350文字

雪飴ねこん

文字の大きさ
上 下
3 / 3

美人な女性②

しおりを挟む
そこで私は、おじいさんの最期の力を振り絞ってでも描きたかった最愛の人の絵であったと知った。その時出るはずのない涙が出てるような、無いはずの心が痛んでるような不思議な気持ちになった。おじいさんは奥さんのことをとても愛していた、でも、それ以外は?私のことはどう思っていたのだろうか。最愛の人を描いた絵で、私と言う存在は必要なくて、その人と私は違う存在なのにそれを押し付けられたような、モヤモヤした気持ち。ただの絵である私自身が意思を持ったのは間違いだったのかもしれない。
そうやって考えてるうちにおじいさんの事を話していたお客さんは私を柔らかい布に包み家に持って帰ったの。そしてまた飾られたわ。そこにはおじいさんと、私にそっくりな人の自画像があったの。二人は仲良く話していて私を見た瞬間嬉しそうに笑ったわ。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...