エロゲの男性主人公の立ち位置に転生しましたが、前世も今世も女です。

キマメ

文字の大きさ
76 / 79

29・<<葵蒼馬エンド>>

しおりを挟む
 まずは蒼馬君にメールを返そうと(この前告白断ったところだから、返信しないと傷つけちゃいそうだし)、文章を打っていたら彼とのHの記憶が蘇ってきた。
 返信内容はなんとか打てたけど、これ以上は無理だった。
 とりあえず彼だけに返信して、私はお風呂場へ向かう。心配させちゃうかもしれないが、ほかの人への返信は明日記憶の封印が終わってからにさせてもらおう。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 シャワーを浴びると、少し頭がすっきりした。
 ほかの人にも返信しておこうかなー、特に蒼吾君達三人は『私係』だし、なんて思いながらスマホを見た。
 でもほかの男の子のメールを開いて返信しようとしていたら、やっぱり彼とのHの記憶が蘇ってきて顔が熱くなっていく。……今日はやめておこう。

 ベッドでゴロゴロすることにしたものの、シャワーも浴びたのにモヤモヤする。
 墨羽さんがいなかったら、自分でシてすっきり出来るのに。
 このままひとりでいてもムラムラは治まらないと思い、私はシャワーの後で着ていたパジャマを脱いで制服に着替えた。まだ夜には早いし、学園の購買にクリームパン買いに行こーっと。

 夏休みの最終日だし、たぶん蒼吾君と紅太郎君は今朝黒沢家の豪華客船から帰ったところだから、わざわざ学園へ登校したりはしないだろう。
 私には豪華客船へ招待された記憶と、ひとりで勉強しながらダラダラしていた最近の記憶が両方ある。蒼馬君達とHしながら過ごしていた記憶も。
 海王さんはもう学園生ではないし(卒業生らしいけど)、蒼馬君は生徒会長だから生徒会室に近づきさえしなければ会うこともないはずだ。

 なんて、思っていた私は浅はかだった。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 校舎に入ってから購買へ至るまでの道筋に、一学年下の(でも十八歳以上だよ!)蒼馬君の教室があったのだ。
 まあ教室前の廊下にはだれもいないし、蒼馬君は生徒会室だよね。
 ここに来てもまだ甘い考えで、私は一学年下の教室の前を通り過ぎようとした。中には数名の生徒がいるようで、話している声が漏れ聞こえてくる。

「……べつに普通じゃない? 桜山だってムラムラするときくらいあるでしょ?」

 うわ、蒼馬君だ。私は足を速めた。

「……だからって! 姉者は清廉潔白な女神のような女性にょしょうなんだ。あんな欲望を……」

 ん? さっき蒼馬君『桜山』って言ってたよね?
 もしかして一緒にいるの沙姫ちゃんの弟さん?
 え? 『あんな欲望』ってなに? 私に告白しておいて、蒼吾君ってばまだ沙姫ちゃんを狙ってるの? 私が告白を断ったから?

 思わず教室に近寄って詳しく聞こうとしたとき、扉が開いた。

「だれ?……って、世莉先輩?」
「ごめん蒼馬君、少し話聞いちゃった。沙姫ちゃんになにかあったの?」
「葵、その女生徒はだれだ?」

 そう言ったのはメガネで色の違う制服を着た──沙姫ちゃんの親衛隊の特攻隊長だった。
 あれ? 親衛隊の特攻隊長って沙姫ちゃんの弟さんだったの?

「初めまして、天光世莉です」
「ああ、葵を振ったという……」
「うるさいよ、桜山」
「すまない」
「いきなりごめんなさい。私、これでも沙姫ちゃんの友達なの。沙姫ちゃんが困っているのなら、なにか力になりたいの。なにがあったか教えてもらえないかな?」

 沙姫ちゃんの弟さんは、私の言葉を聞いて真っ赤になった。

「あ、いや、その、だれかが姉者に良からぬことをしようというのなら我ら親衛隊が始末するので気にしないでください。これは、その、家族のことなので」
「家族? も、もしかして借金の形に結婚を迫られてるとか?」
「違います! 大丈夫です、とにかく大丈夫ですからーっ!」

 叫んで、彼は走り去っていった。
 葵財閥なら、だれかに借金を背負わせるのも簡単だよね(偏見)。
 蒼馬君が私の横に来て耳元に囁く。

「……桜山はお姉さんを神格化してるから、彼女がオナニーしてるのを認められないだけですよ」
「ふぇっ!」

 なんてこと教えてくれるんだ蒼馬君め!
 今度沙姫ちゃんに会ったときに思い出しちゃうでしょ!
 まあ、私も墨羽さんがいなかったら家でシてたし、人間だから仕方がない。深く考えないように……弟さん! それ友達に相談しちゃダメなヤツー!

「……ところで世莉先輩」
「なぁに?」

 弟さんがいなくなると、教室には私と蒼馬君しかいなかった。
 彼は教室の扉を閉め、近くの机の上に座る。
 ちょっとドキッとしたけど、十八歳以上とはいえ学園生ならこれくらい乱暴なところもあるものだよね。

「世莉先輩さあ、僕の告白OKしてくれましたよね?」
「え?」
「サキュバスの姿で僕のところへ来て、蒼馬君のおち〇ぽが美味しいから私の淫らなおま〇こが喜んでるのぉ。蒼馬君のおち〇ぽで私の淫らなおま〇こをグチャグチャにしてぇっておねだりしたこともありましたよね?」
「ふええぇぇぇっ!」

 蒼馬君にも消えた時間の記憶がある? なんで?
 彼は話を続けながら、制服のポケットに入れていたスマホを取り出した。
 着信を告げる点滅に気がついたのだろう。

「さっき世莉先輩の顔を見た瞬間、記憶が蘇って来たんですよ。……あ、メールの返信もくださってたんですね。ありがとうございます」

 蒼馬君は氷の微笑を浮かべて私を見つめる。
 監禁男の片鱗を覗かせているときの蒼吾君にそっくりだ。
 視線の圧に負けて、私はサキュバス女神様のことを話してしまった。もちろん彼以外ともHしたことは秘密だ!

「ふうん。じゃあもう時間が戻ったりはしないんですね」
「しないと思う」

 しないといいなあ。あのサキュバス女神様、ちょっと信用出来ないんだよね。

「じゃあそれはそれとして、世莉先輩は僕とお付き合いしてくれるんですよね? 僕のおち〇ぽミルク大好きですもんね?」
「それは……」
「セフレの多い兄さんのテクニックとか、赤城さんの巨根とかのほうが良いんですか? フリマの夜に僕のところへ来なかった記憶もあるってことは、海王さんにも抱かれたことがあるんですよね? 海王さんの長いですもんね。僕のじゃ満足出来ませんか?」

 蒼馬君は頭が良い子(十八歳以上だけどね!)なので、少しの情報から真実に辿り着いていた。

「……そんなことはないです。お付き合いしてたときは、蒼馬君が一番好きでした」
「ですよね! 嬉しいです、世莉先輩!」

 その後、教室で滅茶苦茶Hした。
 蒼馬君は霊力が強いので、海王さんの隠形の術のように周囲の認識を阻害する結界を張ることが出来るそうだ。
 消えた時間の生徒会室のときは、恥ずかしがる私が見たくて結界のこと秘密にしてたんだって。……認識を阻害されてても、人前でするのはやめて欲しいなあ。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 そして翌日の新学期。
 夏休みの最終日に私が返信しなかった人には消えた時間の記憶は蘇っていなかった。
 私と蒼馬君は恋人同士になって──まあ時間が戻らなかったらなってたわけだし、夏の間に成長した蒼馬君はすっごく私の好みだしね。とはいえ淫語好きはやめて欲しいんだけど。

 世はすべてこともなし!……だったらいいなあ。
 私と蒼馬君に消えた時間の記憶が残っているのはいいとして、ほかの人とHした記憶の詳細は消えても、消えた時間でシたことがあるという記憶は消えてないんだよねえ。
 サキュバス女神様ぇ。

<<葵蒼馬エンド>>

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

次回は咲一がメイン視点+蒼馬視点のちょいエロ、沙姫視点のGLもあります。苦手な方は飛ばしてください。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日7時•19時に更新予定です。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です

星乃和花
恋愛
【全16話+後日談5話:日月水金20:00更新】 王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。 ……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。 追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。 無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」 騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

黄泉がえり陽炎姫は最恐魔王に溺愛される

彪雅にこ
恋愛
「ああ、私、とうとう死んでしまうのね…」 侯爵令嬢フェリシアは、命の危機に瀕していた──。 王太子の婚約者だったフェリシアは、何者かの手にかかり、生死の境を彷徨い黄泉へと渡りかける。奇跡の生還を果たしたものの、毒の後遺症で子を成せなくなったと診断され、婚約は破棄に。陽炎姫と呼ばれる日陰の存在となっていた。 まるで邸を追い出されるかのように隣国の好色伯爵の元へ嫁がされる途中で馬車が暴漢に襲われ、再び命の危険に晒されたフェリシアを救ったのは、悪魔のような山羊の頭蓋骨の面を被った魔王だった。 人々から最恐と怖れられる魔王は、なぜフェリシアを助けたのか…? そして、フェリシアを黄泉へと送ろうとした人物とは? 至宝と称えられながらも表舞台から陽炎のように消えた侯爵令嬢と、その強大すぎる魔力と特異な容姿により魔王と恐れられる公爵の、恋と成長の物語。 表紙は友人の丸インコさんが描いてくださいました!感謝♡

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~

紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。 そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。 大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。 しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。 フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。 しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。 「あのときからずっと……お慕いしています」 かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。 ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。 「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、 シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」 あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...