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第一部
はじまりは、最終決戦の目前で①
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「よく此処まできたな。褒めてやろう、勇者共」
玉座に座る男の視線に、魂を鷲掴みされたかのような悪寒を覚えた。
男ーーー魔王から発せられる濃密で圧迫感のある魔力に当てられたのだ。
「すべては人々の平和を取り戻すため」
わたしの前に立つ白い甲冑の剣士が剣を構えた。
玉座の男は魔王、剣士は勇者。
そしてわたしは、異世界からきた聖女。
わたしは神聖魔法の攻撃魔法を唱えた。
神聖魔法とは聖女が使う専用魔法だ。
回復、解毒、結界、封印、攻撃の魔法がある。
神聖魔法は聖属性という瘴気を浄化させる力があり、対魔物・魔族戦に絶大に効果を発揮する。
この世界には遥か昔から数百年に一度魔王が出現し、魔の者たちが人間たちを蹂躙してきた。
聖女とは、召喚魔法によって異世界から召喚され、神聖魔法を用いて魔の者たちのいわば生命力である瘴気を浄化し、世界を危機から救う伝説の存在。
日本の女子高生のわたしは異世界に召喚され魔王を倒す使命を与えられた。
そして使命を果たしたら元の世界に帰れる。
「覚悟しろ、魔王」
勇者もまた、魔王が現れるたびに剣を取り、いつの時代も先祖代々戦ってきた。
彼は当代の勇者、名はウィリアム。
エルグラン王国において剣聖と称される若く正義感溢れる英雄。
光属性の魔力を剣に纏わせ、魔法剣とし数多の魔のものを葬ってきた人類の希望。
輝く金髪は光を、透き通るような澄んだ碧眼は心根を体現しているかのよう。
「かかってくるがいい。俺は配下の将たちとはわけが違う。貴様らの勝利は万に1つもありはしない」
魔王は世界中の魔の者を統べる。
いつから、どこから生まれたか、謎に包まれた凶星。
闇を体現したかの如く黒髪に、全身黒い装束。
瞳は紅く煌々としている。
今代の魔王もまた魔物の群勢を配下の四天王に率いさせ、人間の国を襲い勢力を拡大している。
歴代の魔王は勇者と聖女たちによりすべて討伐されている。
そして人類は平和を取り戻し、人々は営みを続けてきた。
わたしは召喚された地、大陸最南端のエルグラン王国を勇者一行4人のうちの1人として共に旅立った。
勇者、魔導士と神官とともに戦い抜き、この北の果ての魔王城までたどり着いた。
襲いくる魔物、人間の万の軍を意図も容易く屠る四天王を倒し、この謁見の間にわたしたちはいる。
「あとはお前を倒すのみ。それで僕たち人類の勝利だ」
そう。これで魔王を倒せば戦いは終わる。
だが、しかし。
わたしは唱え終わった神聖魔法を魔王に向けず
「ホーリージャベリン!」
投げ槍型の神聖魔法を同じ勇者パーティの神官めがけて放った。
「はっ!?」
くずおれる神官。
その横にいる驚愕している魔導士に駆け寄り、聖女の為に作られた純白の『清浄の杖』で後頭部を全力でぶん殴った。
嵌め込まれた硬い魔石が良い働きをしたようだ。
2人とも気絶したようで動かなくなった。
「なにをしているんだ、リンカ!!」
勇者が声をあげる。
それはそうだろう。
聖女が魔王じゃなくて、仲間を攻撃したのだから。
「知ったことか」
「え?」
「魔王なんぞ知ったことか!! 伝説の聖女様を奴隷の如くこき使う人間のことなんぞ知るか!」
玉座に座る男の視線に、魂を鷲掴みされたかのような悪寒を覚えた。
男ーーー魔王から発せられる濃密で圧迫感のある魔力に当てられたのだ。
「すべては人々の平和を取り戻すため」
わたしの前に立つ白い甲冑の剣士が剣を構えた。
玉座の男は魔王、剣士は勇者。
そしてわたしは、異世界からきた聖女。
わたしは神聖魔法の攻撃魔法を唱えた。
神聖魔法とは聖女が使う専用魔法だ。
回復、解毒、結界、封印、攻撃の魔法がある。
神聖魔法は聖属性という瘴気を浄化させる力があり、対魔物・魔族戦に絶大に効果を発揮する。
この世界には遥か昔から数百年に一度魔王が出現し、魔の者たちが人間たちを蹂躙してきた。
聖女とは、召喚魔法によって異世界から召喚され、神聖魔法を用いて魔の者たちのいわば生命力である瘴気を浄化し、世界を危機から救う伝説の存在。
日本の女子高生のわたしは異世界に召喚され魔王を倒す使命を与えられた。
そして使命を果たしたら元の世界に帰れる。
「覚悟しろ、魔王」
勇者もまた、魔王が現れるたびに剣を取り、いつの時代も先祖代々戦ってきた。
彼は当代の勇者、名はウィリアム。
エルグラン王国において剣聖と称される若く正義感溢れる英雄。
光属性の魔力を剣に纏わせ、魔法剣とし数多の魔のものを葬ってきた人類の希望。
輝く金髪は光を、透き通るような澄んだ碧眼は心根を体現しているかのよう。
「かかってくるがいい。俺は配下の将たちとはわけが違う。貴様らの勝利は万に1つもありはしない」
魔王は世界中の魔の者を統べる。
いつから、どこから生まれたか、謎に包まれた凶星。
闇を体現したかの如く黒髪に、全身黒い装束。
瞳は紅く煌々としている。
今代の魔王もまた魔物の群勢を配下の四天王に率いさせ、人間の国を襲い勢力を拡大している。
歴代の魔王は勇者と聖女たちによりすべて討伐されている。
そして人類は平和を取り戻し、人々は営みを続けてきた。
わたしは召喚された地、大陸最南端のエルグラン王国を勇者一行4人のうちの1人として共に旅立った。
勇者、魔導士と神官とともに戦い抜き、この北の果ての魔王城までたどり着いた。
襲いくる魔物、人間の万の軍を意図も容易く屠る四天王を倒し、この謁見の間にわたしたちはいる。
「あとはお前を倒すのみ。それで僕たち人類の勝利だ」
そう。これで魔王を倒せば戦いは終わる。
だが、しかし。
わたしは唱え終わった神聖魔法を魔王に向けず
「ホーリージャベリン!」
投げ槍型の神聖魔法を同じ勇者パーティの神官めがけて放った。
「はっ!?」
くずおれる神官。
その横にいる驚愕している魔導士に駆け寄り、聖女の為に作られた純白の『清浄の杖』で後頭部を全力でぶん殴った。
嵌め込まれた硬い魔石が良い働きをしたようだ。
2人とも気絶したようで動かなくなった。
「なにをしているんだ、リンカ!!」
勇者が声をあげる。
それはそうだろう。
聖女が魔王じゃなくて、仲間を攻撃したのだから。
「知ったことか」
「え?」
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