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第一部
二人、焚き火を囲んで③
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「国王が叔父さんだっていうけど、仲悪いの?」
「…疎ましく思っているのではないかという素振りを時には感じた。『ウィリアム、君は勇者としての責務に専念し、王位は自分に任せたほうが良い』『自分の娘と結婚すればすべてこの国はうまくいく』と何度か打診されたが断ってきた。…僕の父は前国王だった。現在の国王である叔父は僕の父の異母弟に当たる。10年前に父と母が事故死して、まだ幼かった第一王位継承者である息子の僕ではなく第二位の叔父が臨時に国王になることになった。僕が成人である20歳を迎えたその日に僕に譲位するまではという条件を貴族議会が決めて。僕が成人を迎える前に死亡した場合、叔父は正式に国王となる」
動機は王位か。強い執着を感じる。
ウィルによると高位貴族30人で構成された貴族議会は国の重要な決定を下す際に意見でき、強い権限をもっているそうだ。
貴族議会で過半数の支持を得られなければ国王だろうと勝手な決定は下せない。
暴君が現れた場合に備えた安全装置の役割なのだとか。
王位を正式に手に入れたかった国王はウィルを最初は王位継承権放棄を促したり、娘を使って懐柔しようとしたのだろう。
でもうまくいかなくて亡き者にしようとしたということか。
魔王討伐なんて命を落としても不思議じゃないのだから利用しない手はない。
死亡の経緯は仲間の証言のみで確定させる腹づもりだな。
魔王を倒したが勇者は力尽きた、とでもする予定といったところか。
そういや謁見の間で国王のそばに娘いたな。
そういや王女って言ってた。
父親と同じくこっちを奴隷扱いして見下した目と発言もらってたわ。
『この様な醜女をわたくしのウィルと同行させねばならないとはわたくし耐え難いですわ!なんたらかんたら』とケバいほど濃い化粧した同い年くらいの女がいたわ。
「リンカは、元の世界に帰りたいのかい?」
「うん、でも帰り方がわからない。それにエルグラン王国が魔王倒したら帰すって話だったけど実際に倒したとしてもあの国王が聞き入れるとは思えないし、約束守るか怪しいと思う。だから自力で帰る手段見つけようかと思ってる」
「…たくましいね」
ウィルは目を丸くしている。
こちらの女性はお淑やかな人が多いようだからこういう考えは珍しいのかもしれない。
「…エルグランは僕たちは当てにできない。それならば伝手を頼りたいが…」
「が?」
「まずは…ここがどこだか把握しよう」
夜も更けてきたため明日に備えて寝ることにして、神聖魔法で結界を張った。
この結界は邪悪な存在を通さないから魔物避けになる。
魔物はいなそうだけど念のため。
旅の間は野宿のたびに張っていたから張らないと落ち着かないのだ。
ちなみに普通の動物は通れる。
野生動物は警戒心強いからまず近寄らないだろうけどあり得なくはない。
ウィルが一晩寝ずの番をするからわたしは寝るようにという。
明日はきっと歩き回ることになるから交代で休もうと言ったのだけど押し切られた。
明日は彼に回復魔法をいっぱいかけようと誓い眠りについた。
「…疎ましく思っているのではないかという素振りを時には感じた。『ウィリアム、君は勇者としての責務に専念し、王位は自分に任せたほうが良い』『自分の娘と結婚すればすべてこの国はうまくいく』と何度か打診されたが断ってきた。…僕の父は前国王だった。現在の国王である叔父は僕の父の異母弟に当たる。10年前に父と母が事故死して、まだ幼かった第一王位継承者である息子の僕ではなく第二位の叔父が臨時に国王になることになった。僕が成人である20歳を迎えたその日に僕に譲位するまではという条件を貴族議会が決めて。僕が成人を迎える前に死亡した場合、叔父は正式に国王となる」
動機は王位か。強い執着を感じる。
ウィルによると高位貴族30人で構成された貴族議会は国の重要な決定を下す際に意見でき、強い権限をもっているそうだ。
貴族議会で過半数の支持を得られなければ国王だろうと勝手な決定は下せない。
暴君が現れた場合に備えた安全装置の役割なのだとか。
王位を正式に手に入れたかった国王はウィルを最初は王位継承権放棄を促したり、娘を使って懐柔しようとしたのだろう。
でもうまくいかなくて亡き者にしようとしたということか。
魔王討伐なんて命を落としても不思議じゃないのだから利用しない手はない。
死亡の経緯は仲間の証言のみで確定させる腹づもりだな。
魔王を倒したが勇者は力尽きた、とでもする予定といったところか。
そういや謁見の間で国王のそばに娘いたな。
そういや王女って言ってた。
父親と同じくこっちを奴隷扱いして見下した目と発言もらってたわ。
『この様な醜女をわたくしのウィルと同行させねばならないとはわたくし耐え難いですわ!なんたらかんたら』とケバいほど濃い化粧した同い年くらいの女がいたわ。
「リンカは、元の世界に帰りたいのかい?」
「うん、でも帰り方がわからない。それにエルグラン王国が魔王倒したら帰すって話だったけど実際に倒したとしてもあの国王が聞き入れるとは思えないし、約束守るか怪しいと思う。だから自力で帰る手段見つけようかと思ってる」
「…たくましいね」
ウィルは目を丸くしている。
こちらの女性はお淑やかな人が多いようだからこういう考えは珍しいのかもしれない。
「…エルグランは僕たちは当てにできない。それならば伝手を頼りたいが…」
「が?」
「まずは…ここがどこだか把握しよう」
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この結界は邪悪な存在を通さないから魔物避けになる。
魔物はいなそうだけど念のため。
旅の間は野宿のたびに張っていたから張らないと落ち着かないのだ。
ちなみに普通の動物は通れる。
野生動物は警戒心強いからまず近寄らないだろうけどあり得なくはない。
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