度が上がったときに発生するイベントだ。まあゲームと現実リアルは違うけど、ひとつの指針にはなるだろう。
 沙姫ちゃん監禁エンドが、また一歩遠ざかった!

 蒼吾君が苦笑を漏らす。

「世莉ちゃんさあ、まだ僕が桜山さんを監禁するんじゃないかって心配してるの? なんか今、すっごくホッとしてたのわかったよ」
「うーん、やっぱり気になっちゃうね。紅太郎君にも打ち明けたから、だれかが止めるとは思うんだけど。……友情エンドの蒼吾君はすごく良い笑顔だったし、沙姫ちゃんのことは諦めて、早くいつもあの笑顔でいて欲しいと思ってるよ」
「僕、笑顔じゃない?」
「最近はわりと笑顔かも。カブトムシやクワガタを取ってると心が和むもんね」
「……僕ね、本当は桜山さんのこと好きじゃなかったんだ」
「え?」

 どうした? なんだ、いきなり!
 そう言って私の監視を逃れるつもり?
 あれだけ執着しておいて、今さらお前はなにを言っているんだ。ゲームの中だけじゃなく、この現実リアルで私が転校してきたばかりのときもすっごい目で沙姫ちゃんを見てたじゃん!

「僕が好きなのはね、世莉ちゃん、君だよ。さっき友情エンドって言ってたけど、エロゲとは違う、友情じゃなくて恋愛感情で君が好きなんだ」
「え?」

 なにがなんだかわからない。
 蒼吾君は蒼馬君の血結晶を使い始めたようで、ニジイロクワガタ(生息地オセアニア)やその後で取ったネプチューンオオカブト(生息地アンデス山脈)の入った虫かごを持った墨羽さんも、少し離れた場所で怪訝そうな顔をしている。たぶん私達の会話が聞こえていないのだ。
 蒼馬君の血結晶ってすげー。

「アレキサンダーから助けてもらったとき、僕は君に恋をした。たぶん世莉ちゃんが前世でプレイしたっていうエロゲの中の僕もそうだったんだと思う。そしてこの僕もゲームの中の僕も、助けてくれた君を男の子だと思った。男同士では結ばれないと思っていた幼い僕はきっと、一緒にいた桜山さん女の子に君を取られるのが嫌だったんだ」
「それで監禁?」
「付き纏いの上監禁だね。とにかく君から引き離したかったんだ。それと、男の子だと思い込んでいた君への想いを認められなくて、彼女を好きだと思い込んでいた。桜山さんがこっちに戻ってきたら、付き纏いのことはちゃんと謝ろうと思ってる」
「なんか拗らせてるね」
「他人事みたいに言わないでよ」
「そんなこと言われても……」

 他人事ですよ。
 蒼吾君の心を私がどうにかすることは出来ない。
 エロゲの中でだって、選択肢で好感度を上げて変わってくれるのを期待することしか出来なかった。

「監禁男なんて嫌だと思うけど、僕は一緒にいればいるほど世莉ちゃんのことを好きになるんだ。この気持ちに気づかない振りをしていたら、またどこかで妙な形で吹き出してしまうと思う。だから告白した。……僕と付き合ってくれないかな?」

 まさかこんな展開になるとは思わなかった。
 蒼吾君は私が好き? エロゲの中の蒼吾君は男性主人公が好きだった? 前世の友が喜……ばないな。彼女は洋風坊ちゃん蒼吾君×和風坊ちゃん紅太郎君派だったもんね。
 夏の夕暮れの風が、蒼吾君の水色の髪を揺らしている。彼の瞳は怖いほど真剣で、言っていることは真実なのだとわかった。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

A・告白を受け入れる。→25ーAへ

C・告白は受け入れない。→23ーCへ
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