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第一部
魔王の名乗りと聖教会②
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外から扉が開けられリュシオンが先に降り、意外にも手を差し伸べて待ってくれている。
おずおずと手を差しだすとしっかりと支えてくれわたしは地に足をつけた。
すると目の前で聖騎士が胸に手を当て挨拶をしてきた。セリフは割愛。
挨拶してくれたのは第二騎士隊隊長のマークさん。
こちらも隊員ともども生粋の聖女崇拝者だそうだ。わたしたちを迎えに行けなかったことを大層悔しがっていた。
ウィル、フェルと合流して階段を登ると聖堂の大扉が開かれわたしたちは全員中へ通された。
聖堂の中にはずらっと神職の人たちが左右に並んで待っていた。
ちなみに全員白を基調にしたローブを身につけている。
そしてたしかストラとかストールとか呼ばれてる布や羽織りものの色が赤や青だったり被っている帽子の形が違っている。そういった装飾品で階級を表しているらしい。
わたしたちはその真ん中を歩いて正面に立つ教皇の元へと辿り着いた。
「ようこそお越しくださいました。勇者ウィリアム様、聖女リンカ様。我々聖教会一同心より歓迎いたします」
頭を下げ歓迎の言葉を告げたご老人はシワのある顔を綻ばせている。
「そちらはロンバルディ王国のフェルディナンド殿下ですな。そして騎士のみなさま。して、そちらは剣士の方は事前の情報はありませんでしたがどなたでしょうか?」
教皇がフェルたちロンバルディ王国の一行の確認のあとリュシオンに目を向けた。
「リュシオン。冒険者で剣士だ」
教皇の顔が驚愕の表情に変わった。
神職のひとの中にも顔色を変え小さく悲鳴を上げるものまでいる。
どういうことだろう。ただ名前を名乗っただけなのに。
「お、おお…まさかお会いできるとは…よくぞお越しくださいました」
教皇はうやうやしい態度でリュシオンに歓迎の意を示したがリュシオンは冷めた目でそっぽをむいてしまった。
疑問が大きい対面だったけど話はこれまでというようにこの場はお開きになった。
この後、わたしたちは大会議室に移動し委員会に参加した。
会議は紛糾した、となるかと思っていたけどまったくそうはならなかった。
危惧していた聖教会による囲い込みや追及などはされず、報告していたエルグラン王からの仕打ちの確認と今後の意向を聞かれただけ。
そして普通に心配とエルグラン王からの仕打ちに謝られた。
みんなの意見を要約すれば「気づかず助けられなくてごめんなさい」と。
そしてワイバーンの件の疑惑を報告するとみんな真剣に聞き入って「必ず首謀者を探し出す」と誓ってくれた。
こうしてわたしとウィルは「ロンバルディ王国で保護を公式に聖教会が認める」とあっさり認可された。
「勇者と聖女の意志最優先てことで丸く収まってよかったなー。めちゃくちゃ揉める覚悟してたからあの胃の痛い日々はなんだったのかと思ったわ」
「お疲れ様、フェルディナンド。これからもお世話になるよ」
「フェルくん意外と気遣いやさんだもんね。あとで胃に効く魔法かけとくね、ありがとう」
「ははっ どういたしまして」
外はすっかり暗くなりわたしたちはこの聖教会で今日は泊まることにした。
どのみち数日は滞在するつもりだった。
聖教会本部に行くことになってどうせだからここで情報を集めようと思っていた。
前に魔王から聞かされた「勇者も聖女も魔王もいなかった頃の世界」。
そこのあたりに帰る手がかりがあると言っていたから。
でも、いま目の前にその情報をもたらした本人がいる。
わたしはみんなで集まり夕食をとり、それぞれ部屋に引き上げるタイミングで魔王ことリュシオンの腕を掴んだ。
「部屋に来て」
おずおずと手を差しだすとしっかりと支えてくれわたしは地に足をつけた。
すると目の前で聖騎士が胸に手を当て挨拶をしてきた。セリフは割愛。
挨拶してくれたのは第二騎士隊隊長のマークさん。
こちらも隊員ともども生粋の聖女崇拝者だそうだ。わたしたちを迎えに行けなかったことを大層悔しがっていた。
ウィル、フェルと合流して階段を登ると聖堂の大扉が開かれわたしたちは全員中へ通された。
聖堂の中にはずらっと神職の人たちが左右に並んで待っていた。
ちなみに全員白を基調にしたローブを身につけている。
そしてたしかストラとかストールとか呼ばれてる布や羽織りものの色が赤や青だったり被っている帽子の形が違っている。そういった装飾品で階級を表しているらしい。
わたしたちはその真ん中を歩いて正面に立つ教皇の元へと辿り着いた。
「ようこそお越しくださいました。勇者ウィリアム様、聖女リンカ様。我々聖教会一同心より歓迎いたします」
頭を下げ歓迎の言葉を告げたご老人はシワのある顔を綻ばせている。
「そちらはロンバルディ王国のフェルディナンド殿下ですな。そして騎士のみなさま。して、そちらは剣士の方は事前の情報はありませんでしたがどなたでしょうか?」
教皇がフェルたちロンバルディ王国の一行の確認のあとリュシオンに目を向けた。
「リュシオン。冒険者で剣士だ」
教皇の顔が驚愕の表情に変わった。
神職のひとの中にも顔色を変え小さく悲鳴を上げるものまでいる。
どういうことだろう。ただ名前を名乗っただけなのに。
「お、おお…まさかお会いできるとは…よくぞお越しくださいました」
教皇はうやうやしい態度でリュシオンに歓迎の意を示したがリュシオンは冷めた目でそっぽをむいてしまった。
疑問が大きい対面だったけど話はこれまでというようにこの場はお開きになった。
この後、わたしたちは大会議室に移動し委員会に参加した。
会議は紛糾した、となるかと思っていたけどまったくそうはならなかった。
危惧していた聖教会による囲い込みや追及などはされず、報告していたエルグラン王からの仕打ちの確認と今後の意向を聞かれただけ。
そして普通に心配とエルグラン王からの仕打ちに謝られた。
みんなの意見を要約すれば「気づかず助けられなくてごめんなさい」と。
そしてワイバーンの件の疑惑を報告するとみんな真剣に聞き入って「必ず首謀者を探し出す」と誓ってくれた。
こうしてわたしとウィルは「ロンバルディ王国で保護を公式に聖教会が認める」とあっさり認可された。
「勇者と聖女の意志最優先てことで丸く収まってよかったなー。めちゃくちゃ揉める覚悟してたからあの胃の痛い日々はなんだったのかと思ったわ」
「お疲れ様、フェルディナンド。これからもお世話になるよ」
「フェルくん意外と気遣いやさんだもんね。あとで胃に効く魔法かけとくね、ありがとう」
「ははっ どういたしまして」
外はすっかり暗くなりわたしたちはこの聖教会で今日は泊まることにした。
どのみち数日は滞在するつもりだった。
聖教会本部に行くことになってどうせだからここで情報を集めようと思っていた。
前に魔王から聞かされた「勇者も聖女も魔王もいなかった頃の世界」。
そこのあたりに帰る手がかりがあると言っていたから。
でも、いま目の前にその情報をもたらした本人がいる。
わたしはみんなで集まり夕食をとり、それぞれ部屋に引き上げるタイミングで魔王ことリュシオンの腕を掴んだ。
「部屋に来て」
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